テスラ(TSLA)は10月21日の米国市場の取引終了後に7〜9月期決算を発表する。説明会は米東部時間17時30分、日本時間22日6時30分に始まる。市場予想は売上高280億ドル前後、調整後1株利益0.45ドルで、前年同期の0.50ドルを1割下回る。
前日の20日、イーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は、テスラとスペースXの両社の取締役会が統合を検討する特別委員会を設けたと明らかにした。同じ日に発表されたスペースXの7〜9月期決算は、売上高が前年同期比161%増の146億ドルだった。本誌は20日に両社の決算プレビューを掲載したが、その後に出たこの二つの材料を加えて数字を整理し直す。
主要数値:予想と前年、前四半期
| 項目 | 2026年7〜9月期 予想 | 2025年7〜9月期 実績 | 2026年4〜6月期 実績 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 279億〜281億ドル | 280億9,500万ドル | 282億3,600万ドル |
| 調整後1株利益 | 0.45ドル | 0.50ドル | 0.33ドル |
| GAAPの1株利益 | — | 0.39ドル | 0.32ドル |
| 営業利益率 | — | 5.8% | 1.4% |
| 納車台数 | 48万6,532台(確定) | — | — |
| 蓄電池の導入量 | 13.7GWh(確定) | — | — |
売上高の予想は前年同期とほぼ同じ水準だ。調整後1株利益の予想0.45ドルは、前年同期比で10%減、前四半期比では36%増になる。エレクトレックによると、予想の幅は売上高が251億〜306億ドル、1株利益が0.30〜0.70ドルと広い。自動車事業の粗利率の市場予想は、本誌では確認できなかった。
背景:納車は予想超え、利益率は1.4%
テスラは10月2日、7〜9月期の納車台数を48万6,532台と発表した。うちモデル3とモデルYが47万8,237台。生産台数は46万4,391台で、納車が生産を約2万2,000台上回った。在庫が減った四半期である。会社がまとめたアナリスト予想は46万1,974台と報じられており、これを約2万4,600台上回った。一方、蓄電池の導入量は13.7GWhで、予想の15.9GWhを下回った。
焦点は利益率だ。4〜6月期の営業利益は3億9,800万ドルで前年同期比57%減、営業利益率は1.4%だった。売上総利益率(GAAP)は16.8%。設備投資は57億8,900万ドルで、フリーキャッシュフローは10億9,200万ドルの赤字だった。売上高が増えても、利益と現金が残らない構図である。7〜9月期にこれが改善したかどうかが、決算の第一の確認点になる。
関係者の発言:統合の特別委員会
マスクCEOは20日、米東部時間16時30分に始まったスペースXの決算説明会で統合に言及した。テッククランチとNBCニュースによると、両社の取締役会は株主の求めに応じて、独立取締役による特別委員会をそれぞれ設けた。条件は決まっておらず、統合が実現する保証もない。委員の名前は明かされていない。
- 「私は利害関係者なので、特別委員会の議論には加われない」(マスクCEO、テッククランチ)
- 「最終的には、株主が支持しなければならない」(同)
- 「両社を一つにすることには大きな利点があると思う」(同)
- 「奇妙な歌舞伎の踊りだ」(同、NBCニュース)
スペースX(ナスダック上場、ティッカーはSPCX)の7〜9月期は、売上高146億ドル(前年同期は56億ドル)、営業利益28億ドル、純利益44億ドルだった。前年同期は11億ドルの純損失で、黒字に転換した。部門別ではAI部門の売上高が75億6,000万ドルと最も大きく、通信が52億5,000万ドル、宇宙が17億7,000万ドルだった。
市場の反応と想定変動幅
| 銘柄・指標 | 値 | 時点 |
|---|---|---|
| テスラ 終値 | 373.71ドル(前日比+1.5%) | 10月20日 |
| テスラ 時間外 | 380.45ドル(終値比+1.8%) | 10月20日 米東部時間19時59分 |
| テスラ 年初来 | −16.9% | 2025年末の449.72ドル比 |
| テスラ 52週の高値・安値 | 498.83ドル・297.38ドル | 10月20日時点 |
| スペースX 終値 | 147.79ドル | 10月20日 |
| パナソニックHD(6752) | 3,902円(前日終値は3,878円) | 10月21日 日本時間11時28分 |
テスラ決算翌日の値動き:想定と過去(%)
出所:ティップランクス(2026年10月16日)。想定変動幅は決算をまたぐオプション価格から逆算した値。
ティップランクスによると、オプション市場が織り込む決算後の変動幅は上下7.48%、金額で約27ドルだった。過去4四半期の決算翌日の値動きの平均(絶対値)は5.95%。オプション市場は過去の平均より大きな値動きを見込んでいる。
本誌は決算翌日(米国時間22日)の値動きの確率を次のように推計した。前提は、想定変動幅7.48%、4〜6月期の営業利益率1.4%、予想を上回った納車台数、統合協議という未確定の材料である。
| 決算翌日の値動き | 確率(本誌推計) | 主な条件 |
|---|---|---|
| +7.5%超 | 15% | 営業利益率が5%台に戻り、統合の具体的な日程が示される |
| 0〜+7.5% | 30% | 1株利益が0.45ドル以上、利益率が前四半期から改善 |
| 0〜−7.5% | 33% | 1株利益が予想並み、利益率の改善が小幅 |
| −7.5%超 | 22% | 1株利益が0.40ドルを下回り、フリーキャッシュフローが再び赤字 |
下落側の確率をやや高く置いた理由は二つ。前四半期の営業利益率1.4%が示す採算の弱さと、年初来16.9%安という株価が、まだ利益の回復を確認していないことだ。統合協議は株価を押し上げる材料にも押し下げる材料にもなり得るため、中立として扱った。過去の決算の値動きは今週の注目決算の記事でも整理している。
今後の日程
- 10月22日 5時以降(日本時間):テスラ7〜9月期決算の発表(米東部時間21日の取引終了後)
- 10月22日 6時30分(日本時間):テスラ決算説明会
- 10月22日 22時30分(日本時間):米国市場の取引開始、決算への最初の反応
- 10月29日 3時(日本時間):米FOMCの結果発表
- 日程未定:テスラとスペースXの特別委員会の検討結果
テスラの7〜9月期の納車の詳細は10月2日の記事にある。
主な参照
- 決算発表の日時、7〜9月期の納車・生産台数/テスラ(米証券取引委員会への提出書類、10月2日)
- 4〜6月期の決算、前年同期の実績/テスラ(米証券取引委員会への提出書類、7月22日)
- 市場予想/エレクトレック、ティップランクス(想定変動幅を含む)
- 会社集計の納車予想/ノット・ア・テスラ・アップ
- 特別委員会とマスクCEOの発言/テッククランチ、NBCニュース
- スペースXの7〜9月期決算/スペースX
- 株価/Yahoo Finance
データ基準日:2026年10月21日 日本時間11時45分。テスラとスペースXの株価は10月20日の米国市場の終値、テスラの時間外は同日米東部時間19時59分の気配値、パナソニックHDは21日11時28分の気配値で、いずれも終値と気配を区別して記載した。市場予想は集計元によって異なる。会社集計の納車予想は報道によるもので、本誌はテスラの集計資料を直接確認していない。想定変動幅は10月16日時点の報道値で、その後変わっている可能性がある。マスクCEOの発言は報道による書き起こしの翻訳である。確率は本誌の推計であり、将来の株価を保証しない。本記事は情報提供を目的としたもので、特定の銘柄の売買を推奨するものではない。投資判断はご自身の責任において行っていただきたい。














