ドルスイスフランは10月21日午後7時44分(日本時間)、1ドル=0.8249スイスフランだった。1週間前の14日の終値0.8326から0.92%のドル安・フラン高。14日に付けた取引時間中の高値0.8395は2025年5月16日以来、約1年5カ月ぶりの水準で、そこから16日には0.8219まで下げた。
下値の目安は50日移動平均線の0.8189。上値の目安は0.8292〜0.8300。次の材料は28日の米連邦公開市場委員会(FOMC)と29日の欧州中央銀行(ECB)理事会で、2日続けて結果が出る。
主要な数値
| 項目 | 値 | 基準 |
|---|---|---|
| ドルスイス 現在値 | 0.8249 | 10月21日 19時44分(日本時間)、取引時間中 |
| 当日の値幅 | 0.8239〜0.8263 | 同上 |
| 1週間の変化 | −0.92% | 14日の終値0.8326比 |
| 1カ月の変化 | +0.50% | 9月22日の終値0.8208比 |
| 年初来の変化 | +4.2% | 2025年12月31日の終値0.7917比 |
| 50日移動平均線 | 0.8189 | 日足終値から計算 |
| 200日移動平均線 | 0.7980 | 日足終値から計算 |
| 52週の高値 | 0.8395 | 2026年10月14日、取引時間中 |
| 52週の安値 | 0.7629 | 2026年1月28日、取引時間中 |
| ユーロスイス | 0.9263 | 10月21日 19時55分(日本時間)、取引時間中 |
| スイスフラン円 | 191.57円 | 同上 |
現在値は50日線を0.0060上回り、200日線を0.0269上回る。年初来では4.2%のドル高・フラン安。直近1週間の下げは、年初からの上昇の約2割を戻した計算になる。
ドルスイスの主な水準(スイスフラン)
読み方:網掛けは10月末までの想定値幅0.8180〜0.8300。下は50日線と10月16・20日の安値、上は0.8300の節目が境目になる。出所:Yahoo Financeの日足、移動平均は本誌計算。
背景
米連邦準備制度理事会(FRB)は9月16日、政策金利の誘導目標を0.25%引き上げ、3.75〜4.00%とした。採決は12対0。スイス国立銀行(SNB)は9月24日の金融政策評価で政策金利を0%に据え置いた。両国の政策金利の差は3.75〜4.00%ある。
物価はスイスが1%前後、米国は3%台。スイス連邦統計局によると、9月のスイスの消費者物価指数(CPI)は前年同月比1.0%上昇、8月は0.8%だった。米国の9月CPIは14日の発表で前年同月比3.7%上昇、市場予想は3.6%だった(米労働統計局の発表をメディアが報道)。SNBは9月の評価で、条件付きのインフレ予想を2026年0.7%、2027年0.8%、2028年0.8%とした。
14日から16日の下げについて、英ヴァンテージ・マーケッツは、AI関連株の下落で米国債利回りが低下し、安全資産としてフランが買われたと分析した。下げ幅は0.8395から0.8218まで約2.1%としている。FXStreetは20日、FRBのウォーシュ議長の中立的な発言で10月の利上げ観測が後退し、ドルが売られたと伝えた。
中央銀行の発言
SNBは9月24日の声明で「必要に応じて外国為替市場で行動する用意がある」とした。声明は「最近のスイスフラン安」にも言及した。スイスの公共放送系メディアswissinfo.chによると、6月に使っていた介入に「より前向き」という表現は削除された。シュレーゲル総裁は「引き続き介入する用意はある」と述べた。
ドイツのコメルツバンクは、ユーロスイスが3カ月ぶりの安値圏にあり、過去にSNBが介入を示唆した水準に近づいていると指摘した(トレーディングペディア、20日)。同行は、ECBの追加利上げが織り込まれる一方、SNBへの予想は「ほとんど動いていない」としている。
市場の織り込み
10月27〜28日のFOMCについて、CMEフェドウオッチの据え置き確率は21日時点で86.2%(グロービーンスプラウトの集計)。14日の米CPI発表直後には、利上げ確率が41.5%まで上昇していた(24/7ウォール・ストリート、Yahoo Finance掲載)。1週間で利上げ観測は大きく後退した。
ECBの預金ファシリティー金利は2.50%。9月10日に0.25%引き上げ、16日から適用している。次回の理事会は28〜29日で、結果は29日に発表される。SNBの次回の金融政策評価は12月10日。
テクニカル水準と見通し
過去2カ月の高値は9月2日0.8156、17日0.8262、10月1日0.8382、14日0.8395。安値は9月3日0.8062、9日0.8066、22日0.8183、10月2日0.8232、12日0.8292、16日0.8219、20日0.8223。10月1日と14日の高値は0.8382〜0.8395に並ぶ。16日と20日の安値は0.8220前後に並ぶ。
10月末までの想定値幅は0.8180〜0.8300。0.8220の安値と50日線0.8189、9月22日の安値0.8183が下値の帯を作る。この帯を終値で割り込んだ場合、次の水準は9月上旬の安値0.8062〜0.8066。上値は12日の安値0.8292と0.8300の節目で、終値で上抜けた場合は0.8382〜0.8395の高値帯が次の水準になる。1カ月の想定値幅は0.8060〜0.8400。
FOMCで据え置きとなり、ECBが利上げした場合、ドル安とユーロ高が同時に進む。ドルスイスには下押し、ユーロスイスには上押しの材料となる。FOMCが利上げに踏み切った場合は、0.8300の上抜けを試す材料となる。
今後の日程
- 10月28日 22時45分:カナダ銀行の政策金利発表
- 10月29日 3時00分:FOMCの結果発表
- 10月29日 21時30分:米7〜9月期GDP速報値、米9月の個人消費支出(PCE)
- 10月29日 22時15分:ECBの政策金利発表
- 10月30日:日本銀行の金融政策決定会合の結果発表
- 11月10日:米10月CPI
- 12月10日 17時30分:SNBの金融政策評価
時刻はいずれも日本時間。ECBは中央ヨーロッパ時間14時15分、SNBは同9時30分の発表で、欧州が10月25日に冬時間へ移った後の換算である。カナダ銀行の時刻は報道による。
ドルスイスの前回の分析は10月19日の記事、FRBの10月利上げ確率の推移はこちらにある。円からフランへの調達通貨の交代はこの記事で扱った。FX取引の基礎はFX解説ページにまとめている。
主な参照
- ドルスイス、ユーロスイス、スイスフラン円の日足と気配値/Yahoo Finance
- SNBの9月24日の金融政策評価(政策金利0%、為替市場での行動、インフレ予想)/スイス国立銀行、次回日程/スイス国立銀行
- シュレーゲル総裁の発言と声明の表現の変化/swissinfo.ch
- 9月のスイスCPI/スイス連邦統計局
- FRBの9月16日の利上げ/米連邦準備制度理事会、FOMCの日程/同
- ECBの9月10日の利上げと理事会の日程/欧州中央銀行
- FOMCの据え置き確率(CMEフェドウオッチの集計)/グロービーンスプラウト、CPI発表直後の利上げ確率/24/7ウォール・ストリート(Yahoo Finance掲載)
- 14〜16日の下落の分析/ヴァンテージ・マーケッツ、FXStreet
- ユーロスイスとSNBに関するコメルツバンクの見方/トレーディングペディア
- 米経済統計の発表予定/米商務省経済分析局
データ基準日:2026年10月21日午後7時44分(日本時間)。ドルスイスとユーロスイス、スイスフラン円の現在値は取引時間中の気配値で、終値ではない。日足の終値は情報ベンダーのスナップショット値で、公式の終値ではない。変化率と移動平均、政策金利差は本誌の計算である。米国の9月CPIは米労働統計局の発表をメディア経由で確認した。FOMCの確率は第三者によるCMEフェドウオッチの集計で、日々変わる。想定値幅は過去の高値・安値と移動平均にもとづく本誌の整理であり、将来の相場を保証しない。本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の通貨の売買を推奨するものではない。外国為替証拠金取引は元本を上回る損失が生じる可能性がある。投資判断はご自身の責任において行っていただきたい。
















