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米CPI上振れ後のドルの重要水準|ユーロドルは2025年5月以来の安値、ドルカナダは1.4300目前、ドル円だけ159円の壁の手前

Takashi Suzuki Takashi Suzuki
2026年10月14日
テクニカル
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21時30分の数字が出た瞬間、ユーロドルの5分足は1.1199から1.1173へ飛んで始まった。米9月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比3.7%で予想の3.6%を上回り、コアも前月比0.3%と予想の0.2%を上回った。それから1時間半、ドルは主要通貨に対してほぼ一方向に買われ、ドル指数は1年半ぶりの高値をつけた。ここでは数字の中身より、ドルがどの水準を抜け、どの水準で止まっているかを5つの通貨ペアで書き留めておく。

テープ:ドルを買わせた3つの数字

米労働統計局(BLS)の発表では、ガソリンが前月比9.1%上がり、エネルギー全体で5.2%上がった。これだけなら原油高の話で終わる。相場を動かしたのはコアのほうだ。住居費が0.4%、航空運賃が1.2%、中古車・トラックが0.7%上がり、コアの前年同月比は2.6%と8月の2.4%から加速した。MINKABU PRESSによると、10月の利上げ確率は発表前の20%程度から45%程度へ跳ねた。

債券の売りは年限の短いほうに強く出た。5年債利回りは21時25分の4.980%から22時50分に5.106%へ12.6bp上がり、10年債は5.190%から5.295%へ10.5bp上がった(いずれもYahoo Finance、取引時間中の値)。investingLiveは、2年債が13.36bp上がって4.9266%、30年債は6.12bp上がって5.6242%と伝え、2年債と10年債の差は38.6bpまで縮んだとしている。短い年限ほど上がる形で、市場が見ているのは景気ではなく次の会合だ。米国株は寄り付きでナスダック総合が0.71%安、ダウ平均は0.04%安だった(株探ニュース、日本時間22時32分)。

水準の地図:5ペアとドル指数

筆者が見る水準は3種類だけだ。1時間足の100本・200本移動平均(短期の流れ)、日足の移動平均(中期の流れ)、そして直近の高値・安値と節目の数字である。下の表はYahoo Financeの1時間足と日足から本誌が計算した。値は日本時間23時時点で、終値ではない。

ペア23時の値14日の高値/安値1時間足100本/200本日足の移動平均どこまで来たか
ユーロドル1.11221.1215/1.11171.1195/1.121050日1.1489、200日1.1591安値は2025年5月以来の水準
ドル円158.85158.95/158.11158.31/158.16200日158.56、100日159.519月下旬の高値159.00の手前
ポンドドル1.31661.3275/1.31641.3234/1.323250日1.3430、200日1.3436安値は6月24日(1.3153)以来の水準
ドルスイスフラン0.83820.8387/0.83170.8324/0.831850日0.8172、200日0.7973高値は2025年5月以来の水準
ドルカナダドル1.42911.4300/1.41931.4245/1.424650日1.3990、200日1.3874高値は2025年4月以来の水準
ドル指数(DXY)102.88102.91/102.08102.28/102.2050日100.27、200日99.44高値は2025年4月以来の水準
出所:Yahoo Financeの1時間足・日足(2026年10月14日、日本時間23時ごろまで)、本誌計算。日足の高値・安値は同社の日足の区切りにもとづき、業者によって値が異なる。「どこまで来たか」は同社の過去5年の日足で、14日の高値・安値を上回る(下回る)値を最後につけた時期。取引時間中の値であり、終値ではない。

表を横に読むと、6本のうち5本で同じ形が出ている。ドル側が1時間足の100本・200本の両方を上に抜け、しかも1年以上見なかった水準まで来た。短期の流れも中期の流れもドル高を向いているわけだ。形が違うのはドル円の1本だけである。

ユーロドル:1.1155〜1.1166の床が天井に変わった

10月に入ってから、ユーロドルの日足の安値は1.1155〜1.1166で何度も止まっていた。14日はその床を抜け、安値は1.1117まで下がった。同じ帯は今度は戻りを止める天井になりやすい。その上には発表前の水準でもある1.1195〜1.1210があり、1時間足の100本と200本が重なる。戻り売りの待ち場所はこの2段だろう。

下は節目の1.1100が最初の目安になる。日足の50日線(1.1489)とは約3.3%離れており、中期の流れは完全に下を向いている。売り方から見て形が崩れるのは、1.1210を1時間足で上抜けて定着したときだ。

ドル円:一番弱いドル買い、159円の壁

ドル円の水準の地図(10月14日、日本時間23時)

157160158.16円1時間足200本支え・撤退の線158.56円日足200日線支え158.85円23時の値CPI後0.28%高159.00円9月下旬の高値介入警戒の壁159.51円日足100日線次の目安

読み方:ドル円は1時間足と日足200日線の上にあり、値動きは買いの形だ。上には9月下旬の高値159.00と日足100日線159.51が並ぶ。158.16を割ればCPI後の上げはほぼ帳消しになる。出所:Yahoo Financeの1時間足・日足から本誌計算。取引時間中の値。

ドル円は発表後に0.28%しか上がっていない。ユーロ、ポンド、豪ドルが対ドルで0.7〜0.8%下げたのと比べると、円の下げ幅は小さい。数字の上ではドル円は強い位置にある。1時間足の100本(158.31)と200本(158.16)、日足の200日線(158.56)をすべて上回っているからだ。

それでも14日の高値は158.95で、9月下旬につけた159.00に届いていない。この水準には値動き以外の事情がある。日米両政府は7月31日に協調して円買い介入をしており、片山財務相は9月24日、158円台で「協調介入以降の原則は生きている」と発言したと日本経済新聞が伝えた。介入の経緯は9月の介入実績の記事にまとめている。

上は159.00、その先は日足の100日線159.51が次の目安になる。下は158.56(200日線)、158.31、158.16の順に支えが並ぶ。158.16を1時間足で割り込めば、CPI後の上げはほぼ帳消しになり、買い方は主導権を失う。ドル円の範囲と金利差の関係は発表前の見通し記事で検証した。

ポンドドル、ドルスイス、ドルカナダ

ポンドドル。10月の安値は1.3182〜1.3186で揃っていた。14日はそこを割って1.3164まで下げ、6月24日の安値1.3153が目の前にある。ここを割ると、2025年11月の1.3012までの間に目立つ節目は1.3100しかない。戻りは1.3182〜1.3186、その上の1.3232〜1.3234(1時間足の100本・200本)が売りの待ち場所になる。

ドルスイスフラン。10月1日の高値0.8382を抜いて0.8387をつけた。2025年5月以来の水準だ。次の節目は0.8400である。押し目は0.8382の旧高値、さらに下の0.8318〜0.8324(1時間足の100本・200本)が支えになる。0.8318を割れば、今回の上抜けは失敗だったことになる。

ドルカナダドル。10月は5日の1.4293、9日の1.4297と2度上値を抑えられていた。14日の高値は1.4300で、上抜けはまだ1銭単位の話だ。1.4300を明確に上回って引ければ、2025年4月以来の高値圏が開ける。支えは1.4245前後の1時間足の移動平均と、14日安値の1.4193になる。

筆者の見立て:ドル高、ただしドル円は最後尾

筆者は、10月27〜28日の米連邦公開市場委員会(FOMC)まではドル高が続くとみている。根拠は3つだ。1つ目に、コアが2カ月続けて前月比0.3%となり、利上げの確率が4割台に戻った。2つ目に、ドル指数とドルスイス、ドルカナダがそろって1年半ぶりの水準を抜けた。3つ目に、利回りの上げ幅が大きかったのが2年債と5年債で、ドル高の理由が会合の見通しという短い材料に絞られている。

ただし、ドル買いの効き目が一番鈍いのはドル円だ。値動きだけならドル円も買いの形だが、159円の上には介入という値動きの外の売り手がいる。同じドル高に乗るなら、筆者はユーロドルやポンドドルの戻り売りのほうが値幅を取りやすいとみる。ドル円は159円台での追いかけ買いを避け、158円台前半への押しを待つほうが分がいい。

逆になったら。ユーロドルが1.1210を、ポンドドルが1.3234を1時間足で上抜けて定着したら、ドル高の見立ては取り下げる。ドル円は158.16割れが撤退の線だ。いずれも今夜の発表前の水準への逆戻りを意味し、CPIの上振れを市場が消化しきったことになる。

明日以降の監視リスト

日時(日本時間)材料見る水準
15日(木)6時ごろ14日のニューヨーク終値ユーロドル1.1155、ドルカナダ1.4300を終値でどちら側で引けるか
16日(金)朝ウォーシュFRB議長の講演(バンコクのIMF関連会合、ニューヨーク時間15日夜)10月利上げへの言及。ドル円159.00
29日(木)3時FOMCの結果発表利上げなら5年債5.1%台の維持、見送りならユーロドル1.1210
11月10日(火)22時30分米10月CPIコア前月比0.3%が3カ月続くか
日程は株探ニュース、米労働統計局、米連邦準備制度理事会の公表にもとづく。米国の夏時間は11月1日に終わるため、11月のCPIは今回より1時間遅い。

FXの基本用語はFX解説ページにまとめている。

参照・免責

  • 9月の消費者物価指数(2026年10月14日公表)/米労働統計局(BLS)
  • 市場予想、利上げ確率、米株の寄り付き、ウォーシュ議長の講演日程/株探ニュース(MINKABU PRESS)、株探ニュース(利上げ確率)、株探ニュース(米株)
  • 米2年債・30年債の利回りと2年10年の差/investingLive
  • 為替・ドル指数・米5年債と10年債の利回りの5分足・1時間足・日足/Yahoo Finance
  • FOMCの日程/米連邦準備制度理事会
  • 日米協調介入(2026年7月31日)/財務省(外国為替平衡操作の実施状況)、片山財務相の9月24日の発言は日本経済新聞の報道

データ基準日:2026年10月14日(日本時間23時ごろ)。為替、ドル指数、米国債利回り、米国株の値はいずれも取引時間中のものであり、終値ではない。ニューヨーク市場の終了は日本時間15日6時(為替)・5時(株式)で、その後の変動は反映していない。移動平均と「どこまで来たか」は、Yahoo Financeの1時間足・日足から本誌が計算したもので、業者ごとの値とは異なる場合がある。米2年債・30年債の利回りと2年10年の差はinvestingLiveの報道値で、本誌は独自に確かめていない。利上げ確率は報道にもとづき、CMEの公表値そのものではない。筆者の見立ては一つの見方であり、特定の通貨や金融商品の売買を推奨するものではない。投資判断は各自の責任において行われたい。

Tags: FOMCFX見通しインフレドル円ドル円見通しユーロドル為替為替介入為替見通し金利
Takashi Suzuki

Takashi Suzuki

大手マーケットメイカーのFXトレーディングデスクで8年以上にわたりキャリアを積み、うち3年は為替フォワードデスク、その後2年は金利(レート)デスクを担当した。さらにシンガポールではアジア・トレーディングデスクのヘッドとして4年間チームを率い、地域全体のフローとリスク管理を統括してきた。 現在もFX・金利・株式など幅広い市場で実際にトレードを行っており、機関投資家の最前線で培った実取引経験は豊富。FX・株式・暗号資産において自己のポジションを保有している。 こうした実務とマーケットでの経験をもとに、金融市場・暗号資産・FX・経済指標について、信頼性・正確性・迅速性の高い情報を届けることを目的としている。記事の内容は特定の金融商品の売買を推奨するものではなく、最終的な投資判断はご自身の責任において行ってください。

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