21時30分の数字が出た瞬間、ユーロドルの5分足は1.1199から1.1173へ飛んで始まった。米9月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比3.7%で予想の3.6%を上回り、コアも前月比0.3%と予想の0.2%を上回った。それから1時間半、ドルは主要通貨に対してほぼ一方向に買われ、ドル指数は1年半ぶりの高値をつけた。ここでは数字の中身より、ドルがどの水準を抜け、どの水準で止まっているかを5つの通貨ペアで書き留めておく。
テープ:ドルを買わせた3つの数字
米労働統計局(BLS)の発表では、ガソリンが前月比9.1%上がり、エネルギー全体で5.2%上がった。これだけなら原油高の話で終わる。相場を動かしたのはコアのほうだ。住居費が0.4%、航空運賃が1.2%、中古車・トラックが0.7%上がり、コアの前年同月比は2.6%と8月の2.4%から加速した。MINKABU PRESSによると、10月の利上げ確率は発表前の20%程度から45%程度へ跳ねた。
債券の売りは年限の短いほうに強く出た。5年債利回りは21時25分の4.980%から22時50分に5.106%へ12.6bp上がり、10年債は5.190%から5.295%へ10.5bp上がった(いずれもYahoo Finance、取引時間中の値)。investingLiveは、2年債が13.36bp上がって4.9266%、30年債は6.12bp上がって5.6242%と伝え、2年債と10年債の差は38.6bpまで縮んだとしている。短い年限ほど上がる形で、市場が見ているのは景気ではなく次の会合だ。米国株は寄り付きでナスダック総合が0.71%安、ダウ平均は0.04%安だった(株探ニュース、日本時間22時32分)。
水準の地図:5ペアとドル指数
筆者が見る水準は3種類だけだ。1時間足の100本・200本移動平均(短期の流れ)、日足の移動平均(中期の流れ)、そして直近の高値・安値と節目の数字である。下の表はYahoo Financeの1時間足と日足から本誌が計算した。値は日本時間23時時点で、終値ではない。
| ペア | 23時の値 | 14日の高値/安値 | 1時間足100本/200本 | 日足の移動平均 | どこまで来たか |
|---|---|---|---|---|---|
| ユーロドル | 1.1122 | 1.1215/1.1117 | 1.1195/1.1210 | 50日1.1489、200日1.1591 | 安値は2025年5月以来の水準 |
| ドル円 | 158.85 | 158.95/158.11 | 158.31/158.16 | 200日158.56、100日159.51 | 9月下旬の高値159.00の手前 |
| ポンドドル | 1.3166 | 1.3275/1.3164 | 1.3234/1.3232 | 50日1.3430、200日1.3436 | 安値は6月24日(1.3153)以来の水準 |
| ドルスイスフラン | 0.8382 | 0.8387/0.8317 | 0.8324/0.8318 | 50日0.8172、200日0.7973 | 高値は2025年5月以来の水準 |
| ドルカナダドル | 1.4291 | 1.4300/1.4193 | 1.4245/1.4246 | 50日1.3990、200日1.3874 | 高値は2025年4月以来の水準 |
| ドル指数(DXY) | 102.88 | 102.91/102.08 | 102.28/102.20 | 50日100.27、200日99.44 | 高値は2025年4月以来の水準 |
表を横に読むと、6本のうち5本で同じ形が出ている。ドル側が1時間足の100本・200本の両方を上に抜け、しかも1年以上見なかった水準まで来た。短期の流れも中期の流れもドル高を向いているわけだ。形が違うのはドル円の1本だけである。
ユーロドル:1.1155〜1.1166の床が天井に変わった
10月に入ってから、ユーロドルの日足の安値は1.1155〜1.1166で何度も止まっていた。14日はその床を抜け、安値は1.1117まで下がった。同じ帯は今度は戻りを止める天井になりやすい。その上には発表前の水準でもある1.1195〜1.1210があり、1時間足の100本と200本が重なる。戻り売りの待ち場所はこの2段だろう。
下は節目の1.1100が最初の目安になる。日足の50日線(1.1489)とは約3.3%離れており、中期の流れは完全に下を向いている。売り方から見て形が崩れるのは、1.1210を1時間足で上抜けて定着したときだ。
ドル円:一番弱いドル買い、159円の壁
ドル円の水準の地図(10月14日、日本時間23時)
読み方:ドル円は1時間足と日足200日線の上にあり、値動きは買いの形だ。上には9月下旬の高値159.00と日足100日線159.51が並ぶ。158.16を割ればCPI後の上げはほぼ帳消しになる。出所:Yahoo Financeの1時間足・日足から本誌計算。取引時間中の値。
ドル円は発表後に0.28%しか上がっていない。ユーロ、ポンド、豪ドルが対ドルで0.7〜0.8%下げたのと比べると、円の下げ幅は小さい。数字の上ではドル円は強い位置にある。1時間足の100本(158.31)と200本(158.16)、日足の200日線(158.56)をすべて上回っているからだ。
それでも14日の高値は158.95で、9月下旬につけた159.00に届いていない。この水準には値動き以外の事情がある。日米両政府は7月31日に協調して円買い介入をしており、片山財務相は9月24日、158円台で「協調介入以降の原則は生きている」と発言したと日本経済新聞が伝えた。介入の経緯は9月の介入実績の記事にまとめている。
上は159.00、その先は日足の100日線159.51が次の目安になる。下は158.56(200日線)、158.31、158.16の順に支えが並ぶ。158.16を1時間足で割り込めば、CPI後の上げはほぼ帳消しになり、買い方は主導権を失う。ドル円の範囲と金利差の関係は発表前の見通し記事で検証した。
ポンドドル、ドルスイス、ドルカナダ
ポンドドル。10月の安値は1.3182〜1.3186で揃っていた。14日はそこを割って1.3164まで下げ、6月24日の安値1.3153が目の前にある。ここを割ると、2025年11月の1.3012までの間に目立つ節目は1.3100しかない。戻りは1.3182〜1.3186、その上の1.3232〜1.3234(1時間足の100本・200本)が売りの待ち場所になる。
ドルスイスフラン。10月1日の高値0.8382を抜いて0.8387をつけた。2025年5月以来の水準だ。次の節目は0.8400である。押し目は0.8382の旧高値、さらに下の0.8318〜0.8324(1時間足の100本・200本)が支えになる。0.8318を割れば、今回の上抜けは失敗だったことになる。
ドルカナダドル。10月は5日の1.4293、9日の1.4297と2度上値を抑えられていた。14日の高値は1.4300で、上抜けはまだ1銭単位の話だ。1.4300を明確に上回って引ければ、2025年4月以来の高値圏が開ける。支えは1.4245前後の1時間足の移動平均と、14日安値の1.4193になる。
筆者の見立て:ドル高、ただしドル円は最後尾
筆者は、10月27〜28日の米連邦公開市場委員会(FOMC)まではドル高が続くとみている。根拠は3つだ。1つ目に、コアが2カ月続けて前月比0.3%となり、利上げの確率が4割台に戻った。2つ目に、ドル指数とドルスイス、ドルカナダがそろって1年半ぶりの水準を抜けた。3つ目に、利回りの上げ幅が大きかったのが2年債と5年債で、ドル高の理由が会合の見通しという短い材料に絞られている。
ただし、ドル買いの効き目が一番鈍いのはドル円だ。値動きだけならドル円も買いの形だが、159円の上には介入という値動きの外の売り手がいる。同じドル高に乗るなら、筆者はユーロドルやポンドドルの戻り売りのほうが値幅を取りやすいとみる。ドル円は159円台での追いかけ買いを避け、158円台前半への押しを待つほうが分がいい。
逆になったら。ユーロドルが1.1210を、ポンドドルが1.3234を1時間足で上抜けて定着したら、ドル高の見立ては取り下げる。ドル円は158.16割れが撤退の線だ。いずれも今夜の発表前の水準への逆戻りを意味し、CPIの上振れを市場が消化しきったことになる。
明日以降の監視リスト
| 日時(日本時間) | 材料 | 見る水準 |
|---|---|---|
| 15日(木)6時ごろ | 14日のニューヨーク終値 | ユーロドル1.1155、ドルカナダ1.4300を終値でどちら側で引けるか |
| 16日(金)朝 | ウォーシュFRB議長の講演(バンコクのIMF関連会合、ニューヨーク時間15日夜) | 10月利上げへの言及。ドル円159.00 |
| 29日(木)3時 | FOMCの結果発表 | 利上げなら5年債5.1%台の維持、見送りならユーロドル1.1210 |
| 11月10日(火)22時30分 | 米10月CPI | コア前月比0.3%が3カ月続くか |
FXの基本用語はFX解説ページにまとめている。
参照・免責
- 9月の消費者物価指数(2026年10月14日公表)/米労働統計局(BLS)
- 市場予想、利上げ確率、米株の寄り付き、ウォーシュ議長の講演日程/株探ニュース(MINKABU PRESS)、株探ニュース(利上げ確率)、株探ニュース(米株)
- 米2年債・30年債の利回りと2年10年の差/investingLive
- 為替・ドル指数・米5年債と10年債の利回りの5分足・1時間足・日足/Yahoo Finance
- FOMCの日程/米連邦準備制度理事会
- 日米協調介入(2026年7月31日)/財務省(外国為替平衡操作の実施状況)、片山財務相の9月24日の発言は日本経済新聞の報道
データ基準日:2026年10月14日(日本時間23時ごろ)。為替、ドル指数、米国債利回り、米国株の値はいずれも取引時間中のものであり、終値ではない。ニューヨーク市場の終了は日本時間15日6時(為替)・5時(株式)で、その後の変動は反映していない。移動平均と「どこまで来たか」は、Yahoo Financeの1時間足・日足から本誌が計算したもので、業者ごとの値とは異なる場合がある。米2年債・30年債の利回りと2年10年の差はinvestingLiveの報道値で、本誌は独自に確かめていない。利上げ確率は報道にもとづき、CMEの公表値そのものではない。筆者の見立ては一つの見方であり、特定の通貨や金融商品の売買を推奨するものではない。投資判断は各自の責任において行われたい。













