10月20日の米国市場は、取引開始から1時間で下げから上げへ切り返した。ニューヨーク時間10時30分(日本時間23時30分)のナスダック総合指数は前営業日比0.55%高の2万6,575.29、S&P500種株価指数は0.65%高の7,740.76である。ダウ工業株30種平均は1.11%高の5万2,543.51と、上げ幅が最も大きい。数値はすべて10時30分前後の取引時間中の値で、終値ではない。
寄り付き直後は、韓国のエリスの上場初日の急落を受けたデータセンター関連株への売りと、原油高が重荷だった。米東部時間9時45分ごろのナスダックは0.85%安、半導体株指数(SOX)は2.28%安まで売られていた。何が流れを変えたのか。要点は5つある。
- 切り返し:ナスダックは日中安値から1.51%、SOXは3.49%戻した。
- 原油:ブレントは高値111.97ドルから108.22ドルへ。エネルギー株だけが下げた。
- 業種:11業種のうち10業種が上昇。首位はヘルスケアの2.05%高。
- 決算:ノースロップ・グラマン6.82%高、ゼネラル・モーターズ5.28%安と明暗。
- 東京:CMEの日経平均先物は現物終値を約690円上回る。
| 指標 | 10時30分の値 | 前営業日比 | 19日の終値・清算値 | 20日の取引時間中の値幅 |
|---|---|---|---|---|
| S&P500 | 7,740.76 | +0.65% | 7,690.73 | 7,668.03〜7,742.24 |
| ナスダック総合 | 26,575.29 | +0.55% | 26,430.89 | 26,179.74〜26,581.81 |
| ダウ工業株30種 | 52,543.51 | +1.11% | 51,966.03 | 51,910.92〜52,546.20 |
| フィラデルフィア半導体株指数(SOX) | 11,428.56 | +0.99% | 11,316.34 | 11,043.24〜11,413.52 |
| ラッセル2000(10時14分) | 2,755.59 | +1.00% | 2,728.30 | 2,728.56〜2,756.67 |
| VIX(10時14分) | 17.96 | −0.48ポイント | 18.44 | 17.94〜19.13 |
| 米10年債利回り(10時14分) | 5.102% | −0.034ポイント | 5.136% | 5.075〜5.115% |
| ドル円 | 157円90銭 | −63銭 | 158円53銭 | — |
| ブレント連動先物(10時19分) | 108.22ドル | −1.21% | 109.55ドル | 108.18〜111.97ドル |
| WTI11月物(10時18分) | 104.25ドル | +0.57% | 103.66ドル | 103.32〜110.48ドル |
| 金先物(10時19分) | 4,158.9ドル | −0.03% | 4,160.1ドル | 4,130.1〜4,166.5ドル |
1. 切り返し:安値からナスダック1.5%、SOX3.5%
結論:寄り付きの売りは、1時間で買いに変わった。ナスダックは日中安値2万6,179.74から1.51%、SOXは安値1万1,043.24から3.49%戻した。
根拠:9時45分ごろのナスダックは0.85%安、SOXは2.28%安だった。韓国のAI企業エリスが上場初日に急落したことで、AIインフラへの投資に警戒が広がっていた。その流れはエリス上場の記事で扱った。10時30分にはオラクルが2.37%高、コアウィーブが1.83%高、ブロードコムが1.62%高と、売られた銘柄に買い戻しが入っている。
次:エヌビディアは0.45%高の218.08ドル。日中安値212.77ドルからの戻りが、引けまで続くかを見たい。
2. 原油:高値から3ドル超下げ、エネルギー株は唯一の下落
結論:原油の上げが消えたことが、株式の追い風になった。ブレント連動先物は10時19分に108.22ドルと、この日の高値111.97ドルから3.75ドル下げた。
根拠:朝方はホルムズ海峡での機雷被害の発表で上げたが、上げは続かなかった。エネルギー株のETF(XLE)は1.06%安で、11業種で唯一下げている。エクソンモービルは1.30%安。米10年債利回りも5.102%と、前日の5.136%から下がった。米国の9月の住宅着工件数は年率122万1,000戸と、8月から5.2%減った。ただし米商務省は誤差を±11.8%としている。原油高の歴史的な位置づけはブレント原油の記事にある。
次:ブレントが19日の清算値109.55ドルを下回ったまま引けるかどうか。
3. 業種:10業種が上昇、ヘルスケアが首位
S&P500の業種別ETFの騰落率(10月20日10時30分、米東部時間)
読み方:11業種のうち10業種が上げ、下げたのは原油安のエネルギーだけだった。取引時間中の値で、前日比は19日の終値との比較。出所:Googleファイナンス(SPDRセレクト・セクターETF)。
結論:上げは広がった。S&P500の業種別ETF11本のうち、上げたのは10本である。19日の寄り付き1時間に上げたのが2本だけだったのとは対照的だ。
根拠:首位はヘルスケア(XLV)の2.05%高。不動産(XLRE)が1.62%高、金融(XLF)が1.34%高、公益(XLU)が1.21%高で続く。金利が下がると買われやすい業種が上位に並んだ。情報技術(XLK)は0.46%高と中位にとどまる。ダウの上げ幅が最も大きいのは、金融や資本財の比重が高いためとみられる。
次:ラッセル2000も1.00%高と、中小型株にも買いが入っている。この幅広さが午後まで保たれるか。
4. 決算:同じ「予想超え」でも明暗
結論:寄り付き前に決算を出した企業は、予想超えの中身で選別された。ノースロップ・グラマンは6.82%高の545.70ドル、3Mは4.62%高の169.49ドル。一方、ゼネラル・モーターズ(GM)は5.28%安の78.36ドル、GEエアロスペースは2.54%安の303.51ドルである。
根拠:ノースロップは売上高が7%増の111億ドル、受注残が1,100億ドルに増え、通期見通しを引き上げた。3Mは通期の調整後1株利益の見通しを9.10〜9.15ドルとした。ただし集計の基準を変えた後の数字である。GMは7〜9月期の調整後EBIT(利払い・税引き前利益)が41億ドルで、200億ドルの自社株買い枠を新たに設けた。それでも通期の調整後1株利益の見通しは12.75〜13.75ドルと、幅を狭めただけで上限を下げた。GEエアロスペースは調整後1株利益が36%増の2.25ドルで、通期見通しを引き上げたが、株価は下げている。RTXは1.65%高。調整後1株利益2.26ドルには、関税の還付による0.25ドルが含まれる。
次:引け後(日本時間21日早朝)にネットフリックスが決算を発表する。株価は0.52%高の70.21ドル。論点はネットフリックスの決算プレビューにまとめた。21日にはテスラとメタが続く。メタは1.42%安と、大型ハイテク株で下げが目立つ。
5. 東京への持ち越し:日経先物は現物を約690円上回る
結論:21日の東京は、20日の大幅安の後で戻りを試す形になりうる。CMEの日経平均先物(円建て)は10時19分に6万4,765円と、20日の現物終値6万4,075円42銭を約690円上回る。
根拠:20日の日経平均は841円安で引けた。下げの中身は東京市場の引けの記事にある。米国の半導体株が戻したことで、先物は現物の終値の上に戻った。一方、ドル円は157円90銭と、前日から63銭の円高である。円高は輸出株の重荷になりうる。
次:先物は米国市場の引け(日本時間21日5時)までの値動きを反映する。10時30分の水準が残る保証はない。
30秒まとめ:米国株は寄り付きの売りから1時間で切り返し、ナスダックは0.55%高、ダウは1.11%高となった。原油の上げが消え、金利が下がったことで、11業種のうち10業種が上げた。決算はノースロップと3Mが買われ、GMは見通しの上限引き下げで売られた。
主な参照
- 株価指数、業種別ETF、個別株、金利、為替、原油、金、日経平均先物の気配値(10月20日9時44分〜10時30分=米東部時間)/Googleファイナンス
- 米国の9月の住宅着工件数/米商務省センサス局・住宅都市開発省
- ゼネラル・モーターズの7〜9月期決算(2026年10月20日)/米証券取引委員会(SEC)
- ノースロップ・グラマンの7〜9月期決算/SEC
- 3Mの7〜9月期決算/SEC
- GEエアロスペースの7〜9月期決算/SEC
- RTXの7〜9月期決算/SEC
データ基準日:2026年10月20日(米東部時間10時30分、日本時間23時30分)。株価、金利、為替、商品の値はGoogleファイナンスの取引時間中の気配値で、終値ではない。一部の項目は配信の遅延のため10時14分〜10時19分の値である。9時45分ごろの値は同じデータを本誌が9時44分〜9時45分に取得したもの。日経平均の現物終値は20日15時30分の値で、CMEの先物とは取引時間が異なる。決算の数字は各社がSECに提出した資料による。株価の値動きと決算の内容の因果関係は本誌の見方で、各社の説明ではない。本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の売買を推奨するものではない。投資判断はご自身の責任において行っていただきたい。
















