韓国のAIデータセンター企業エリスグループが20日、韓国の新興市場コスダックに上場した。初値は公開価格を16%下回り、終値は32%安の6万1,500ウォンだった。同じ日、東京ではフジクラや古河電気工業などデータセンター関連株が6%前後下げた。AIインフラへの資金の流れが細るのか。要点を5つにまとめる。
- 上場初日32%安。公開価格9万500ウォンに対し終値6万1,500ウォン。需要の強さと値段は別だった。
- 下げの背景は借金への不安。米コアウィーブの社債利回り上昇が、AIデータセンターの資金調達に影を落とした。
- 東京では電線株が最も売られた。フジクラ6.47%安、住友電工6.13%安。半導体株の下げは小さかった。
- 注目銘柄はフジクラとさくらインターネット。どちらも25日線から15%以上下に離れた。
- 次の判定は21日のメタ決算。設備投資の見通しが、売られた銘柄の行方を決める。
1. エリス、上場初日に32%安
結論:人気の新規上場が、初日に3割強下げた。公開価格は仮条件の上限の9万500ウォンで、調達額は2,010億ウォン(約1億5,100万ドル)。個人向けの応募倍率は約400倍に達していた。
根拠:初値は7万5,700ウォンで、公開価格を16.4%下回った。取引中は一時5万6,500ウォンまで売られた。終値は6万1,500ウォンで32.0%安。韓国の経済紙EBNは、ブルームバーグの集計として韓国の新規上場で最悪の初日成績だと伝えている。
次:エリスは2015年創業で、コーディング教育からGPUクラウドと小型データセンターの事業に移った。2025年の売上高は395億ウォン、営業利益は52億ウォン。上場時の時価総額約1兆ウォンに対し、利益は小さい。
2. 下げの背景は「借金」への不安
結論:市場が問い始めたのは、AIの需要ではなく、データセンターを建てる資金の持続性だ。EBNは、米コアウィーブの多額の借入と収益性への懸念が売りを呼んだと報じた。
根拠:コアウィーブの社債は利回りが15%前後まで上がり、株価は19日の終値61.12ドルで、12日の終値から約24%下げた。経緯は15日の記事で扱った。株探によると、豪州のファーマスや英国のエンスケールの新規上場は行き詰まっている。シンガポールのエアトランクも上場が延期される方向だ。
次:韓国株全体も弱い。総合株価指数(KOSPI)は20日に3.73%安の5,552.74で終え、SKハイニックスは4.23%安だった。AIへの期待で上げた市場ほど、下げも大きい。
3. 東京では電線株が最も売られた
10月20日の騰落率:データセンター関連株と指数
読み方:電線3社とソフトバンクGが6%前後下げ、半導体製造装置株の下げは小さかった。エリス(公開価格比32.04%安)は縮尺が合わないため図から外した。出所:米ヤフー・ファイナンスの終値(10月20日)から本誌計算。
結論:データセンター向けの光ファイバーや電線を手がける3社が、半導体株より大きく下げた。日経平均は841円28銭安(1.30%安)の6万4,075円42銭で終えた。
根拠:フジクラは6.47%安、住友電気工業は6.13%安、古河電気工業は5.90%安だった。ソフトバンクグループも6.01%安で、フィスコの集計では1銘柄で日経平均を約235円押し下げた。一方、東京エレクトロンは2.56%安、アドバンテストは1.68%安にとどまった。
次:株探は20日の特集で、信用取引の買い残が積み上がっていると指摘した。値ごろ感だけで買い向かうのは危険との見方も紹介している。午後の値動きの詳細は大引けの記事にある。
4. 注目はフジクラとさくらインターネット
フジクラ(5803):終値4,192円。5営業日で17.3%下げ、5月13日の終値7,855円からは47%安い。25日移動平均(5,057円)からの下方乖離は17.1%、14日RSIは32.6だ。売られすぎの手前にある。下値の目安は7月30日の終値3,720円。
さくらインターネット(3778):終値3,100円で、この日の安値で引けた。8月18日の終値4,300円から27.9%安。25日線(3,657円)から15.2%下に離れ、RSIは35.0。国内でGPUクラウドを手がけ、エリスと事業が近い。目安は75日線の3,414円と、6月11日の終値2,635円だ。
本誌の見方:2週間以内に両銘柄が25日線まで戻る確率は25%とみる。それより先に直近安値を試す確率は40%。残る35%はもみ合いだ。信用の買い残が整理されるまで、反発は戻り売りに押されやすい。
5. 次の判定は21日のメタ決算
結論:データセンター関連株の方向を決めるのは、米大手IT企業の設備投資の計画だ。最初の判定は21日(米国時間)のメタの決算になる。電話会見は日本時間22日5時30分に始まる。
根拠:メタは2026年の設備投資を1,300億〜1,450億ドルと見込む。この計画が維持され、2027年も増やす姿勢が示されれば、電線株には買い戻しの材料になる。論点はメタ決算のプレビューにまとめた。
次:エリスの2日目の値動きも見る。公開価格を大きく割ったままなら、アジアのAIインフラ株への警戒は続く。28日にはアルファベットとマイクロソフトが決算を発表する見込みだ。
30秒まとめ。韓国のAIデータセンター企業が上場初日に32%下げ、AIインフラの資金調達への不安が東京の電線株に及んだ。フジクラとさくらインターネットは売られすぎの手前にあるが、信用の買い残が重い。21日のメタ決算で設備投資の計画が維持されるかが、次の分かれ目になる。
主な参照
- エリスの上場初日の値動き、調達額、応募倍率(2026年10月20日16時15分=韓国時間)/EBN
- エリスのコスダック上場承認、公開価格、業績(10月16日)/SBS Biz
- データセンター関連株の特集、信用買い残の指摘(10月20日)/株探
- 海外のAIインフラ企業の上場計画の停滞(10月20日)/株探
- 各銘柄と株価指数の終値、初値、取引中の安値/米ヤフー・ファイナンス
データ基準日:2026年10月20日(東京・ソウルとも終値)。移動平均とRSIは米ヤフー・ファイナンスの日足終値から本誌が計算した。エリスの取引中の安値は報道により5万6,500〜5万8,000ウォンと差がある。「韓国の新規上場で最悪の初日」はブルームバーグの集計として報じられた内容で、本誌は独自に確認していない。ソフトバンクグループの日経平均への寄与度はフィスコの集計による。確率は本誌の判断であり、将来の株価を保証しない。本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の売買を推奨するものではない。投資判断はご自身の責任において行っていただきたい。
















