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ポンドドル見通し:1.34ドル目前、英CPIが関門

バヒティヨル マダジモフ バヒティヨル マダジモフ
2026年10月20日
FX, オピニオン, テクニカル, 経済
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ポンドドル
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まず下の1枚を見てほしい。ポンドドルは10月20日、英国の雇用統計を受けて上げ、日本時間22時55分に1.3393ドルを付けた。前日比0.63%高で、主要通貨の中でも上げが目立つ。けさの記事で「壁」とした1.34ドルまで、あと7ポイントである。この水準を抜けるかどうかは、あす21日の英消費者物価指数(CPI)がほぼ決める。

1.3393ドル
ポンドドル(10月20日22時55分、日本時間)
+0.63%
前日比
4.7%
英失業率(6〜8月、前回4.9%)
3.7%
定例賃金の伸び(予想3.6%)

本稿の見通しを先に示す。今後1〜2週間は1.33〜1.35ドルのレンジを基本とし、CPIが市場予想を上回れば1.3456ドル、下回れば1.32ドル台前半を試す。11月5日のイングランド銀行(英中銀、BOE)の会合までの中期では、上値1.3656ドル、下値1.3201ドルの3カ月レンジの中で、やや上寄りとみる。以下、その根拠を図で示す。

1.34ドルは、なぜ壁なのか

ポンドドルの節目(ドル)

1.31501.37201.3201ドル10/2 3カ月安値見通しの撤回線1.3331ドル10/19 参照レート最初の支え1.3400ドル1.34ドルの壁9/16以来回復せず1.3456ドル9/16 参照レート上抜け後の目標1.3656ドル8/21 3カ月高値中期の上限

読み方:現在値の1.3393ドル(10月20日22時55分)は、1.34ドルの壁の7ポイント下にある。上は9月16日の1.3456ドル、下は10月2日の1.3201ドルが目安になる。出所:欧州中央銀行の参照レートから本誌が換算(7月20日〜10月19日)、現在値はGoogleファイナンス。

欧州中央銀行(ECB)が毎日公表する参照レートから計算すると、ポンドドルが最後に1.34ドルを上回ったのは9月16日の1.3456ドルである。それ以降、1カ月以上この水準を回復していない。7月20日から10月19日までの3カ月では、高値が8月21日の1.3656ドル、安値が10月2日の1.3201ドル。19日の参照レートは1.3331ドルだった。

つまり1.34ドルは、9月半ばに下抜けた後、一度も戻れていない水準だ。ここを抜ければ次の目安は9月16日の1.3456ドルで、その上は3カ月高値の1.3656ドルまで目立った節目がない。逆に跳ね返されれば、19日の1.33ドル近辺が最初の支えになる。なお、参照レートは1日1回の値で、取引時間中の高値や安値とは一致しない。

きょうの雇用統計は何を変えたか

英国の雇用統計(10月20日公表、%)

失業率 今回6〜8月4.7%失業率 前回前回発表4.9%定例賃金 今回前年比、ボーナス除く3.7%定例賃金 予想市場予想3.6%総賃金 今回前年比、ボーナス含む3.7%総賃金 前回前回発表3.9%

読み方:失業率は下がり、定例賃金は予想を上回った。一方でボーナスを含む総賃金は伸びが鈍った。出所:英国家統計局(ONS)、前回値と市場予想はパウンド・スターリング・ライブなどの報道。

英国家統計局(ONS)が20日朝(英国時間7時)に公表した雇用統計では、6〜8月の失業率が4.7%と、前回発表の4.9%から下がった。市場予想は4.9%とも5.0%とも伝えられており、どちらを基準にしても予想より良い。ボーナスを除く定例賃金の伸びは前年比3.7%で、市場予想の3.6%、前回の3.5%を上回った。英中銀が物価の先行きを見るうえで重視するのが、この定例賃金である。

ただし、強い数字ばかりではない。ボーナスを含む総賃金の伸びは3.7%と前回の3.9%から鈍った。7〜9月の求人数は69万1,000件と2万1,000件減り、英メディアによれば12年ぶりの低さである。給与支払いデータの雇用者数は8月に前月比1,000人増とほぼ横ばいで、9月の速報値は1万3,000人増だった。ONS自身も定例賃金を「比較的安定」と表現している。労働市場が締まり直したというより、冷え込みが止まった、という読み方が近い。

市場の反応は素直だった。英国のポンド専門サイト、パウンド・スターリング・ライブによると、ポンドドルは発表直後に1.3330ドルから1.3348ドルへ上げた。その後、米国の金利低下でドルが全面安になったことも追い風になった。米10年債利回りは米東部時間9時31分に5.106%と、19日の終値5.15%(米財務省)から下がっている。

あすの英CPIと、その先の日程

ポンドドルを動かす日程(日本時間)

110/21 15:00英9月CPI(予想は総合3.4%、コア2.8%と報道)210/29 3:00FOMCの結果発表(10月利上げ確率15〜17%と報道)310/29 夜ECB理事会(据え置き予想が大勢)411/5 夜英中銀の政策決定(4.00%への利上げを織り込み)511/10 22:30米10月CPI

読み方:最初の山場はあすの英CPI。その後は米国とユーロ圏の会合が続き、11月5日の英中銀で一区切りとなる。出所:英国家統計局、FRB、欧州中央銀行、イングランド銀行、米労働統計局の公表日程。

英国の9月CPIは21日の英国時間7時(日本時間15時)に公表される。8月は総合が前年比3.1%、食品やエネルギーを除くコアが2.6%、サービスが3.4%だった。9月の市場予想は総合3.4%、コア2.8%と伝えられているが、予想値は調査によって差がある。英中銀の政策金利は3.75%で、9月17日の会合では6対3で据え置きが決まった。グリーン、マン、ピルの3委員は4.00%への利上げを主張した。

市場は11月5日の利上げをほぼ織り込んでいる。報道によれば、確率は9割強である。ロイターの10月15日の調査でも、11月に4.00%へ引き上げるとの見方が多数を占めた。ここが、ポンドの上値を考えるうえでの急所になる。利上げがすでに価格に入っているなら、CPIが予想通りでもポンドは上がりにくい。上げるには、11月の「次」、つまり12月以降の追加利上げを市場に意識させるほどの強い数字が要る。この織り込みの度合いはけさのポンドドルの記事で検証した。

米国側の日程も重い。米連邦公開市場委員会(FOMC)は27〜28日で、政策金利の誘導目標は3.75〜4.00%である。複数の報道によると、CMEグループのフェドウオッチが示す10月の利上げ確率は15〜17%で、12月はおよそ9割だ。10月の利上げ観測が後退していることが、きょうのドル安の背景の一つにある。その経緯はFRB10月利上げ確率の記事にまとめた。

CPI後のシナリオ

シナリオ9月CPI(総合)確率ポンドドルの想定理由
上振れ3.6%以上30%1.34ドルを上抜け、1.3456ドルを試す11月の次の利上げが意識され、英金利が一段高
予想通り3.3〜3.5%45%1.33〜1.35ドルのもみ合い11月の利上げは織り込み済みで、材料にならない
下振れ3.2%以下25%1.33ドルを割り、1.32ドル台前半へ英中銀の利上げは1回で終わるとの見方が強まる
確率と想定は本誌の判断。CPIの区分は市場予想(総合3.4%と報道)を中心に置いた。米国の金利とドルの動き次第で、同じCPIでも結果は変わりうる。

本誌が上振れに30%を置くのは、きょうの定例賃金が予想を上回り、サービス価格の伸びが鈍る材料が乏しいためだ。一方で、米銀ブラウン・ブラザーズ・ハリマン(BBH)は、英中銀の利上げは「織り込みすぎ」だと指摘したとFXStreetが伝えている。下振れの25%は、その見方を反映した。中期で上寄りとみる理由は、ポンド側の材料というより、ドル側の材料にある。10月のFOMCで利上げが見送られれば、ドルの重荷になりやすい。

個人投資家向けチェックリスト

  • 21日15時(日本時間)の英CPIの前後は、値幅が急に広がる。発表をまたいで建玉を持つなら、損切りの位置を先に決めておきたい。
  • 上方向の判断材料は、1.34ドルを日足の終値で上回るかどうか。取引時間中に一瞬抜けるだけでは、9月16日以来の壁を越えたとは言えない。
  • 見通しを取り下げる条件は、1.3201ドル(10月2日の安値)を割り込むこと。この場合、3カ月レンジの下限が破れ、レンジ相場という前提そのものが崩れる。
  • ポンド円で取引する場合は、ドル円の動きも同時に効く。ポンド円の水準感はポンド円見通しで扱った。

海外FX業者の仕組みや選び方は、FX解説ページにまとめている。

主な参照

  • 英国の雇用統計(2026年10月20日公表)/英国家統計局(ONS)
  • 英国の8月CPIと9月CPIの公表日/英国家統計局(ONS)
  • 政策金利と9月の決定内容/イングランド銀行
  • 雇用統計直後のポンドの値動きと市場予想/パウンド・スターリング・ライブ
  • ECBの参照レート(7月20日〜10月19日、ポンドドルは本誌が換算)/欧州中央銀行
  • FOMCの日程と政策金利/米連邦準備制度理事会(FRB)
  • 米国債利回りの終値(10月19日)/米財務省
  • ポンドドルと米10年債利回りの気配値(10月20日)/Googleファイナンス

データ基準日:2026年10月20日(日本時間22時55分)。ポンドドルは取引時間中の気配値で、終値ではない。1.3201ドル、1.3331ドル、1.3456ドル、1.3656ドルはECBの参照レート(ユーロドルとユーロポンドの値)から本誌が換算した1日1回の値である。米10年債利回りは米東部時間9時31分の値。英国の失業率と9月CPIの市場予想は報道によって数字が異なる。英中銀の11月利上げの確率、CMEフェドウオッチの確率、BBHの見方は報道によるもので、本誌は原資料を直接確認していない。シナリオの確率と想定レンジは本誌の判断で、将来の為替レートを保証しない。本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の売買を推奨するものではない。投資判断はご自身の責任において行っていただきたい。

Tags: FX見通しイギリスイングランド銀行インフレ為替為替見通し金利金融政策
バヒティヨル マダジモフ

バヒティヨル マダジモフ

投資銀行で5年、リテール証券会社で3年の実務経験を積んだのち、現在もFX・株式・オプションなど幅広い市場で実際にトレードを行っている。FX取引歴は10年以上、株式投資・トレード歴は4年以上におよび、オプションをはじめとする複雑な金融商品の実取引経験も豊富。株式・株式オプション・FX・暗号資産において自己のポジションを保有している。 こうした実務とマーケットでの経験をもとに、金融市場・暗号資産・FX・経済指標について、信頼性・正確性・迅速性の高い情報を届けることを目的としている。記事の内容は特定の金融商品の売買を推奨するものではなく、最終的な投資判断はご自身の責任において行ってください。

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