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ポンド円見通し:210円台回復、英CPIで213円試し

Takashi Suzuki Takashi Suzuki
2026年10月19日
FX, オピニオン, テクニカル
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先週、ポンド円の211円手前で売り向かった向きは、週明けの東京で少し肩が重くなっただろう。19日のポンド円は210円台後半まで買われ、株探によると13時30分時点で1ポンド=210円68銭前後と、前週末17時から37銭のポンド高・円安だった。日経平均が一時1,490円超下げた日に、ポンドは円に対しても、ドルに対しても下がらなかった。

結論から書く。筆者は、ポンド円は今後2〜4週間で211円台前半の上値を抜けて213円を試すとみている。根拠は英国の利上げ観測、21日の英消費者物価指数(CPI)、日英の金利差の3つだ。ただし208円50銭を終値で割り込んだら、この見立ては引っ込める。

テープ:株安の日に崩れなかったポンド

この日の東京は荒れた。日経平均は寄り付き直後に6万3,831円台まで売られ、最後は407円安の6万4,916円70銭で引けた。普段なら、こういう日は円が買われ、ポンド円のようなクロス円は売られやすい。ところがポンド円は高値圏を保った。ヤフー・ファイナンスでは15時40分時点で210円59銭、日中の高値は210円84銭だった。

フィスコは15時台の記事で、英中銀の来月の利上げ観測が急に強まるなか、今週の英CPIは伸びの加速が予想されていると伝えた。足元のポンドはドル、円、ユーロ、スイスフラン、豪ドルのいずれに対しても下げづらいとも書いている。ポンドドルも同時刻に1.3330ドルと、前週末の1.32ドル台後半から上げた。ポンドドルの見通しは16日の記事で扱っている。

円の側は動いていない。ドル円は15時時点で158円10銭前後と、前週末からほぼ横ばいだった。つまりこの日のポンド円の上げは、円売りではなくポンド買いで説明がつく。ドル円の水準は同日のドル円見通しにある。

需給:利上げを9割織り込んだ先の勝負

英中銀(イングランド銀行)の政策金利は3.75%で、2025年12月18日の利下げ以来据え置かれている。次の金融政策委員会の発表は11月5日だ。ロイター通信が10月12〜14日に実施したエコノミスト調査では、63人中54人が11月に0.25%の利上げで4.00%に上がると予想した。前月の調査から大きく見方が変わった。英国のニュースサイト、パウンド・スターリング・ライブは10月9日、短期金融市場が11月の利上げをおよそ9割の確率で織り込んでいると伝えている。

ここが需給の肝だ。9割織り込んだ利上げは、実際に決まっても大きな買い材料にはならない。値幅が出るのは、その先の利上げの回数が変わるときである。同じロイター調査では、2027年1〜3月期にもう1回の利上げを見込むエコノミストは61人中30人と、ちょうど半分に割れた。21日のCPIがこの割れた見方をどちらに傾けるかで、ポンドの次の値幅が決まる。

英国家統計局によると、8月のCPIは前年同月比3.1%上昇で、7月の2.9%から伸びが高まった。食品とエネルギーなどを除くコア指数は2.6%、サービス価格は3.4%で、いずれも7月と同じだった。ロイター調査のCPI予想の平均は、7〜9月期が3.6%、10〜12月期が3.8%である。総合の伸びは高まっていくが、コアとサービスはまだ動いていない。筆者が21日に一番見るのは、総合ではなくサービス価格の数字だ。

円側の金利は上がってはいるが、英国とはまだ距離がある。日銀は9月18日の会合で政策金利を1.25%程度に引き上げた。英中銀との差は2.5ポイントある。長期金利では、フィスコによると19日の新発10年国債利回りは2.898%、英10年国債は5.37%近辺で、差はおよそ2.5ポイントだった。この差が縮まらないかぎり、ポンド円を持つ側は金利を受け取り続けられる。

水準の地図

ポンド円の水準の地図(10月19日15時40分時点)

205221206.90円9月末の安値下抜けの目安208.50円撤退線終値で割れたら撤退210.59円現在値15時40分211.25円9月中旬の高値レンジ上限213.00円75日・200日線2〜4週間の目標219.52円年初来高値7月中旬

読み方:9月中旬から1カ月は207〜211円のレンジ。211円25銭を抜ければ、75日線(213円25銭)と200日線(212円98銭)が重なる213円前後が次の目安になる。出所:ヤフー・ファイナンスの日足から本誌計算。

9月中旬から1カ月、ポンド円はほぼ207円から211円のあいだで行き来してきた。下は9月末の206円90銭、上は9月中旬の211円25銭である。10月半ばの押し目は208円60銭前後で止まった。ヤフー・ファイナンスの日足終値から計算すると、25日移動平均線は209円25銭で、相場はその上にある。一方、75日線は213円25銭、200日線は212円98銭で、どちらも上にかぶさっている。

上の目安はふたつある。まず211円25銭。ここを抜ければ1カ月続いたレンジの上抜けになる。次に213円前後で、75日線と200日線が重なる。7月中旬につけた年初来高値219円52銭までは、そこからさらに6円ある。今回の見立てで、そこまでは見ていない。

筆者の見立て:2〜4週間で213円試し

筆者はポンド円を強気でみている。根拠は3つある。1つ目は、株安の日にもポンドが崩れなかったことだ。リスク回避で売られない通貨は、地合いが戻ったときに素直に上がりやすい。2つ目は、21日の英CPIで伸びの加速が予想されていることだ。予想どおりでも、利上げを2回織り込む方向に傾けば、ポンドの下値は堅くなる。3つ目は金利差である。日銀の利上げで円金利は上がっているが、2.5ポイントの差はすぐには埋まらない。

シナリオ(11月5日の英中銀会合まで)筆者の確率ポンド円の目安きっかけ
上抜け:レンジを上に抜ける45%211円25銭を抜けて213円前後英CPIでサービス価格が加速、利上げ2回の織り込みが進む
もみ合い:レンジにとどまる35%208円50銭〜211円25銭英CPIが予想どおり、28日の英予算案待ち
下抜け:レンジを下に抜ける20%206円90銭を割り込み205円台英CPIの下振れ、日銀の追加利上げ観測、円買い介入
確率は筆者の見立てであり、市場の織り込みではない。水準はヤフー・ファイナンスの日足にもとづく。

正直、1カ月先の数字を言い切るのは怖い。それでも上抜けを本線に置くのは、下抜けのきっかけが今週は見当たらないからだ。日銀の会合は29〜30日で、そこまで円金利に大きな動きは出にくい。英国の予算案は28日に出る。英政府が7月31日に日程を公表した。財政への不安でポンドが売られる場面はありうるが、それは来週の話になる。

逆になったら:208円50銭が撤退線

見立てが外れる形は2つある。ひとつは21日の英CPIが予想を下回り、とくにサービス価格が鈍る場合だ。利上げ2回の議論が消えれば、9割まで積み上がった11月利上げの織り込みそのものが削られる。もうひとつは円の急騰である。ドル円は158円台で膠着しており、同日のドル円見通しは159円台を売り場とみている。ドル円が急落すれば、ポンド円も一緒に下がる。

撤退線:208円50銭(終値ベース)。10月半ばの押し目208円60銭のすぐ下である。ここを終値で割り込んだら、筆者は上抜けの見立てを取り下げ、206円90銭までの下げを想定し直す。レバレッジをかけた取引では、英CPI発表の前後にスプレッドが広がりやすい点に注意が要る。

今週から来月の監視リスト

日時(日本時間)イベント見るところ
10月20日15時英国の雇用統計賃金の伸び。英CPIの前哨戦になる
10月21日15時英9月CPIサービス価格が8月の3.4%から上がるか
10月28日英国の予算案財政への不安でポンドが売られるか
10月29〜30日日銀の金融政策決定会合12月の追加利上げを示唆するか
11月5日英中銀の政策金利発表4.00%への利上げと、次の利上げの示唆
出所:英国家統計局、英政府、日本銀行、イングランド銀行の公表日程。英国の統計は英国時間7時発表で、日本時間では15時になる。

ポンドの構造的な弱点、つまり財政と政治の問題はポンドドルの分析記事に、円の金利の見通しはユーロ円の記事にまとめている。FX取引の仕組みや業者選びはFX解説ページにある。

主な参照

  • ポンド円の気配(10月19日13時30分)/株探
  • 英利上げ観測とポンドの地合い(10月19日15時4分)/株探(フィスコ)
  • ドル円の水準(10月19日15時)/株探(みんかぶ)
  • 日英の10年国債利回り(10月19日)/株探(フィスコ)
  • エコノミスト調査(10月12〜14日実施)/ロイター(Investing.com掲載)
  • 11月利上げの織り込み(10月9日)/Pound Sterling Live
  • 政策金利の推移/イングランド銀行、会合日程は同行
  • 英8月CPIと次回公表日/英国家統計局
  • 英予算案の日程(2026年7月31日公表)/英政府
  • 日銀の利上げ(2026年9月18日)/共同通信(熊本日日新聞掲載)、会合日程は日本銀行
  • ポンド円・ポンドドルの日足と移動平均の計算/Yahoo!ファイナンス

データ基準日:2026年10月19日(日本時間15時40分)。為替は取引時間中の値で、終値ではない。移動平均と高値・安値はヤフー・ファイナンスの日足から本誌が計算した。シナリオの確率は筆者の見立てであり、将来の値動きを保証するものではない。外国為替証拠金取引は元本を上回る損失が出ることがある。売買の判断は読者自身の責任で行ってほしい。

Tags: FX見通しイギリスイングランド銀行インフレ円相場日銀為替為替見通し金利
Takashi Suzuki

Takashi Suzuki

大手マーケットメイカーのFXトレーディングデスクで8年以上にわたりキャリアを積み、うち3年は為替フォワードデスク、その後2年は金利(レート)デスクを担当した。さらにシンガポールではアジア・トレーディングデスクのヘッドとして4年間チームを率い、地域全体のフローとリスク管理を統括してきた。 現在もFX・金利・株式など幅広い市場で実際にトレードを行っており、機関投資家の最前線で培った実取引経験は豊富。FX・株式・暗号資産において自己のポジションを保有している。 こうした実務とマーケットでの経験をもとに、金融市場・暗号資産・FX・経済指標について、信頼性・正確性・迅速性の高い情報を届けることを目的としている。記事の内容は特定の金融商品の売買を推奨するものではなく、最終的な投資判断はご自身の責任において行ってください。

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