10月19日月曜、東京市場の前場の番付を発表する。日経平均は前営業日比790円26銭安の6万4,534円03銭で前引けした。朝方は9時16分に6万3,831円78銭まで売られ、下げ幅は一時1,492円に達している。そこから約700円を取り戻した。東の横綱は鉱業株と石油株、西の序二段に落ちたのは太陽誘電とソフトバンクグループ(SBG)だ。そして技能賞は、5%安で寄り付きながら前引けではプラスに浮上したキオクシアホールディングスに贈る。
指数の下げ幅に比べ、中身は落ち着いていた。TOPIXは0.39%安の4,050.34で、日経平均の下落率1.21%の3分の1にとどまる。東証プライムの値上がりは656銘柄、値下がりは845銘柄で、全体の4割以上が上げている。33業種でみると18業種が上昇、15業種が下落した。売られたのはAIと半導体の値がさ株であり、市場全体が崩れたわけではない。
東証33業種の前場騰落率(上位5・下位5、10月19日11時30分)
読み方:上位は資源と内需、下位は電機・非鉄・機械といった半導体とAIに近い業種である。33業種のうち18業種が上げ、15業種が下げた。出所:株探の東証33業種別指数(前場の値、10月19日11時30分時点)。
番付表——前場の勝ち組と負け組
本誌が値動きを追った主力50銘柄から、勝ち越し組と負け越し組を3銘柄ずつ、それに技能賞の1銘柄を並べた。騰落率は前営業日(10月16日)の終値に対する11時30分時点の値である。
| 番付 | 銘柄 | 前引け | 前営業日比 | 寄り付きの騰落率 | 判定 |
|---|---|---|---|---|---|
| 東の横綱 | イオン(8267) | 1,158円 | +3.44% | +0.67% | ◎ |
| 西の横綱 | INPEX(1605) | 3,787円 | +3.19% | +0.82% | ◎ |
| 東の大関 | ENEOSホールディングス(5020) | 1,412.5円 | +1.84% | +0.68% | ○ |
| 技能賞 | キオクシアホールディングス(285A) | 13,450円 | +0.56% | −5.01% | ○ |
| — | (以下、負け越し側) | ||||
| 東の幕下 | SCREENホールディングス(7735) | 13,205円 | −4.42% | −4.99% | × |
| 西の幕下 | ソフトバンクグループ(9984) | 4,701円 | −4.92% | −4.25% | × |
| 西の序二段 | 太陽誘電(6976) | 9,384円 | −6.81% | −5.96% | × |
表の右から2列目が、この日の勝敗を分けた。勝ち組は寄り付きから小幅高で、そのまま上げ幅を広げた。負け組は寄り付きで5%前後売られ、戻せなかった。技能賞のキオクシアだけが、5%安から上げに転じている。前場は「寄り付きの位置から、どちらへ動いたか」で読むのがいちばんわかりやすい。
東の横綱・資源株——◎
業種別の首位は鉱業で2.92%高、海運業が1.64%高、石油・石炭製品が1.56%高で続いた。INPEXは3.19%高の3,787円、ENEOSホールディングスは1.84%高である。材料は前週末の原油高だ。16日のニューヨーク市場でWTI原油先物の11月限は3.44ドル高の1バレル101.41ドルで取引を終え、約1カ月ぶりの高値圏に戻った。サウジアラビアとイエメンの親イラン武装組織フーシ派の攻撃の応酬で中東への警戒が強まったと株探は伝えている。
ただし、原油は週明けのアジア時間に下げている。ロイターによると、日本時間19日11時半ごろにブレント原油先物は1.7%安の107.95ドル、米国産原油は0.8%安の100.62ドルだった。株価は金曜の原油高を買い、原油そのものは月曜に売られている。判定は◎だが、この一番は後場に原油が戻るかどうかに左右される。原油相場の背景はブレント110ドルの記事で整理した。
東の横綱・イオンと内需株——◎
イオンは3.44%高の1,158円で、主力50銘柄の中で上昇率の首位だった。会社からの発表は確認できず、上げの理由を特定できる一次情報もない。ただ、内需株全体に買いが入っている。業種別では不動産業が1.36%高、電気・ガス業が1.21%高、陸運業が0.81%高。KDDIは1.80%高、JR東日本は1.56%高だった。オリエンタルランドは10日続伸で、連日で年初来高値を更新している。
外食株にもはっきりした材料がある。株探によると、高市早苗首相は16日の参院予算委員会で、食料品の消費税を下げても税率10%が残る外食産業について、プレミアム付き商品券などの需要喚起策を検討していると述べた。すかいらーくホールディングスは1.39%高、ゼンショーホールディングスは1.17%高である。判定は◎。半導体から内需・ディフェンシブへ資金が移る流れは、前週後半から続いている。
技能賞・キオクシア——○(5%安からの逆転)
この日の前場でいちばん技のある一番だった。キオクシアは寄り前に売り気配で始まり、9時6分に1万2,705円で寄り付いた。前営業日比5.01%安である。そこから買い戻され、10時22分に1万3,670円の高値を付けた。前引けは1万3,450円、0.56%高。安値から高値まで970円、率にして7.6%の値幅を前場だけで動いた。
売買代金は前場だけで4,592億円に達し、プライム市場で首位だった。同じく売買の多かったアドバンテストの2,868億円を大きく上回る。株価は25日移動平均の1万7,276円を22%下回り、14日間の相対力指数(RSI)は約32と売られすぎの目安とされる30に近い。下げすぎた株に押し目買いが入った、というのが値動きの素直な読み方だ。
判定を◎ではなく○にとどめたのは、高値から220円押し戻されて前場を終えたためである。決算発表は10月30日に予定されており、それまでは戻り売りとの綱引きが続きやすい。売られすぎかどうかの検証は16日の記事で詳しく扱った。
西の序二段・太陽誘電と半導体装置株——×
太陽誘電は6.81%安の9,384円で、主力50銘柄の中で下落率が最も大きかった。前場の売買代金は1,809億円にのぼる。こちらも会社からの発表は確認できず、下げの理由を特定できる一次情報はない。電子部品では村田製作所が2.75%安、TDKが2.21%安と、同業もそろって売られた。
半導体製造装置では、レーザーテックが4.95%安、SCREENホールディングスが4.42%安、東京エレクトロンが2.82%安、アドバンテストが2.81%安だった。株探が伝えるように、前週末の米国でフィラデルフィア半導体株指数(SOX)が3.8%下げた流れがそのまま東京に来ている。16日の米国株はナスダック総合指数が2.1%安の2万6,140.03、S&P500が1.1%安の7,659.44で、主要指数は6月以来の大きな週間下落になった。
ただし、装置株にも差がある。アドバンテストは寄り付きの6.08%安から下げ幅を半分以下に縮め、ディスコも4.25%安から1.80%安まで戻した。逆にレーザーテックとSCREENは、寄り付きとほぼ同じ水準で前場を終えている。戻した銘柄と戻さなかった銘柄がはっきり分かれた。
西の幕下・ソフトバンクグループ——×
SBGは4.92%安の4,701円。9時38分には4,622円まで下げた。寄り付きの4.25%安から下げ幅を広げた、前場では数少ない銘柄の一つである。10月7日の終値6,310円からわずか8営業日で25.5%下げ、7月30日に付けた安値4,500円が近づいてきた。
米ブルームバーグ通信は17日、SBGが米警備最大手アライド・ユニバーサルの買収を検討していると報じた。協議は初期段階で、買収総額は負債を含めて300億ドル近くになる可能性があるという。この報道を受け、SBG傘下のソフトバンクロボティクスと提携する警備会社のアール・エス・シーが一時ストップ高となった。一方、SBG株そのものは買われていない。本誌は、AI投資の負担が重いところへ大型買収が加わることへの警戒が勝っているとみる。判定は×で、この日の前場では最も重い負け越しだった。
殊勲賞・先物の買い——下げ渋りを作った
前場の流れを決めたのは、個別株ではなく先物だった。株探は、売り一巡後に海外の機関投資家とみられる日経平均先物への買いが入り、それを足場に下げ渋ったと伝えている。安値は9時16分、TOPIXの安値は9時17分。キオクシア、アドバンテスト、フジクラの前場の高値はいずれも10時21分から22分に集中した。寄り付きから約1時間で売りが出尽くし、その後は買い戻しが続いた形だ。
前場の時間割(10月19日)
読み方:売りは寄り付きから約15分で出尽くし、10時20分ごろまで買い戻しが続いた。出所:Yahoo!ファイナンス(指数の時刻)、株探(個別銘柄の時刻)、FXStreet(中国GDP)。時刻は日本時間。
前週末の夜間取引では、日経平均先物が6万3,000円台まで売られていた。現物の安値6万3,831円78銭は、その水準を大きく割り込まずに止まったことになる。前週末の米国市場と夜間先物の動きは17日の記事にまとめてある。
場外——中国のGDPと円相場
取引時間中の11時(日本時間)に、中国国家統計局が7〜9月期の国内総生産(GDP)を発表した。前年同期比4.5%増で、市場予想の4.4%増を上回り、4〜6月期の4.3%増から伸びが高まった。輸出が伸びを支えた一方、9月の小売売上高は前年同月比1.1%増にとどまっている。外需頼みの成長で、日本の内需株や資源株への直接の追い風とはいいにくい。
為替は落ち着いている。ドル円は11時45分ごろ157円98銭前後で、この日の高値158円08銭から大きく動いていない。159円の手前で止まる構図は前週から変わらず、輸出株の支えにも重しにもなっていない。
来場所の注目取組
| 日時(日本時間) | 取組 | 見るところ |
|---|---|---|
| 19日 12時30分〜 | 後場 | キオクシアが1万3,670円の高値を抜くか、SBGが4,622円を割るか |
| 21日朝 | 米ネットフリックス決算(米国20日) | 米ハイテク決算の初戦 |
| 22日朝 | 米メタ・テスラ・IBM決算(米国21日) | メタの設備投資計画が半導体株の地合いを決める |
| 22日 16時 | ディスコ決算 | 装置株の受注の手応え |
| 23日 8時30分 | 全国消費者物価指数(9月) | 日銀の10月29〜30日会合の前の最後の物価統計 |
| 23日 引け後 | ファナック決算 | 設備投資の裾野 |
今週の決算の見どころは決算プレビューで、指数と寄与度の関係は日経平均の寄与度の解説で扱っている。前場の番付をまとめれば、負けたのは値がさの半導体株、勝ったのは資源株と内需株だ。指数の790円安ほど、市場の地合いは悪くない。
主な参照
- 前引けの日経平均、売買代金、値上がり・値下がり銘柄数、先物の買い/株探(MINKABU PRESS)
- 日経平均とTOPIXの前場の始値・高値・安値と時刻/Yahoo!ファイナンス(日経平均)、Yahoo!ファイナンス(TOPIX)
- 東証33業種別の前場の騰落率/株探
- 個別銘柄の前引け・始値・売買代金/株探(キオクシア)ほか各銘柄ページ
- WTI原油先物の16日終値、外食株と首相答弁、アール・エス・シーとSBGの買収報道/株探
- 16日の米国株の終値/AP通信(La Nación掲載)
- 19日のアジア時間の原油相場/ロイター(Investing.com掲載)
- 中国の7〜9月期GDP/FXStreet、中国国家統計局
- ドル円の気配値/みんかぶFX
データ基準日:2026年10月19日の東京市場の前引け(11時30分)。本文の株価・指数・業種別騰落率はすべて前場の値であり、終値ではない。後場の値動きで大きく変わる可能性がある。米国株は10月16日の終値、原油はWTIが16日の清算値、19日分はアジア時間の取引中の値である。ドル円は19日11時45分ごろの気配値。主力50銘柄は本誌が選んだもので、東証の公式な分類ではない。25日移動平均とRSIは株探の日足終値から本誌が計算した(19日分は前引けの値を使った)。イオンと太陽誘電の値動きについて、理由を特定できる一次情報は本稿執筆時点で確認できていない。SBGの買収検討はブルームバーグの報道によるもので、同社は公表していない。番付と判定は本誌の整理であり、将来の株価を保証しない。本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買を推奨するものではない。投資判断はご自身の責任において行っていただきたい。
















