ポンド円が213円台に乗せたまま、英国の利上げ判断の日を迎えた。11月5日の日本時間7時45分時点で、1ポンド=213円24銭前後である。本誌が10月21日に置いた「213円試し」の見立ては、これで到達した。問題はここから先で、今夜21時のイングランド銀行(英中銀)の判断と、前日に起きた原油の急落をどう読むかにかかっている。
本誌は今後1〜2週間のポンド円を強気でみる。中心の目安は214円、上は215円20銭までだ。ただし利上げの後の言葉次第で、発表直後に212円台後半まで押す展開を本線に置く。要点は次の5つである。
- 到達:ポンド円は213円24銭。200日線(212円86銭)の上に出た。
- 主役:上げたのはポンドで、円ではない。ドル円は158円台前半でほぼ横ばいだ。
- 今夜:英中銀は3.75%から4.00%への利上げが大勢の予想。焦点は投票の割れ方だ。
- 新材料:原油先物が4日に8%前後下げた。英国の物価を押し上げてきた燃料高が逆回転し始めた。
- 見立て:本線55%で押し目、30%で215円台へ、15%で210円台へ。撤退線は210円22銭。
1. ポンド円は213円台、10月の目標に届いた
結論:ポンド円は長期の移動平均線の束を上に抜けた。TradingViewの日足で、200日線は212円86銭、100日線は213円00銭にある。現値の213円24銭は、そのどちらも上回る。
根拠:欧州中央銀行(ECB)の参照レートで見ると、上げは今週に集中している。11月2日の211円89銭から、4日には213円64銭まで上げた。2営業日で0.8%高だ。この1カ月の高値は213円77銭で、まだ抜けていない。
本誌は10月21日のポンド円見通しで、2〜4週間での213円試しを見込んだ。当時は211円50銭前後だった。2週間で目標に届いたことになる。
次:今夜の発表後に、212円86銭から213円00銭の帯を終値で守れるかを見る。守れれば、抜けた壁が支えに変わったと判断できる。
ポンド円の水準の地図(2026年11月5日7時45分)
読み方:現値は200日線と100日線の束(212.86〜213.00円)のすぐ上にいる。発表後にこの帯を終値で守れるかが最初の分かれ目で、50日線210.22円の終値割れで強気の見立ては撤回する。出所:TradingViewの日足(移動平均・高値安値、11月5日7時45分時点の概算)、ECB参照レートから本誌整理。
2. 上げの主役はポンド、円は動いていない
結論:今週のポンド円高は、円安ではなくポンド高で説明がつく。日本時間5日7時45分のポンドドルは1.3469ドル、ドル円は158円33銭だった。掛け合わせると213円25銭前後で、現値と合う。
根拠:米中間選挙で民主党が両院を握る流れとなり、ドルが売られた。ドル指数は4日に0.37%安の101.51まで下げた。ドル円は158円台前半から動いておらず、ドル売りの受け皿がポンドとユーロになった形だ。
円の側にも買われにくい事情がある。日本の10年債利回りは4日に2.819%まで上がったが、円高には結びついていない。日銀は9月18日に政策金利を1.25%程度へ上げ、10月30日は8対1で据え置いた。今朝8時50分には9月会合の議事要旨が出る。
次:議事要旨で12月の利上げ観測が強まれば、円買いがポンド円の上値を抑える。ドル円の見立ては4日のドル円見通しに書いた。
3. 今夜21時の英中銀、焦点は投票の割れ方
結論:利上げ自体は値段に入っている。値動きを決めるのは、投票の割れ方と、追加利上げへの言及の強さだ。
根拠:英中銀の政策金利は3.75%で、次回の判断は11月5日と公表されている。四半期ごとの金融政策報告も同時に出る。9月17日の会合は6対3の据え置きで、グリーン、マン、ピルの3委員が4%への利上げを主張した。ロイターが10月15日に伝えた調査では、63人中54人が11月の利上げを予想した。
英国の物価は利上げを後押しする。英国統計局によると、9月の消費者物価は前年比3.5%で、8月の3.1%から加速した。サービス価格は3.7%だった。英中銀は9月の時点で、2027年1〜3月期に4%をやや上回るとみていた。
次:発表はロンドン時間12時で、日本時間では21時にあたる。英国は10月末に冬時間へ移り、時差は9時間になった。続く総裁会見の時刻も含め、タイムゾーン変換ツールで手元の時間に直しておくと迷わない。
4. 原油8%安は、英国の追加利上げを削る材料
結論:前日からの新しい材料は原油だ。英国の物価高の主因は燃料だったため、原油安は追加利上げの回数を減らす方向に働く。
根拠:4日の米国市場で、WTI原油先物(12月限)は7.69ドル安の88.39ドルで引けた。トランプ大統領が選挙の敗因をイラン戦争に求めたことで、戦争終結への思惑が広がったと報じられている。北海ブレントの期近物も8%を超えて下げ、94ドル台に沈んだ。英国統計局は9月の物価上昇の最大の要因を、輸送、とくに自動車燃料と説明している。
金利もそれを映した。英2年債利回りは4日に約10bp下げ、4.753%となった。英10年債は5.16%で、日本の10年債との差は2.34ポイントまで縮んだ。政策金利の差は、英国が上げれば2.50ポイントから2.75ポイントに広がるが、長期金利の差は逆に縮んでいる。
次:英中銀が原油安を理由に「今回で打ち止め」を示せば、ポンドは利上げでも売られうる。この視点はポンドドル見通しの「ハト派的な利上げ」と同じ構図だ。
5. 見立て:3つのシナリオと撤退線
結論:本線は「ハト派的な利上げ」で、確率は本誌の主観で55%と置く。発表直後に212円86銭から213円00銭の帯まで押し、そこが押し目になるとみる。
| シナリオ | 確率(本誌) | 英中銀の中身 | ポンド円の目安(1〜2週間) |
|---|---|---|---|
| 本線:ハト派的な利上げ | 55% | 4.00%へ、7対2前後。追加利上げにはけん制 | 212円86銭まで押した後、213〜215円 |
| 対抗:強い利上げ | 30% | 8対1以上。追加利上げの余地を残す | 214円50銭〜215円20銭 |
| 波乱:据え置き・僅差 | 15% | 3.75%据え置き、または5対4 | 211円割れ、50日線210円22銭を試す |
根拠:215円20銭は、9月2日のECB参照レート(215円19銭)とほぼ同じ水準だ。翌3日に210円台へ急落する前の水準で、戻り売りが出やすい。その上は過去3カ月の高値217円47銭、52週の高値219円61銭となる。
年末までの中期では、210円から217円のレンジを想定する。12月17日に英中銀の次回会合がある。日銀が12月に動くかも重なり、上下とも値幅が出やすい時期だ。
次:日足の終値で50日線の210円22銭を割れば、強気の見立ては撤回する。取引時間中の一時的な割れでは判断しない。発表直後の30分は値が飛びやすく、高いレバレッジでの新規売買は避けたい。
30秒まとめ:ポンド円は213円台に届き、200日線の上にいる。今夜の利上げは織り込み済みで、原油安が追加利上げを削る点が新しい。212円86銭が押し目の目安、210円22銭の終値割れが撤退線だ。
これからの日程(日本時間)
- 11月5日(木)8時50分:日銀の9月会合の議事要旨
- 11月5日(木)21時:英中銀の政策金利、議事要旨、金融政策報告
- 11月6日(金)22時30分:米10月雇用統計
- 12月17日(木):英中銀の次回会合
英国と日本の政策金利の差は、FX取引ではポンド円を買い持ちしたときのスワップポイントとして日々受け取る形になる。その一方で、今夜のような発表時は値幅が金利差の数日分を一晩で吹き飛ばす。取引の仕組みや口座の基本はFX解説ページにまとめている。
主な参照
- 政策金利3.75%と次回判断日(11月5日)/イングランド銀行
- 2026年の会合日程と金融政策報告の公表月(11月5日、12月17日)/イングランド銀行
- 9月会合の投票(6対3)と物価見通し/イングランド銀行
- ロイター調査(63人中54人が11月利上げを予想、10月15日)と発表時刻12時(英国時間)/ダウルトン・ブリッジング・ファイナンス(ロイター調査を引用)
- 9月の消費者物価指数(3.5%、サービス3.7%)/英国統計局
- 日銀の政策金利(9月18日の利上げ、10月30日の据え置き)/日本銀行
- 日銀議事要旨の公表時刻(11月5日8時50分)/インベスティングライブ
- 4日のWTI原油終値(7.69ドル安の88.39ドル)/インベスティングライブ
- 4日の米市場のまとめ(原油・米10年債利回り)/インベスティングライブ
- トランプ大統領の発言(敗因はイラン戦争)/インベスティングライブ、原油急落の報道/オイルプライス・ドットコム
- 米10月雇用統計の公表日時/米労働統計局
- ポンド円の日次参照レート(ECB)/欧州中央銀行
- ポンド円・ポンドドル・ドル円の気配値、移動平均、高値・安値、英日国債利回り、ドル指数、ブレント原油/TradingView
データ基準日:2026年11月5日、日本時間7時45分。ポンド円・ポンドドル・ドル円はこの時点の取引時間中の気配値で、終値ではない。移動平均線、1カ月・3カ月・52週の高値と安値はTradingViewの日足にもとづく概算で、情報ベンダーにより差が出る。日付付きの値(11月2日・4日、9月2日など)はECBの参照レート(中欧時間14時15分ごろ)で、取引時間中の高値・安値とは異なる。英日の国債利回り、ドル指数、ブレント原油は11月4日の米国時間の取引終盤の値である。ロイター調査は二次情報源経由で確認したもので、11月時点の金利市場の織り込み確率は確認できていない。原油急落の理由は報じられている見方である。シナリオの確率と目安は本誌の主観で、将来の相場を保証しない。本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の通貨の売買を推奨するものではない。投資判断はご自身の責任において行っていただきたい。












