メタプラネット(3350)の株価は11月5日、前日比7.02%高の259円で取引を終えた。それでも時価総額は、同社が持つビットコインの評価額の6割にとどまる。ビットコインを買うために作られた会社が、そのビットコインより安く売られている計算だ。割安なのか、それとも理由のある値付けなのか。要点を5つに絞る。
- 株価:終値259円、7.02%高。売買代金は約66.8億円に膨らんだ。
- mNAV:時価総額÷ビットコイン評価額は約0.59倍。保有分の4割引きで取引されている。
- 自社株買い:600億円枠のうち約252.7億円を10月末までに使った。消化率は42.1%。
- 転換社債:520億円、転換価額は339円。株価より3割上にある。
- 次:11月13日の決算と、ビットコインの7.6万ドル台の安値が試金石になる。
1. 株価は7%高、それでも年初来高値の4割
結論:米中間選挙後の反発で7%上げたが、水準はまだ低い。根拠:5日の東証終値は259円、前日比17円高。始値258円、高値269円、出来高は2,542万株だった。2026年の高値は1月15日の639円で、終値はその40.5%にすぎない。
年初来安値は7月1日の192円である。株価は高値から6割下げ、安値からは35%戻した位置にいる。次:夜間のPTS(私設取引システム)では22時46分時点で256円と、日中の上げをわずかに削った。
2. mNAVは0.59倍、保有ビットコインより安い
結論:市場は保有ビットコインを4割引きで評価している。根拠:自己株式を除く発行済み株式は12億6,780万株(10月31日時点、会社開示)。終値259円を掛けた時価総額は約3,284億円になる。
保有量は、9月末で約4万4,000BTCと報じられている。日本時間5日15時のビットコイン円建て価格1,268万7,122円で換算すると、評価額は約5,582億円だ。時価総額をこれで割ったmNAV(ビットコイン評価額に対する時価総額の倍率)は約0.59倍になる。会社が開示した6月末の4万3,000BTCで計算しても約0.60倍で、結論は変わらない。
次:この倍率は負債を差し引いていない単純な計算だ。借入金や社債を含めた企業価値で見る別の計算では0.85倍前後とする報道もあり、定義で数字が変わる点に注意したい。
3. 自社株買いは2週間半で252億円
結論:会社は割安を自ら買いに行っている。根拠:10月13日に、上限2億株・600億円の自社株買いを決議した。期間は2027年10月13日まで。11月2日の開示によると、10月14日から31日までに9,644万7,400株を252億6,903万円で取得した。
金額の消化率は42.1%、残りは約347億円だ。1株あたりの平均取得単価は約262円になる(本誌計算)。5日の終値259円は、会社の平均取得単価をわずかに下回る。次:11月以降の取得状況は、月初の開示で確認できる。
4. 転換社債520億円、339円が上値の目安
結論:割安の裏には、将来の株数増加という重荷がある。根拠:同社は10月13日、ゼロクーポンのユーロ円建て転換社債520億円の条件を決めた。満期は2031年10月29日、転換価額は339円。決定日の終値261円に対し29.89%上の水準だ。
すべて株式に替わると、株数は約11%増えると報じられている。資金はビットコイン担保の借入返済と自社株買いに充てる計画とされる。転換の受付は11月12日に始まると伝えられている。次:株価が339円に近づくほど転換が意識され、上値を抑えやすい。
5. 次の試金石は決算とビットコインの安値
結論:株価を動かすのは、ビットコインの方向と決算で示す資金計画だ。根拠:ビットコインは米国時間4日に一時7万6,000ドル台まで下げた。CoinGeckoの1時間足では、4日正午(日本時間)に7万6,199ドルを付け、9月中旬以来の安さだった。日本時間5日22時44分は7万9,699ドルである。
決算は11月13日と報じられている。注目は保有量の更新と、借入の返済状況だ。本誌の見立てでは、ビットコインが7万6,000ドルを割らずに推移すれば、株価は自社株買いの支えで250〜280円の往来になる確率が6割。7万6,000ドルを割れば、mNAVの割引が縮まらないまま株価も下げる確率が3割、339円に迫る上振れは1割とみる。
次:ビットコイン自体の値動きは8万ドル回復とマイニング株の記事で、米議会と規制法案の影響はこちらで扱った。
30秒まとめ:メタプラネットは保有ビットコインの約6割の値段で取引されている。会社は自社株買いで割安を埋めに行く一方、転換価額339円の社債が上値の重荷になる。株価の行方は、ビットコインが7万6,000ドルを守るかどうかにかかる。
主な参照
- 自己株式の取得状況(11月2日開示)/メタプラネット適時開示
- ユーロ円建て転換社債の条件決定(10月13日開示)/メタプラネット適時開示
- 株価・出来高・PTS/Yahoo!ファイナンス
- 9月末の保有量の報道/Bloomingbit
- 6月末の保有量4万3,000BTC/FilingReader
- 転換による希薄化と転換開始日の報道/JinaCoin
- ビットコイン価格(1時間足)/CoinGecko
データ基準日:2026年11月5日。株価は東証の終値(15時30分)、PTSは22時46分時点の気配値。ビットコイン価格はCoinGeckoの1時間足で、取引所ごとの瞬間値とは異なる場合がある。9月末の保有量4万4,000BTC、転換による希薄化率、転換開始日、決算日は報道ベースで、会社の一次資料では確認できていない。mNAVと平均取得単価は会社開示の株式数・取得額から本誌が計算した概算で、負債は差し引いていない。シナリオの確率は本誌の判断であり、将来の株価を保証しない。本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の売買を推奨するものではない。投資判断はご自身の責任において行っていただきたい。














