ビットコインは22日朝、8万4,438ドルで取引されている(日本時間7時58分)。円換算で約1,336万円だ。21日はハイテク株の上昇に歩調を合わせ、前日の終値から1.8%上げた。問題は、3度はね返された8万7,700ドル付近の壁を今回は越えられるかである。
- 価格:8万4,438ドル。前日終値比1.8%高、50日移動平均を約3.5%上回る。
- 壁:8万7,700ドル付近。9月21日以降、3度跳ね返された水準である。
- 資金:現物ETFへの流入は19日の5.27億ドルから20日は0.23億ドルに細った。
- 規制:米通貨監督庁(OCC)が21日、ステーブルコインの最終規則を出した。
- 日程:30日に年内最大級のオプション満期。11月3日には米中間選挙がある。
1. 価格:ハイテク株と一緒に上げた
結論:21日の上げは、ビットコイン固有の材料より株式市場の地合いによるものだ。
根拠:20日の終値は8万2,941ドル(協定世界時の日足)。21日はナスダック総合指数が1.05%高、半導体株指数(SOX)が1.97%高で終えた。米モトリーフールは、ビットコインの上昇をハイテク株の反発と結びつけて報じている。
本誌の計算では、50日移動平均は8万1,570ドル、200日移動平均は7万2,650ドル(20日の終値まで)。価格は両方を上回っている。一方、2025年10月6日に付けた最高値の約12万6,000ドルからは33%安い水準にある。
次:22日の米国株、とくにハイテク株の決算への反応。テスラは時間外で下げており、地合いが崩れれば連れ安になりやすい。
2. 壁:8万7,700ドルは「最近の買い手の平均」
結論:現在値から上へ約3.9%の位置に、売りが出やすい帯がある。
根拠:米24/7ウォール・ストリートは、分析会社グラスノードのデータとして、最近の買い手の平均取得価格が約8万7,700ドルだと報じた。9月21日の8万7,397ドル、23日の8万7,283ドル、10月2日の8万7,249ドルと、高値は3度この手前で止まっている。
平均取得価格の近くでは、含み損だった買い手が「やれやれ売り」を出しやすい。だから同じ水準で何度も止まる。逆に終値で抜ければ、その売りが一巡したと読める。
ビットコインの節目(ドル)
読み方:青が現在値、橙が本誌が重視する節目。上の壁8万7,700ドルまで約3.9%、下の50日線まで約3.4%と、上下の距離はほぼ同じである。マックスペインは報道の試算の幅(7万6,000〜8万ドル)の中ほどを置いた目安。出所:ヤフー・ファイナンス(本誌計算)、24/7ウォール・ストリート、クリプトブリーフィング。
次:日足の終値で8万7,700ドルを上回るか。一時的な上抜けは、過去3回と同じく押し戻される可能性がある。
3. 資金:ETFの流入は1日で細った
結論:週初めの大口の買いは続いていない。
根拠:ファーサイドの集計を引く報道によると、米国の現物ビットコインETFには19日に計5億2,660万ドルが流入した。9月22日以来の大きさで、ブラックロックのIBITだけで6億6,500万ドル超を集めた。だが20日の流入は2,320万ドルにとどまった。
21日の数字は本記事の作成時点で公表されていない。19日の大口流入についてはこちらの記事で過去の例と比べた。
次:21日分の流入額。壁を抜けるには、19日並みの流入が再び必要になる。
4. 規制:ステーブルコインの最終規則
結論:米国のステーブルコイン法(GENIUS法)の運用が1歩進んだ。価格への影響は限られる。
根拠:米コインデスクによると、OCCは21日に最終規則を出し、2027年1月18日に施行する。発行者が利息を払うことの禁止は維持した。一方、第三者が出す特典を一律に違法とみなす推定はやめ、個別に審査する。
ステーブルコインは暗号資産の取引の決済に広く使われる。ルールが固まれば、銀行や大手企業の参入が進みやすい。ただし申請の受付開始日はまだ示されていない。
次:申請の受付開始日の発表。日本では、暗号資産を金融商品取引法の対象に移す法改正が7月に成立しており、ETFの解禁などは2026〜27年にかけて段階的に進むと報じられている。
5. 日程:満期と選挙の前の静けさ
結論:値動きは小さいが、10月末から11月初めに大きく動く条件がそろっている。
根拠:24/7ウォール・ストリートによると、調査会社K33は28日間の変動率が1.2%と年間の最低圏にあるとし、FRBの決定と11月3日の中間選挙の前後で振れが大きくなるとみる。30日8時(協定世界時)にはデリビットで、建玉の約35%にあたるオプションが満期を迎えると報じられている。
満期の想定元本は100億〜120億ドル規模とされる。買い手と売り手の損益が均衡する価格(マックスペイン)は7万6,000〜8万ドル程度との試算が多い。いずれも10月上中旬時点の報道で、数字は日々変わる。詳細は満期の解説記事にまとめた。
次:28日の米連邦公開市場委員会(FOMC)、30日の満期、11月3日の中間選挙の3つ。
本誌の見立てと撤退線
| シナリオ(30日まで) | 確率(本誌) | 想定レンジ | 条件 |
|---|---|---|---|
| 基本:壁の手前で足踏み | 50% | 8万1,500〜8万7,700ドル | ETFの流入は細いまま。株式は決算待ち |
| 上振れ:壁を抜ける | 25% | 8万7,700〜9万5,000ドル | 日足終値で8万7,700ドル超え。ETFに大口流入 |
| 下振れ:50日線割れ | 25% | 7万6,000〜8万1,500ドル | ハイテク株安。満期前にマックスペインへ引き寄せ |
上振れの上限9万5,000ドルは、満期の建玉が最も多い権利行使価格とされる水準である。撤退線は日足の終値で8万1,500ドル割れとする。そのときは基本シナリオを捨て、下振れに切り替える。年末までの長い見通しはこちらの番付で示した。
30秒まとめ:ビットコインは株高に乗って8万4,000ドル台を回復した。上には3度止められた8万7,700ドルの壁がある。終値で抜けるか、30日の満期前に押し戻されるかを見たい。
主な参照
- 価格・移動平均の元データ(日足)/ヤフー・ファイナンス、コインベース
- 8万7,700ドルの壁、K33の変動率/24/7ウォール・ストリート(AOL)
- ETFの資金流入(10月19日)/FXStreet、モトリーフール
- ETFの資金流入(10月20日)/クーコイン
- OCCのステーブルコイン最終規則/コインデスク
- 30日のオプション満期/クリプトブリーフィング
データ基準日:2026年10月22日(日本時間7時58分)。8万4,438ドルは取引時間中の気配値で、終値ではない。前日比は協定世界時の日足終値との比較である。円換算は1ドル158円17銭で概算した。移動平均は本誌がヤフー・ファイナンスの日足から計算した概算値。最高値は取引所によって数十ドルの差がある。8万7,700ドルの壁、ETFの流入額、OCCの規則の中身、満期の規模とマックスペインは報道ベースで、一次資料は確認していない。シナリオの確率と撤退線は本誌の判断である。本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の売買を推奨するものではない。投資判断はご自身の責任において行っていただきたい。














