金曜の東京は荒れた。日経平均は一時2,200円超安、引けは1,811円安の64,611円。ところが週間で見ればプラス470円と4週ぶりの上昇で、下げの中身はアドバンテスト・ソフトバンクG・東エレクの3枚看板に集中している。この歪な板を眺めながら、筆者は週末のカレンダーを何度も見返した。正直に言う——この10年で、ここまで材料が詰まった1週間はそう多くない。水曜深夜にFOMC、木曜朝にマイクロソフト、金曜朝にアップルとアマゾン、金曜昼に日銀。合間に中国CXMTの上場初値、SKハイニックス決算、米GDPとPCEの同日発表、医薬品232条関税の発効、そして消費税協議の「月内」期限。戦場の地図を先に引いておかないと、月曜の寄りから振り回される(基準日2026年7月26日)。
背景の地合いを整理する。米国はナスダックが週間−2.1%と2週続落。原油はブレント100.69ドルを付けた翌日に97ドルへ反落——パキスタンと中国が仲介する米イラン交渉再開の観測が出たためで、週末時点で両国は13日間の応酬の後の「戦術的停止」にある。この停止が持つかどうかで、FOMCの利上げ観測(CME FedWatchで1週間前の10.7%から35%前後へ3倍化)ごと動く。つまり今週は、中東→原油→FRB→ドル円→日銀という因果の鎖が、5営業日で一気に回る週だ。
戦場の時刻表:日本時間で毎朝、材料が降る
| 日(日本時間) | イベント | 筆者の注目点 |
|---|---|---|
| 7/27(月) | 中国CXMTが上海上場(公開価格8.66元・調達約579億元) | 初値と初日騰落。メモリー供給過剰説の「値段」が初めて付く。東京の装置・メモリー株が即反応 |
| 7/29(水)9:00 | SKハイニックスQ2説明会 | 営業利益率74〜77%の過去最高観測。HBM4の出荷・価格コメントが金曜のKOSPI暴落(−5.7%)への答えになる |
| 7/30(木)3:00 | FOMC結果・3:30ウォーシュ議長会見 | 据え置き織り込み約65%、利上げ約35%。SEP・ドットなしの会合。「利上げ見送り+タカ派」が本線 |
| 7/30(木)朝 | マイクロソフト・メタ・クアルコム決算(米29日引け後) | アルファベットを−7%にしたcapex基準で採点される。MSFTのAI売上開示が焦点 |
| 7/30(木)21:30 | 米Q2 GDP速報+6月PCEが同日発表 | コアPCE予想は前月比+0.17〜0.19%。上振れなら9月利上げ織り込みが跳ねる |
| 7/31(金)朝 | アップル・アマゾン決算(米30日引け後) | 「低capexの避難先」として+3.5%買われたアップルが、その看板を守れるか |
| 7/31(金)昼〜15:30 | 日銀会合結果・展望レポート・植田総裁会見 | 据え置き全員一致予想。展望レポートの物価上方修正と「10月か12月か」の言い方が全て |
| 7/31(金) | 医薬品232条関税が発効(対象大手17社・100%)/米ECI | 武田・アステラス等、日本勢の適用・免除の確認。エクソン・シェブロン決算も同日 |
| 週内随時 | 消費税協議「月内とりまとめ」期限/中東の停止継続か | 両論併記→「高市裁定」なら長期金利がまた動く。中東は停止破れ=原油100ドル再訪 |
水準の地図:日経平均は「挟み撃ち」の中にいる
日経平均の水準マップ(7/24終値時点)
下は7/17安値64,141円、上は13週線65,283円と7/21戻り高値66,232円。イベントの弾が当たるたび、この箱の中で跳ねる。
出所:日経・株探(7月24日終値)。13週線は株探週末時点の概算値。
見立てを言い切る。本線は「FOMC据え置き+タカ派」「日銀据え置き+物価見通し上げ」の組み合わせで、日経は64,000〜66,200円の箱の往復、ドル円は163円台の高止まりだ。この本線が壊れるルートは3つある。①FOMCが実際に利上げする(織り込み約35%——サプライズと呼ぶには高すぎる確率であることに注意)。この場合はグロース株急落・ドル円165円試しで、箱の下辺64,141円の攻防に直行する。②木・金朝のメガテック決算でマイクロソフトかアップルがcapex増額を「回収の証拠なし」で出す——アルファベットの−7%が前例で、指数ごと下辺を割りに行く。③中東の停止が破れて原油が100ドルを再訪——①の確率を引き上げる形で効く。逆に上辺を抜くには、決算のクリーンなビートと原油の反落が同時に要る。筆者なら月・火は枚数を落とし、木曜朝を跨ぐポジションは半分にする。この週に「全部の答え」を取りに行く必要はない——答えは金曜の引け後に揃うのだから。
逆になったら&監視リスト
見立ての捨て時も決めておく。64,141円(7/17安値)を終値で割れたら、7月中旬の急落が「調整」ではなく「二段目」だったと認めて守りに入る。66,232円を出来高伴って抜けたら、イベント消化=悪材料出尽くしと読み替えて追随する。為替は165円が介入と心理の二重の壁、161円台into入れば日米中銀ウィークが円高方向に効いた証拠だ。個別の監視は3つ——月曜のCXMT初値(メモリー株の翌日の寄りを決める)、水曜朝のSKハイニックス(利益率77%観測に対する実績)、木曜21:30のコアPCE(FOMC通過直後の答え合わせ)。FOMCの構図と円の膠着の理屈は既報の通り——今週はその伏線が全部回収される週である。
- 日程:CNBC(週間見通し)、Kiplinger(決算カレンダー)、Investrade(指標)
- FOMC織り込み:CME FedWatch(報道経由)
- 日銀観測:Bloomberg(7/22)、日経(ウォッチャー調査)
- 中東・CXMT:CNN、Caixin
免責事項:本記事は情報提供を目的とした筆者個人の相場観であり、特定の金融商品への投資を勧誘・推奨するものではない。日程・織り込み確率は2026年7月26日時点の公表情報であり変わり得る。見立て・水準は将来を保証しない。投資判断はご自身の責任で行われたい。
















