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Home 株式

ナスダック100が550ポイント超急落、AI半導体株の総崩れと中東リスクが市場を直撃

健一高木 by 健一高木
2026年6月13日
in 株式
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米ハイテク株が再び大きく揺れている。AI関連半導体株を中心とした売りが続き、ナスダック100は一時550ポイントを超える急落を記録した。今回の下げは、単なる一過性の調整ではなく、市場が「テクノロジー革命」にどれだけの値段をつけるべきかという根本的な問いを突きつけている点で重要だ。

今週だけでAI半導体セクター全体から約1兆4,000億ドルの時価総額が消失。NVIDIA単独で2,790億ドル、Marvell Technologyは金曜の取引だけで17%急落した。マグニフィセント・セブン(主要ハイテク7銘柄)は全銘柄がそろって下落で取引を終えており、リスク回避の動きが鮮明になっている。

要約

  • AI半導体セクターから今週だけで約1兆4,000億ドルの時価総額が蒸発した
  • Marvellは前日比12%超下落でナスダックの値下がり率トップ、NVIDIAも3.3%安
  • 引き金はBroadcomの慎重なAIチップ見通しとメモリ市況の悪化、スマホ需要減
  • イラン情勢による原油・インフレ懸念とCPI発表が市場心理を冷やす
  • 業績そのものではなく「割高すぎたバリュエーション」の修正局面という見方が有力

Marvell・NVIDIAが牽引した半導体株の総崩れ

今回の下落で最も目立った犠牲者がMarvell Technology(MRVL)だ。月曜にAIインフラへの楽観論から約10%急騰した直後、火曜には一転して12%超の急落となり、ナスダックの値下がり率トップに転落した。さらに金曜の取引では一日で17%もの下げを記録している。

火曜の取引ではNVIDIA(NVDA)が1%近く高く始まったものの、反転して3.3%安まで沈んだ。前日に上昇していたテスラも5.4%安、アップルは年次開発者会議(WWDC)への冷ややかな反応を引きずって4%超の下落となった。半導体ETFのSOXXは6%安と、わずか1週間足らずで3度目の大きな下げ局面を迎えている。

金曜には半導体セクターが一日で10%下落。Broadcomが12.6%安、Intel・AMDがそれぞれ約11%安、Micronは13%安と、「未来のインフラ」と称えられてきた銘柄群が一斉に売られた。これらは端株の小さな動きではなく、市場の主役そのものが猛烈なスピードで再評価されている証拠だ。

何が引き金になったのか

直接の発端は週初のBroadcom決算だった。慎重なAIチップ見通しに、深刻化するメモリ市況の悪化、そして世界的なスマートフォン需要の急減予測が重なり、半導体セクター全体の下落を誘発した。重要なのは、Broadcomが「破滅的な数字」を出したわけではない点だ。発表したのは、過熱した市場にとってより不気味な「不確実性」そのものだった。

完璧さを前提に株価がつけられていたセクターでは、わずかな不確実性が「落とし穴」のように機能する。Marvellはピークだった1月に予想PER83倍まで買われており、もともと大幅なリセットが必要な水準だった。同社株は高値から約50%下落している。

投資家は「今日の利益に明日の値段」を払い続けてきた。ところが、その「明日」が刻々と変化し始めたのだ。売りは米国にとどまらず、韓国のKOSPIは金曜に5.54%安、サムスン電子が6.40%安、SKハイニックスが9.92%安となった。ASMLは3.8%安、独インフィニオンも6%超下落しており、これは局地的な調整ではなくAI半導体トレードのグローバルな再評価と言える。

イラン情勢・原油・インフレが追い打ち

半導体売りは真空状態で起きているわけではない。マクロ経済のストレスがあらゆる悪材料を増幅している。原油価格は火曜に3.4%下落して1バレル88ドル前後となったが、これはトランプ大統領が米イラン合意が数日内にまとまる可能性を示唆したためだ。しかしその後、イランがホルムズ海峡で米軍のアパッチ・ヘリを撃墜したと投稿すると、原油は下げ幅を一部取り戻した。あらゆる好材料に「※」がつくのが現在の市場心理だ。

ビットコインは6万1,000ドルを割り込み、金曜には2024年10月以来初めて6万ドルを下回った。10年債利回りは4.53%付近、金先物は1.8%安の1オンス4,285ドルとなった。これらは成長を自信を持って織り込む市場の動きではなく、まだ名前のつかないシナリオに対してヘッジを進める市場の動きだ。

そのシナリオには日付がある。水曜発表の5月消費者物価指数(CPI)だ。市場予想は前年同月比4.2%上昇で、2023年4月以来の高水準。コアCPIも2.9%と、4月の2.8%から上昇が見込まれる。今回の物価上昇要因は2021年のコロナ供給網混乱ではなく、イラン戦争による原油供給制約がエネルギー価格を押し上げ、それがあらゆるコストに波及している点にある。

市場はAIそのものを否定しているのではない。AIが「実現すると織り込まれていた価格」を裁いているのだ。両者には決定的な違いがある。

AIトレードは終わったのか、それとも再評価か

正直に言えば、誰もまだ分からない。注目すべきは、初期の急落の激しさにもかかわらず半導体株が顕著な底堅さを見せたことだ。6月8日月曜にはナスダックが0.9%近く回復し、AI関連半導体株が値を取り戻した。この素早い安定化は、今回の売りがAI成長見通しの根本的な見直しではなく、テクニカルな調整であることを示唆していた。

ただし、その回復は火曜に一部巻き戻された。このパターンはバブル崩壊でもスムーズな調整でもなく、大口投資家の間で「適正価格はどこか」をめぐる本物の意見対立が生じていることを物語る。一方で揺るがない事実もある。Marvellのデータセンター向け売上高は第4四半期に78%増加し、今期は売上高44%増が見込まれている。数字そのものは変わっていない。変わったのは投資家がその数字にいくら払うかだ。

今後48時間で投資家が注目すべき3点

  1. 水曜のCPI発表:4.2%なら金利見通しを揺さぶり、既に過熱したハイテク株のバリュエーションにさらなる圧力をかける
  2. 水曜引け後のOracle決算:オプション市場は上下11%の振れを織り込んでおり、AIインフラ投資の動向次第で半導体セクター全体が動く
  3. VIX(恐怖指数):火曜は約40%上昇の21.51で引けた。パニック領域ではないが、機関投資家が強制リバランスを始める閾値に近づきつつある

VIXが上昇すると機関投資家のリスク管理上の機械的な売買が増え、上下双方向の値動きが増幅されやすくなる。短期的には乱高下に巻き込まれないよう、ポジション管理と分散を徹底したい。

日本の投資家にとっても、米半導体株の急落は対岸の火事ではない。東京エレクトロンやアドバンテスト、ソフトバンクグループなどAI関連の値がさ株は米国市場の動きと連動しやすく、為替や日経平均にも波及する。業績の中身と株価の期待値を切り分けて見る視点が、これまで以上に重要になっている。

※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の購入・売却を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任において行ってください。

Tags: エヌビディアテスラブロードコムマーベル
健一高木

健一高木

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