11月6日の米国株、寄り付き1時間の番付を発表する。東の横綱はIREN、17.14%高。西の横綱はクラウドフレアで10.77%高。いずれも前夜に決算を出した銘柄である。西の序二段に落ちたのはファイブナインで20.06%安、同じく決算組のアトラシアンも16.78%安と土俵を割った。
指数は前日の急落から一息ついた。米東部時間10時31分(日本時間7日0時31分)、ナスダック総合指数は1.26%高の2万4,621.35、S&P500種株価指数は0.69%高の7,404.21。フィラデルフィア半導体株指数(SOX)は3.19%高の9,298.45だった。ただし勝ち越しの中身は薄い。SOXは寄り付き直後に5.37%高まで買われたが、1時間でその上げ幅の4割を吐き出した。ダウ工業株30種平均は0.11%安と、前日終値を挟んで小動きである。
寄り付き1時間の主な値動き(前日終値比、%)
読み方:上位は前夜に決算を出した銘柄と、前日に急落した半導体株。下位は見通しが期待に届かなかったソフトウエア株。出所:Yahoo Financeの気配値(米東部時間11月6日10時31分、アドバンテストの米ADRは10時16分)。
番付表:寄り付き1時間の勝敗
| 番付 | 銘柄 | 株価 | 前日終値比 | 土俵に上がった理由 | 判定 |
|---|---|---|---|---|---|
| 東の横綱 | IREN(IREN) | 21.12ドル | +17.14% | 前夜の決算で売上高が予想を上回る | ◎ |
| 西の横綱 | クラウドフレア(NET) | 270.84ドル | +10.77% | 7〜9月期は39%増収、通期見通しを引き上げ | ○ |
| 東の大関 | エアビーアンドビー(ABNB) | 185.15ドル | +8.83% | 19%増収、通期見通しの引き上げと120億ドルの自社株買い枠 | ◎ |
| 西の大関 | AMD(AMD) | 439.80ドル | +8.75% | 前日の半導体急落からの買い戻し | ○ |
| — | (以下、負け側) | ||||
| 東の幕下 | ソニーグループ(SONY、米ADR) | 26.77ドル | −2.81% | 反発相場のなかで逆行安 | △ |
| 西の三段目 | アトラシアン(TEAM) | 152.54ドル | −16.78% | 決算は予想超えも、成長見通しが期待に届かず | × |
| 西の序二段 | ファイブナイン(FIVN) | 27.29ドル | −20.06% | 10〜12月期の利益見通しが予想を下回る | × |
東の横綱・IREN:◎
17.14%高の21.12ドル。寄り付きは21.15ドル、1時間の高値は22.46ドルだった。データセンターを運営する同社は前夜、2027会計年度の第1四半期決算を発表した。インベスティング・ドットコムによると、売上高は2億2,800万ドルで、市場予想の約2億2,130万ドルを上回った。1株損失は66セントと、予想の48セントより赤字幅は大きい。インベスティング・ドットコムはこの動きを、前日の大幅安を取り戻す上昇と伝えている。基準となる前日終値は18.03ドルである。判定は◎。売り込まれた力士が押し返した一番だ。
西の横綱・クラウドフレア:○
10.77%高の270.84ドル。会社が5日に米証券取引委員会(SEC)へ提出した資料によると、7〜9月期の売上高は前年同期比39%増の7億8,250万ドルだった。8月に示した会社予想の7億3,600万〜7億3,700万ドルを大きく上回る。10〜12月期の売上高見通しは8億4,500万〜8億4,600万ドル、2026年通期は29億6,300万〜29億6,400万ドルとし、8月時点の28億6,000万〜28億7,000万ドルから引き上げた。非GAAPの1株利益は38セントで、前年同期の27セントから伸びている。マシュー・プリンスCEOは「第3四半期はクラウドフレアにとって過去最高の四半期だった」と述べた。
判定を○にとどめたのは、取組の後半で失速したからだ。寄り付きは286.97ドル、前日比17.4%高で始まったが、1時間で270ドル台まで押し戻された。上げ幅の4割近くを返した計算になる。中身は横綱相撲、立ち合い後の粘りは大関並みである。
東の大関・エアビーアンドビー:◎
8.83%高の185.15ドル。同社の株主向け書簡によると、7〜9月期の売上高は48億6,900万ドルで前年同期比19%増(為替の影響を除くと16%増)。宿泊と体験の予約数は1億5,500万件で16%増、総予約額は277億ドルで21%増だった。純利益は18億9,000万ドルで、利益率は39%に上がった。10〜12月期の売上高見通しは32億2,000万〜32億8,000万ドル、前年同期比16〜18%増とした。2026年通期の売上高の伸びは「10%台後半」に引き上げ、最大120億ドルの自社株買い枠も新たに設けた。
増収、増益、見通しの引き上げ、株主還元の4点がそろった。寄り付き後の高値は192.50ドルで、そこからの押しもクラウドフレアより浅い。判定は◎。決算の土俵で文句なしの勝ち越しだ。
西の大関・AMD:○
8.75%高の439.80ドル。前日5日はSOXが12.25%安と崩れた日で、AMDも404.40ドルまで売られていた。この日は個別の新しい材料ではなく、売られすぎた半導体株の買い戻しで上位に入った。同じ時刻、エヌビディアは4.17%高の189.18ドル、TSMCの米預託証券(ADR)は4.86%高、マイクロン・テクノロジーは4.23%高である。いずれも寄り付きの値段より下で推移しており、マイクロンは寄り付き708.25ドルから684.14ドルまで押し戻された。判定は○。勝ち越しではあるが、前日の負けを取り返すには遠い。
西の序二段・ファイブナインとアトラシアン:×
コンタクトセンター向けソフトのファイブナインは20.06%安の27.29ドル。インベスティング・ドットコムによると、直近の四半期は予想を上回ったものの、10〜12月期の調整後1株利益の見通しを88〜92セントとし、その中央値が市場予想を下回った。ソフトウエアのアトラシアンは16.78%安の152.54ドル。同社の7〜9月期の売上高は24%増の17億7,000万ドル、調整後1株利益は1ドル65セントと予想の1ドル43セントを上回ったが、成長の見通しが期待に届かなかったと報じられている。
この2番で見えるのは、市場が「今の利益」ではなく「先の伸び」で取組を裁いていることだ。ソフトウエア株は、見通しが少しでも鈍れば容赦なく売られている。判定はいずれも×。決算を超えても、見通しで負け越した。
殊勲賞・アドバンテストの米ADR:東京の月曜を先取り
日本の投資家に最も関係が深いのはこの一番だ。アドバンテストの米ADRは11.48%高の183.78ドル(米東部時間10時16分)。比較の基準は5日の米国終値164.86ドルで、その後の6日の東京の取引をはさんでいる。ソフトバンクグループの米ADRも4.74%高の11.70ドルだった。シカゴの円建て日経平均先物(12月限)は日本時間0時21分時点で5万8,675円と、6日の日経平均終値5万7,434円77銭を約1,240円(2.2%)上回る。東京の月曜は反発で始まる値段がついている。ただし米ADRは売買が薄く、円建ての東京の株価と一致しない場合がある。東京の6日の下げは日経平均3,643円安の番付で振り返った。
敢闘賞・恐怖指数:16%の急低下
VIX(恐怖指数)は23.61と、前日終値28.18から16.22%下がった(米東部時間10時16分)。前日の取引中に跳ね上がった不安が、ひとまず落ち着いた形である。業種別の上場投資信託(ETF)では、テクノロジー(XLK)が1.43%高、一般消費財(XLY)が0.85%高、エネルギー(XLE)が0.40%高。一方で生活必需品(XLP)は0.78%安、ヘルスケア(XLV)は0.09%安と、前日に買われた守りの業種から資金が戻っている。
土俵の外:雇用統計は強く、金利は落ち着く
寄り付き前の22時30分(日本時間)、米10月の雇用統計が出た。米労働統計局によると雇用者数は16万5,000人増と、市場予想の6万5,000人を大きく上回り、失業率は4.1%に下がった。米10年債利回りは発表直後に4.900%まで上がったが、日本時間0時16分時点では4.872%と発表前の水準に戻っている。ドル円は0時31分時点で158円14銭。強い雇用が12月の利上げ観測を押し上げる一方で、株式市場は前日の急落の買い戻しを優先した。為替の詳しい動きは雇用統計後のドル円の記事にまとめた。
来場所の注目取組
- 半導体の寄り天を確かめる SOXは寄り付きの9,495から1時間で9,298まで押し戻された。引けまでに寄り付き値を回復できるかが、反発が本物かどうかの最初の目安になる。
- 11月10日(火)22時30分 米10月消費者物価指数(CPI)。雇用に続いて物価も強ければ、12月の利上げ観測が一段と強まる。
- 来週の決算 米国ではシスコやコアウィーブ、日本ではソフトバンクグループやフジクラが控える。上昇確率の見立ては米国の決算予定の記事と日本の決算予定の記事にまとめている。
前日の寄り付き1時間は半導体8%安の記事で扱った。
主な参照
- 株価・指数・ETF・VIX・日経平均先物・米10年債利回りの気配値(米東部時間11月6日10時16〜31分)/Yahoo Finance
- クラウドフレアの7〜9月期決算(2026年11月5日)/SECへの提出資料(フォーム8-K)、8月時点の会社予想は4〜6月期の提出資料
- エアビーアンドビーの7〜9月期の株主向け書簡(2026年11月5日)/SECへの提出資料(フォーム8-K)
- IREN、アトラシアン、ファイブナインの決算と寄り付き前の値動き/インベスティング・ドットコム
- 米10月雇用統計(2026年11月6日発表)/米労働統計局(BLS)
- 米CPIの公表日程/米労働統計局(BLS)
データ基準日:2026年11月6日10時31分(米東部時間)=11月7日0時31分(日本時間)。株価と指数は取引時間中の値であり、終値ではない。VIX、ラッセル2000、米ADRの一部、日経平均先物、米10年債利回りは配信の遅れにより10時16〜21分前後の値である。米ADRはドル建てで売買が薄く、東京市場の円建て株価と一致しない場合がある。IREN、アトラシアン、ファイブナインの決算の数字は報道にもとづき、会社の開示資料は本稿では確認していない。番付と判定は本誌によるものである。本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買を推奨するものではない。投資判断は各自の責任において行われたい。













