11月4日、休場明けの東京市場の寄り付き1時間の番付を発表する。主役は売られた側だ。西の序二段に落ちたのはソフトバンクグループで、10時01分時点で5.62%安。アドバンテストは4.19%安、東京エレクトロンは3.49%安と、値がさ株の半導体関連がそろって負け越した。米AMDが市場予想を上回る決算を出した翌朝としては、皮肉な取組である。
日経平均は10時01分時点で6万2,133円76銭、前営業日比948円10銭安(1.50%安)。寄り付きは108円70銭安の6万2,973円16銭で、9時04分にいったん6万3,105円47銭とプラス圏に浮上した。そこから売りが広がり、9時43分に6万1,913円79銭まで下げた。6万2,000円割れは10月23日以来である。一方、TOPIXは10時01分時点で3,904.74ポイント、0.65%安にとどまる。日経平均の下げ率はTOPIXの2倍を超え、値がさ株が指数を押し下げた形がはっきり出ている。
寄り付き1時間の騰落率(11月4日10時ごろ、%)
読み方:日経平均の下げ(1.50%)はTOPIX(0.65%)の2倍を超えた。値がさの半導体・AI関連が売られ、指数を押し下げた。出所:日本経済新聞、Yahoo!ファイナンス(10時00〜02分時点の取引時間中の値)。
寄り付き1時間の番付表
| 番付 | 銘柄 | 株価 | 前営業日比 | 時刻 | 判定 |
|---|---|---|---|---|---|
| 東の横綱 | ヤマトホールディングス(9064) | 2,242円 | +13.95% | 10時00分 | ◎ |
| 西の横綱 | 栗田工業(6370) | 5,166円 | +11.17% | 10時00分 | ◎ |
| 東の大関 | ファーストリテイリング(9983) | 76,820円 | +1.94% | 10時02分 | ○ |
| — | (以下、負け側) | ||||
| 東の幕下 | INPEX(1605) | 3,910円 | −3.55% | 10時02分 | × |
| 西の幕下 | 東京エレクトロン(8035) | 9,656円 | −3.49% | 10時01分 | × |
| 東の三段目 | アドバンテスト(6857) | 34,270円 | −4.19% | 10時01分 | × |
| 西の三段目 | ソフトバンクグループ(9984) | 4,162円 | −5.62% | 10時01分 | × |
| 東の序二段 | 京セラ(6971) | 3,045円 | −6.85% | 10時00分 | × |
| 西の序二段 | キオクシアHD(285A) | 10,515円 | −7.32% | 10時00分 | × |
番付の付け方を断っておく。指数への影響の大きさでは、値がさ株のアドバンテストとソフトバンクグループ、東京エレクトロンが上位に来る。ただ本稿では下落率の大きさで順位を付けた。指数を動かした力士と、土俵で大きく負けた力士は、この日も一致していない。
負け越しの主犯・半導体とAI関連——×
今日の取組で最も説明を要するのは、ここだ。前夜の米国では、AMDが7〜9月期の売上高133億7,700万ドル、10〜12月期の売上高見通し約170億ドルと、いずれも市場予想を上回る数字を出した。株価は時間外取引で6%上げている。日本経済新聞によると、この決算は寄り付き直後の日本の半導体株を下支えした。日経平均が9時04分にプラス圏に浮上したのは、その時間帯である。
だが買いは続かなかった。アドバンテストは始値3万5,800円から9時42分に3万3,850円まで下げた。始値からの下げは約5.4%にのぼる。日本経済新聞は、AI・半導体関連株への売りが優勢になった背景として、米ナスダック総合株価指数が3日に0.82%反発したものの、2日までの3日間で約5%下げていたことを挙げた。AI投資の持続性と収益性への疑問は、AMD1社の好決算では消えなかった。判定は×。勝てる取組を落とした一番である。
もう一つの重しは米中間選挙だ。日本経済新聞は、民主党が上下両院で多数を握るとの予想が多いこと、データセンター建設が争点の一つで、共和党が大敗すれば建設の勢いが鈍るとの警戒が株価の重荷になっていると伝えた。開票は日本時間の午前に本格化しており、結果はまだ確定していない。データセンター向けの部品や記憶装置を手がけるキオクシア、京セラ、太陽誘電が下落率の上位に並んだのは、この連想と整合する。ただし個別の下落理由は各社から示されていない。
東の幕下・INPEX——×(休場中の原油安を一度に)
3.55%安の3,910円。この負けには説明がつく。東京が開いていた2日の取引終了後、ニューヨークで北海ブレント原油先物が7.6%下げて104.77ドルで引けた。翌3日には朝に6ドル余りの急落を挟み、決済価格は103.60ドルだった。休場の3日をはさみ、2日間の原油安を一度に織り込む寄り付きになった。経緯はブレント原油の一日を追った記事にまとめた。
東西の横綱・ヤマトHDと栗田工業——◎(ただし理由は未確認)
ヤマトホールディングスが13.95%高の2,242円、栗田工業が11.17%高の5,166円で、プライム市場の値上がり率の1位と2位に並んだ。半導体株が売られた日に、物流と水処理という地味な土俵の力士が勝ち越したことになる。
正直に書く。本稿執筆の10時台の時点で、本誌は両社の急騰の理由を一次情報で確認できていない。決算期の最中であり、決算や業績予想の修正が材料である可能性は高いが、断定はしない。判定は◎とするが、取組内容の確認は大引け後の宿題とする。
殊勲賞・ファーストリテイリング——○
1.94%高の7万6,820円。日経平均で最も影響力の大きい銘柄が上げたことで、指数の下げはこの程度で済んでいる。日本経済新聞は、コナミグループと並んで上昇した銘柄に挙げた。半導体株から資金が逃げる日に、消費関連の値がさ株が受け皿になった。
今日の注目株:ソフトバンクGとアドバンテスト
番付の下位から、売られすぎかどうかを見ておきたい2銘柄を挙げる。一つはソフトバンクグループだ。4,162円は、6月2日に付けた年初来高値9,074円から54%下の水準である。10月30日時点の信用買い残は4,188万株、信用倍率は8.88倍と、買い方の持ち高が厚い。11月10日に決算発表を控えており、それまでは信用の買い方の投げが出るかどうかが値動きを左右する。売られすぎに見えても、需給の重さは残っている。
もう一つはアドバンテスト。3万4,270円は52週高値の4万1,990円から18%下にある。Yahoo!ファイナンスの銘柄ページによると、10月28日に発表した4〜9月期は、売上高が前年同期比60.5%増の8,452億円、営業利益が96.5%増の4,568億円だった。業績の勢いと株価の向きが逆を向いている。AMDの好決算が日本の装置株に届くかどうかは、今日の大引けで3万5,770円(2日の終値)を取り戻せるかで判定できる。
場外:円は少し買い戻された
為替は、ドル円が9時56分時点で158円48〜50銭。ニューヨーク市場の終値158円69銭から、わずかに円高に戻した。ドル円見通しで触れた200日移動平均線の158円60銭付近を、東京時間ではいったん下回った形だ。株安局面での円買いが、ほどほどに出ている。
今日の残りの取組
| 時刻(日本時間) | 取組 | 見るところ |
|---|---|---|
| 終日 | 米中間選挙の開票 | 上下両院の勢力。データセンター関連株の連想 |
| 15時30分 | 東京市場の大引け | アドバンテストが2日の終値3万5,770円を取り戻せるか |
| 大引け後 | 三菱商事、三井物産などの決算 | 原油安と商社株 |
| 19時 | ユーロ圏10月の消費者物価(速報) | ECBの12月利上げ観測 |
| 23時30分 | 米国市場の寄り付き | AMDが時間外の上げを保てるか |
| 5日0時30分 | 米エネルギー情報局(EIA)の週間在庫統計 | 原油在庫の取り崩しが続くか |
前夜のAMDの決算の中身はこちら、今日決算を発表する商社の論点はこちらで整理した。休場前の11月2日の東京市場はこちらにある。
主な参照
- 日経平均の10時01分時点の水準、ドル円の9時56分時点の水準/日本経済新聞(マーケット)
- 寄り付きの概況、AMD決算の影響、下落・上昇銘柄、米中間選挙とデータセンターへの警戒(9時40分)/日本経済新聞
- 日経平均の始値・高値・安値と時刻/Yahoo!ファイナンス、寄り付き値/ザイFX!(フィスコ)
- TOPIXの水準と値幅/Yahoo!ファイナンス
- 値上がり率・値下がり率ランキング/Yahoo!ファイナンス(値上がり)、同(値下がり)
- 個別銘柄の株価、信用残、52週高値、決算日程、アドバンテストの4〜9月期決算/ソフトバンクグループ、アドバンテスト、東京エレクトロン、ファーストリテイリング、INPEX(いずれもYahoo!ファイナンス)
- 6万2,000円割れ(一時1,100円超安)/共同通信(9時45分)
- AMDの決算/米証券取引委員会(AMDのForm 8-K)
データ基準日:2026年11月4日10時00〜02分(日本時間)の東京市場。株価と指数はすべて取引時間中の数値であり、終値ではない。情報ベンダーにより配信の遅れや時刻の違いがあり、日経平均の水準は日本経済新聞の10時01分時点の表示を用いた。前営業日は11月2日である。ヤマトホールディングスと栗田工業の急騰、キオクシア・京セラ・太陽誘電の下落の個別の理由は、本稿執筆時点で一次情報を確認できていない。米中間選挙の開票結果は執筆時点で確定していない。信用残は10月30日時点。番付と判定は本誌の整理であり、将来の株価を保証しない。本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買を推奨するものではない。投資判断はご自身の責任において行っていただきたい。
















