ニューヨーク原油先物(WTI)の11月限は10月20日、1バレル101.79ドルで取引を終え、前日比1.87ドル(1.8%)安と9営業日ぶりに反落した。北海ブレント先物の12月限は76セント安の108.79ドルで、日中は111.99ドルと約5カ月ぶりの高値を付けていた。米国とイランの協議をめぐる未確認の報道で、ブレントは一時前日比3%超下落した。
WTIの11月限はこの日が最終取引日だった。中心限月の12月限は72セント安の97.82ドル。11月限の日中高値は110.48ドルで、ロイター通信によれば期近物として4月以来の高値だった。
| 指標 | 10月20日 | 前日比 | 10月19日 | 補足 |
|---|---|---|---|---|
| ブレント12月限(清算値) | 108.79ドル | −0.76ドル(−0.69%) | 109.55ドル | 日中高値111.99ドル |
| WTI11月限(清算値) | 101.79ドル | −1.87ドル(−1.8%) | 103.66ドル | 20日が最終取引日、日中高値110.48ドル |
| WTI12月限(清算値) | 97.82ドル | −0.72ドル | 98.54ドル | 中心限月 |
| ブレント(時間外の気配) | 108.95ドル | — | — | 日本時間21日7時33分 |
| 米原油在庫(API、10月16日までの週) | −493万バレル | — | 前週−1,112万バレル | ロイター調査の予想は約80万バレル減 |
| 米レギュラーガソリン小売(EIA、10月19日) | 1ガロン4.284ドル | 前週比−4.7セント | — | ディーゼルは6.276ドル、前週比+9.7セント |
ブレント先物の水準(1バレル、ドル)
読み方:10月7日から19日までの上昇は9.35ドル。20日は111.99ドルまで上げたあと反落し、清算値は108.79ドルだった。出所:清算値と日中高値はロイター、10月7日の終値はYahoo Financeの期近連続データ(参考値)。
上昇の背景
上昇は中東での船舶と石油施設への攻撃を受けたもの。イエメンの親イラン武装組織フーシ派は19日、サウジアラビアの国営石油会社アラムコのヤンブー拠点、シャイバ油田、リヤドとアブハの空港を攻撃したと主張した。サウジ側は確認しておらず、ロイターも検証できていないとしている。
20日午前10時(グリニッジ標準時)ごろには、英国海運貿易オペレーション(UKMTO)がオマーンの東方約121海里での事案を報告した。イラン革命防衛隊は、ホルムズ海峡南部でタンカー2隻が機雷で炎上したと主張し、のちに200万バレル超を積んだ大型タンカー1隻が爆発したと付け加えた。いずれも革命防衛隊側の主張で、船名は確認されていない。船舶への攻撃件数について、データ会社ケプラーは過去2週間で少なくとも18隻とし、ブルームバーグは10月1〜14日で23隻と集計している。
反落の背景
反落のきっかけは、カタールの報道機関アルアラビー・アルジャディードの報道だった。匿名の関係者の話として、カタールとパキスタンが仲介する妥協案に米国とイランが予備的に同意したと伝えた。報じられた条件は、カタールの銀行で凍結されているイラン資金の利息60億ドルの解放と、国際原子力機関(IAEA)による非公表の査察である。同じ20日、パキスタン陸軍のムニール参謀長がテヘランでペゼシュキアン大統領と会談した。
この報道はその後、否定された。協議に関わる外交官はブルームバーグに対し、合意が近いとの報道は正確でないが協議は続いていると述べた。イランの通信社も、協議は継続中だが合意が近いとの報道は誤りだとする見出しを配信した。イラン外務省は米国側の回答を「不完全」と評している。妥協案の存在を認めた政府はない。
関係者の発言
- ダン・ピッカリング氏(ピッカリング・エナジー):「選挙がこれだけ近いと、見え方はファンダメンタルズと同じくらい重要だ」(ブルームバーグ)
- スコット・シェルトン氏(TPICAP):報道は「リスクを取る意欲を弱める」(ブルームバーグ)
- クリス・ライト米エネルギー長官:湾岸からの原油の流れは戦争前の約8割に戻ったが、石油製品の出荷は制約が続いている(米FOXテレビ、ブルームバーグ経由)
- ING:市場は「大きなリスクプレミアム」を織り込んでいる(ロイター)
市場の反応
ブルームバーグによれば、20日のブレントの値幅は6ドルを超え、WTI11月限の値幅は約9ドルだった。データ会社ケプラーの集計では、相場の方向に追随する投機筋(CTA)の買い持ちは両指標で上限に達していた。11月3日の米中間選挙を前に、米政権が緊張緩和に動くとの見方もあるとブルームバーグは伝えている。
ブレントの終値は10月7日の100.20ドルから19日の109.55ドルまで9.3%上昇していた。20日の反落はその上昇幅9.35ドルのうち76セント分にとどまる。WTIは10月7日の88.28ドルから19日の103.66ドルまで8営業日続伸していた。
| 日付 | ブレント終値 | 前日比 | WTI終値 | 前日比 |
|---|---|---|---|---|
| 10月7日 | 100.20ドル | −0.38ドル | 88.28ドル | −1.16ドル |
| 10月8日 | 104.28ドル | +4.08ドル | 91.49ドル | +3.21ドル |
| 10月9日 | 104.72ドル | +0.44ドル | 91.85ドル | +0.36ドル |
| 10月12日 | 106.65ドル | +1.93ドル | 93.74ドル | +1.89ドル |
| 10月13日 | 105.69ドル | −0.96ドル | 94.14ドル | +0.40ドル |
| 10月14日 | 106.06ドル | +0.37ドル | 95.09ドル | +0.95ドル |
| 10月15日 | 105.92ドル | −0.14ドル | 97.97ドル | +2.88ドル |
| 10月16日 | 109.86ドル | +3.94ドル | 101.41ドル | +3.44ドル |
| 10月19日 | 109.55ドル | −0.31ドル | 103.66ドル | +2.25ドル |
| 10月20日 | 108.79ドル | −0.76ドル | 101.79ドル | −1.87ドル |
WTIは10月8日から19日まで8営業日続伸し、この間に15.38ドル上昇した。ブレントは同じ期間に上げ下げを繰り返し、上昇は9.35ドル。WTIの上げ幅がブレントを6.03ドル上回り、ブレントとWTIの価格差は10月7日の11.92ドルから19日の5.89ドルへ縮小した。20日の清算値ではブレント12月限とWTI11月限の差は7.00ドル、ブレント12月限とWTI12月限の差は10.97ドル。
週間の米在庫統計では、APIの速報で原油在庫が2週連続の減少となった。前週の1,112万バレル減に続き、今週は493万バレル減。ロイター調査の予想(約80万バレル減)を大きく上回る取り崩しだった。オクラホマ州クッシングの在庫は90万バレル増、戦略石油備蓄は30万バレル減の2億8,270万バレル。ガソリンは200万バレル減、留出油は260万バレル減だった。政府統計であるEIAの発表は日本時間21日23時30分。
同じ20日、米10年国債利回りは5.12%と前日の5.15%から低下した。ドル円は日本時間21日朝に158円10銭台で推移している。金先物は時間外で1オンス4,147.5ドル、前日比0.12%高だった。
価格見通しの数字
ゴールドマン・サックスは10月上旬、12月のブレント予想を1バレル85ドルから90ドルへ引き上げた。2027年の平均予想は80ドルで据え置き、現在の価格には20ドル強のリスクプレミアムが含まれるとした。湾岸の生産が低い水準のままなら2027年の平均は約125ドル、回復が早ければ60ドル台という幅も示している。20日の清算値108.79ドルは、同社の12月予想を18.79ドル上回る。
今後の日程(日本時間)
- 10月21日 23時30分:米エネルギー情報局(EIA)の週間石油在庫統計(10月16日までの週)
- 10月29日 3時:米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果発表
- 11月1日:石油輸出国機構(OPEC)プラスの有志国の会合
- 11月3日:米中間選挙
ブレントが110ドルを付けた局面の経緯は10月17日の記事に、WTI11月限の満期前の値動きは10月20日の記事にまとめている。
主な参照
- 10月20日の清算値、日中高値、フーシ派の主張、ケプラーの集計、API予想の事前調査、INGの見方/ロイター(Yahoo Finance掲載、2026年10月20日)
- 値幅、CTAの持ち高、関係者の発言、外交官の否定、米エネルギー長官の発言/ブルームバーグ(Rigzone掲載、2026年10月20日)
- 革命防衛隊の機雷に関する主張/アラブニュース
- カタール・パキスタンの妥協案の報道とブレントの下落/Investing.com
- API在庫速報/oilprice.com
- ガソリン・ディーゼルの小売価格、週間石油在庫統計の公表日程/米エネルギー情報局
- OPECプラスの次回会合/OPEC(2026年10月4日)
- 米国債利回り/米財務省
- ゴールドマン・サックスの予想修正/Free Press Journal
データ基準日:2026年10月20日のニューヨーク・ロンドン市場の清算値。ブレントの時間外の気配と金先物は日本時間21日7時30分台の取引時間中の値で、終値ではない。10月7〜19日の終値は期近物の連続データ(Yahoo Finance)にもとづく参考値で、限月の切り替えを含む。フーシ派の攻撃と革命防衛隊の機雷に関する記述は当事者の主張であり、独立した確認は取れていない。カタール・パキスタンの妥協案は匿名の関係者にもとづく報道で、関係国の政府は認めていない。米エネルギー長官の発言はブルームバーグの報道によるもので、本誌は原典を確認していない。本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の商品の売買を推奨するものではない。投資判断はご自身の責任において行っていただきたい。
















