ダウ平均が最高値更新、米イラン協議が支援材料に
金曜日のニューヨーク株式市場では、主要3指数がそろって上昇した。とりわけ注目されたのは、ダウ工業株30種平均が約3か月前のイラン戦争開始以来初めて史上最高値を更新したことだ。米東部時間午前9時42分の時点で、ダウは315.07ポイント高(+0.63%)の50,600.73、S&P500種指数は48.51ポイント高(+0.65%)の7,494.23、ナスダック総合指数は175.63ポイント高(+0.67%)の26,468.72となった。
イランのアラグチ外相がパキスタンの内相と会談し、紛争終結に向けた提案を協議したと報じられた。ただし、イランのウラン備蓄やホルムズ海峡の支配権を巡って、テヘランとワシントンの間には依然として大きな隔たりがある。それでも市場は和平への期待を織り込みつつあり、Spartan Capital Securitiesのチーフ・マーケット・エコノミスト、ピーター・カーディロ氏は「米イラン間の主要な相違点は未解決ながら、和平交渉の継続そのものが投資家にとって支援材料となっている」と指摘した。
UBSがS&P500の目標値引き上げ、AI投資ブームを評価
UBSグローバル・ウェルス・マネジメントは、S&P500の2026年末目標値を7,500から7,900へ引き上げた。引き上げの理由として、堅調な個人消費に加え、データセンター・インフラに対する「飽くなき需要」を挙げている。AI関連投資の拡大が米株上昇の大きな原動力となっていることが改めて確認された格好だ。
S&P500は8週連続上昇となる見通しで、これが達成されれば2023年12月以来の長期連騰記録となる。AI関連トレード、底堅い決算、そして地政学リスク後退期待という3つの要素が市場を押し上げている。半導体関連ではフィラデルフィア半導体株指数(SOX)が1.5%上昇、エヌビディアも前日の下落から反発し0.5%高となった。
個別銘柄の動向と注目イベント
個別銘柄では話題の多い一日となった。主な動きは以下の通り。
- エスティローダー:+12% — スペインのプイグとの合併交渉打ち切りを受け急騰
- ワークデイ:+9.4% — 第1四半期売上高・利益が予想を上回る
- テイクツー・インタラクティブ:+2.5% — 「GTA VI」の11月19日発売日を再確認
- IBM:約+3%、セールスフォース:+3.4% — ダウ平均を牽引
また、本日後半にはケビン・ウォーシュ氏がホワイトハウスでFRB議長に就任する。ジェローム・パウエル氏からの引き継ぎは、金融政策と米経済にとって重要な転換点となる。米10年債利回りは1週間ぶりの低水準である4.54%まで低下し、リスク資産には追い風となった。
日本の投資家への影響
米国株の最高値更新は、日本の投資家にとって複数のポジティブな意味を持つ。第一に、米株高は日本株、特に半導体・AI関連銘柄(東京エレクトロン、アドバンテスト、ソフトバンクグループなど)への波及効果が期待できる。第二に、原油価格上昇によるインフレ懸念は依然残るものの、米長期金利の低下はグロース株全般にとって支援材料となる。
一方で、注意点もある。CBOEボラティリティ指数(VIX)は2週間ぶりの低水準である16.64まで低下しており、市場のセンチメントはやや楽観に傾いている。和平交渉が決裂すれば反動も大きくなる可能性があるため、ポジション管理には慎重さが求められる。米国市場は月曜日がメモリアルデーで休場となるため、週明けの東京市場では先行きを読みづらい展開も想定される。
ボトムライン
米イラン和平への期待とAI投資ブームが米株を史上最高値へ押し上げているが、地政学リスクの完全解消には至っておらず、日本の投資家は半導体・AI関連の押し目買いを軸に、リスク管理を怠らない姿勢が重要だ。















