米国株式市場、和平期待で主要3指数そろって上昇
金曜日の米国株式市場は、米国とイランの和平合意への期待感がリスク資産への資金流入を後押しし、主要指数がそろって上昇しました。S&P500は0.4%上昇し、2023年以来となる最長の週間連続上昇記録を更新。ダウ工業株30種平均は0.6%上昇して50,586.18ポイントとなり、2営業日連続で史上最高値を塗り替えました。
ハイテク株中心のナスダック総合指数は0.2%、ナスダック100指数は24,016.02ポイントで取引を終えました。小型株指数のラッセル2000も0.8%上昇し、3営業日連続でプラス圏となっています。半導体関連ではヴァンエック半導体ETF(SMH)が1.4%上昇、iシェアーズ半導体ETF(SOXX)は金曜日に過去最高値を記録するなど、ハイテク・半導体セクターの強さが目立ちました。
主要ETFの動きを見ると、SPDR S&P500 ETF(SPY)は0.4%高、インベスコQQQトラスト(QQQ)も約0.4%高、SPDRダウ工業株平均ETF(DIA)は0.7%高で取引を終えています。Stocktwits上の個人投資家センチメントは、SPY・QQQ・DIAいずれも「極めて強気(extremely bullish)」ゾーンにあり、メッセージ投稿量も「極めて高い」水準にあります。
米イラン交渉の進展と残された火種
相場上昇の最大の材料となったのは、米国とイランの間で進む和平交渉です。カタールの交渉団が米国と連携してテヘランに飛び、紛争終結に向けた合意取り付けを支援していると報じられました。イラン側も「米国の最新提案により両国はより合意に近づいた」と表明し、提示された条件を精査中であることを明らかにしています。
ただし、リスク要因も残されています。ルビオ国務長官は、イランがホルムズ海峡を恒久的に支配し通行料を課そうとするのであれば、いかなる合意も成立し得ないと警告しました。「世界の誰も通行料制度を支持していない。受け入れられないものであり、もしそれを追求し続けるなら外交合意は不可能になる」と強い口調で釘を刺しています。
中東情勢の落ち着きは原油価格の下落を通じて世界的なインフレ圧力を緩和し、企業収益や消費者の購買力にプラスに働くとみられています。一方で交渉決裂となれば、原油急騰とリスクオフ反転のシナリオも否定できません。
個別材料:IPO観測、決算好調、量子コンピューターへの2,000億ドル投資
今週はマクロ要因に加え、個別材料も豊富でした。Anthropic、OpenAI、SpaceXといったAI・宇宙関連の有力非公開企業のIPO報道が相次ぎ、市場のセンチメントを押し上げました。また、米企業の決算は総じて堅調で、業績相場の継続を裏付けています。
さらにトランプ政権は量子コンピューター分野に20億ドル規模の支援を打ち出し、最大の受益者と目されるIBM株は2002年10月以来となる週間最大の上昇を記録しました。注目銘柄としては以下が挙げられます。
- UBER(ウーバー):配車・デリバリー需要の継続的拡大
- GILD(ギリアド・サイエンシズ):バイオ医薬品セクターの注目株
- RDDT(レディット):SNS・AIデータ関連で物色
- AMD:半導体ETFの最高値更新と連動
- FJET:中東情勢改善のテーマ関連
日本の投資家への示唆 ― 「平和の配当」を逃さないポジショニング
インタラクティブ・ブローカーズのスティーブ・ソズニック氏はブルームバーグに対し、「3連休を前に株価が上昇していること自体が、トレーダーのリスク姿勢を雄弁に物語っている」と指摘。「よりリスク回避的な環境であれば、ポジションを圧縮して手仕舞うのが普通だ。しかし投資家は積極的にロングを積み増しており、『平和の配当』相場を取り逃すリスクを取りたくないという心理が透けて見える」と分析しています。
日本の個人投資家にとっても、この相場の流れはいくつかの示唆を持ちます。第一に、米国株式の上値追いはハイテク・半導体主導で続いており、SOXやSMHに連動する日本上場ETFや、東京エレクトロン、アドバンテストといった国内半導体関連株への波及効果が期待されます。第二に、ホルムズ海峡を巡る不透明感が残るため、原油・エネルギー関連のヘッジを完全に外すのは時期尚早といえます。第三に、ケビン・ウォーシュ氏の新FRB議長就任という政策面の節目も控えており、金融政策スタンスの変化を注視する必要があります。
ボトムライン
米イラン和平期待と好決算が重なる「リスクオン局面」では、ハイテク・半導体を中心に押し目買いスタンスを維持しつつ、中東情勢の急変に備えてエネルギー関連のヘッジも一部残すバランス型運用が有効でしょう。















