この記事の要点(2026年6月時点)
・NTT(9432)は株価145円前後と買いやすく、NISAで絶大な人気を誇る定番の高配当株だ。
・2026年度の配当は16期連続増配となる年5.4円、配当利回りは約3.76%、配当性向は約42%。
・一方で2027年3月期は減益見通し(最終益9,800億円、前期比−5.5%)で、国内通信は成熟期にある。
・成長の鍵は、NTTデータの完全子会社化、データセンター事業、次世代基盤IOWNだ。
・「配当をもらいながら気長に持つ」インカム狙いには向くが、大きな値上がり益は期待しにくい。
NTT(9432)は、新NISAで最も多くの個人投資家に買われている銘柄の一つだ。1株から手が届く低い株価、16期連続の増配、約3.8%の配当利回りと、初心者にもやさしい「安定配当株」の代表格である。だが「安いだけ」で買ってよいのか。本記事では、最新の数字、NISAで人気の理由、安定配当株としての実力、そして「低成長の罠」という指摘までを検証する。
まず押さえる最新の数字
| 項目 | 数値(2026年6月時点) |
|---|---|
| 株価 | 約145円 |
| 年間配当(2026年度) | 5.4円(16期連続増配) |
| 配当利回り | 約3.76% |
| 配当性向 | 約42% |
| 前期最終利益(2026年3月期) | 1兆370億円(前期比+3.7%) |
| 今期見通し(2027年3月期) | 9,800億円(前期比−5.5%、減益) |
注目すべきは、16期連続の増配という安定感の一方で、今期は減益見通しという点だ。安定配当の魅力と、成長の頭打ちという課題が同居している。アナリストの平均目標株価は173円と上昇余地も示されるが、過度な値上がりより「配当」を主役に考える銘柄だ。
NTTの最終利益は今期、減益見通し
16期連続増配で配当は安定する一方、2027年3月期の最終利益は前期比5.5%減の見通し。成熟期にある国内通信の課題を映す。
出所:NTT 決算資料。数値は2026年6月時点。
なぜNTTはNISAで人気なのか
1株から買える低い株価
NTTは2023年に1株を25株に分割し、株価を大きく引き下げた。その結果、現在は約145円と、数百円から投資できる水準にある。100株でも約1.5万円であり、少額から始めたいNISA初心者にとって入りやすい。これが個人株主数で国内最大級となった大きな理由だ。
16期連続増配という安心感
NTTは16期連続で増配を続けており、株主還元への姿勢が明確だ。配当性向は約42%と余裕があり、自社株買いにも積極的だ。景気の波に比較的左右されにくい通信という事業の性質も相まって、「安心して長く持てる配当株」として支持されている。ボーナスでの長期投資のインカム源として選ばれることも多い。
「安定配当株」としての実力
インカム(定期収入)を重視する投資家にとって、NTTの約3.76%という利回りと連続増配は魅力的だ。仮に増配が続けば、買った時の株価に対する実質的な利回り(取得利回り)は年々高まっていく。値動きが比較的穏やかで、ポートフォリオの「守り」を担える点も、成長株中心の運用に対するバランス役として機能する。
「低成長の罠」という指摘
高配当の裏にある「成長の頭打ち」。NTTの株価は長く横ばい圏で推移してきた。2027年3月期は減益見通しで、国内の通信事業は人口減少と競争で成熟期にある。配当利回り分は受け取れても、株価がほとんど動かなければ、トータルのリターンは伸びにくい。これが「安いだけで買うと、配当はもらえるが値上がり益が乏しい」という低成長の罠だ。さらに金利が上がる局面では、高配当株は債券の利回りと比較され、相対的な魅力が薄れやすい点にも注意がいる。
金利の方向は、NTTのような高配当・大型株の評価を左右する。日銀の利上げと長期金利の動きは、日本株全体の地合いとともに、配当株の相対的な魅力を変える要因になる。円や金利を巡るマクロ環境も合わせて見ておきたい。
成長の鍵:NTTデータ・データセンター・IOWN
とはいえ、NTTは「ただの国内通信会社」ではない。NTTデータを完全子会社化し、法人・海外向けのソリューション事業を成長の柱に育てようとしている。AIブームを背景にデータセンター投資も拡大中だ。さらに、消費電力を抑えながら大容量通信を実現する次世代基盤IOWN(アイオン)が普及すれば、新たな収益源になり得る。これらが計画通り伸びれば、「低成長」というイメージは変わる可能性がある。逆に投資負担が先行して回収が遅れれば、減益が続くリスクもある。
NTT株はこんな人に向く
| 向いている人 | 向かない人 |
|---|---|
| 配当をもらいながら長期で気長に持ちたい | 数年で大きな値上がり益を狙いたい |
| 値動きの穏やかな「守り」の銘柄が欲しい | 高成長・高ボラティリティを好む |
| 少額から日本株を始めたい初心者 | 株価の横ばいに耐えられない |
| 連続増配で取得利回りを育てたい | 金利上昇局面で配当株を持つ不安が大きい |
配当株として見るならここを確認する
NTTは「大きく増やす株」ではなく、「配当をもらいながら守る株」として評価した方が分かりやすい。したがって、株価の短期上昇よりも、配当を支える利益とキャッシュフローの安定性を確認することが重要だ。
| 確認項目 | 安心材料 | 注意材料 |
|---|---|---|
| 配当性向 | 40%台程度で無理がない | 利益減で50〜60%台へ上がる |
| 営業利益の方向 | 減益が一時的で、翌期以降に回復が見える | 国内通信の低成長と投資負担で減益が長引く |
| 成長事業 | NTTデータ、データセンター、IOWNが利益貢献を始める | 投資先行でリターンが見えにくい |
| 金利環境 | 配当利回りが債券利回りに対して十分魅力的 | 金利上昇で高配当株の相対魅力が低下する |
NISAで持つなら、株価が数円動くたびに売買するより、増配が続くかを年1〜2回確認するスタンスが合う。低成長を許容できるかどうかが、NTTとの相性を決める。
まとめ
結論:NTTは、低い株価・16期連続増配・約3.8%の利回りという、NISAのインカム投資に適した安定配当株だ。「配当をもらいながら気長に持つ」目的なら、十分に理にかなう。ただし2027年3月期は減益見通しで、国内通信は成熟期。大きな値上がり益を期待して買うと、「配当はもらえるが株価は動かない」低成長の罠にはまりかねない。成長の鍵はNTTデータ・データセンター・IOWNにあり、これらの進捗を見守りつつ、あくまで「守りと配当」の役割で持つのが現実的だ。
NTT株はNISAで買うべきか?
インカム(配当収入)を重視し、長期で気長に持つ目的なら理にかなう。株価145円前後と買いやすく、16期連続増配で利回りは約3.76%、配当性向も約42%と余裕がある。ただし2027年3月期は減益見通しで、大きな値上がり益は期待しにくい。『配当をもらいながら守りの役割で持つ』銘柄と理解して買うのがよい。数値は2026年6月時点。
NTTの配当利回りと連続増配はどうなっている?
2026年度の年間配当は16期連続増配となる1株5.4円で、配当利回りは約3.76%だ。配当性向は約42%と無理のない水準で、自社株買いにも積極的だ。増配が続けば、買った時の株価に対する実質利回り(取得利回り)は年々高まる。景気に左右されにくい通信事業の安定性も、長期保有しやすい理由になっている。
NTTの「低成長の罠」とは何か?
高配当で安心感がある一方、株価が長く横ばいで値上がり益が乏しくなりやすいことを指す。2027年3月期は減益見通しで、国内通信は人口減少と競争で成熟期にある。配当利回り分は受け取れても、株価が動かなければトータルのリターンは伸びにくい。さらに金利上昇局面では、高配当株は債券利回りと比較され相対的な魅力が薄れやすい。
NTTに成長余地はあるのか?
ある。NTTデータを完全子会社化し、法人・海外向けソリューションを成長の柱に育てている。AIブームでデータセンター投資も拡大中だ。さらに省電力で大容量通信を実現する次世代基盤IOWNが普及すれば新たな収益源になり得る。これらが計画通り伸びれば低成長のイメージは変わるが、投資負担が先行して回収が遅れれば減益が続くリスクもある。
NTT株はどんな人に向くか?
配当をもらいながら長期で気長に持ちたい人、値動きの穏やかな守りの銘柄が欲しい人、少額から日本株を始めたい初心者に向く。逆に、数年で大きな値上がり益を狙いたい人や、株価の横ばいに耐えられない人には向かない。成長株中心のポートフォリオに『守りと配当』のバランス役として加える使い方が現実的だ。
※本記事は特定銘柄の売買を推奨するものではない。株価・配当・利回り・業績などの数値は本稿執筆時点(2026年6月時点)に確認した公開情報に基づくもので、相場と業績は変動し、将来を保証しない。投資判断は自身の責任で行ってほしい。
















