10月16日の東京市場で、ベイカレント(6532)とSHIFT(3697)がそろってストップ高を付けた。前日15時30分に出した決算が材料である。前場のプライム市場の値上がり率では、ベイカレントが3位、SHIFTが4位に入った。
ベイカレントは2026年、AIに仕事を奪われる側とみなされ、2月24日にストップ安を付けた。SHIFTも同じ日に年初来安値の590円を付けている。フィスコは16日、情報サービス株全般に買いが優勢だと伝えた。要点を5つにまとめた。
- 上場来高値:ベイカレントは1万195円(+17.25%)でストップ高に張り付いた。2月の安値3,780円から約2.7倍である。
- 上期28.5%増益:3〜8月期の営業利益は298億円。会社計画を上振れ、通期予想は据え置いた。
- 売上の5〜6割がAI:ベイカレントによると、上期売上の50〜60%がAI関連案件だった。売られた理由が、そのまま稼ぎ頭になっている。
- SHIFTは調整後で2ケタ増益:調整後営業利益は14.8%増、今期は23%増を見込む。ただ、法定ベースの純利益は16.8%減だった。
- 次は5年計画の信認:ベイカレントは31年2月期に売上高5,000億円を掲げた。今期予想の約2.6倍である。
1. ベイカレント、ストップ高で上場来高値
結論:株価は10月16日9時27分に1万195円のストップ高を付けた。前日終値8,695円から1,500円高、17.25%高である。11時30分の前場終了時点でも、その値に張り付いたままだった。
根拠:株探によると、上場来高値の更新である。2025年末の終値6,500円から見ると、年初来で56.8%高になる。2月24日には一時ストップ安の3,780円まで売られていた。そこから約2.7倍に戻した計算だ。
ベイカレント株価の節目(円)
読み方:AI代替懸念で付けた2月の安値から、決算翌日のストップ高までで約2.7倍。2025年末比では56.8%高である。10月16日は11時30分の前場終了時点の値で、終値ではない。出所:株探、日本経済新聞、本誌計算。
次:同じ日の日経平均は、前場で1,124円73銭高だった。前日の3,318円安から反発した日に、個別の材料がある銘柄に買いが集まった。前日の急落の中身は日経平均4.81%安の記事で整理している。
2. 上期は営業益28.5%増、計画も上回る
結論:3〜8月期(国際会計基準)の売上収益は929億1,300万円で、前年同期比35.7%増だった。営業利益は298億9,200万円で28.5%増、純利益は222億900万円で28.9%増である。
根拠:補足資料によると、上期の売上と利益は会社計画を上回った。株探によると、営業利益の伸びは4〜6月期の18.6%から加速した。通期の純利益予想481億円に対する進捗率は46.2%である。過去5年の平均43.7%を上回る。
次:通期予想は売上高1,900億円、営業利益648億円で据え置いた。配当は中間65円、年130円の予定で、前期は年100円だった。上振れ分を下期に織り込むかどうかは、次の決算で確かめることになる。
3. 売られた理由が、稼ぎ頭になっていた
結論:補足資料によると、上期売上の50〜60%がAI関連案件だった。コンサルタントは6,339人で30.9%増え、案件数も25.5%増えた。AIは今のところ、仕事を奪う側ではなく仕事を増やす側にある。
根拠:日本経済新聞は2月24日、AIがサービスを代替する懸念で一方的に売られたと報じた。米アンソロピックがAIの新サービスを次々に出した時期と重なる。日経ヴェリタスのインタビューでも、「AIディスラプション」の懸念で株価は年初来で一時約4割下落したとされた。
次:流れが変わったのは10月初めだ。ロイターによると、アクセンチュアは10月1日(米国時間)、強めの売上見通しで一時22%高になった。翌2日、ベイカレントも大きく反発した。AI投資そのものへの疑念は、コアウィーブ社債の急落で再び強まっている。その中でも、AIを使う側の需要は崩れていない。
4. SHIFTは「調整後」で読む決算
結論:SHIFTは9時18分に1,058円のストップ高を付けた。前日終値908円から150円高、16.52%高である。2026年の高値を更新したが、2023年に付けた上場来高値2,406円1銭の半分にも届かない。
根拠:8月期の売上高は1,616億円で24.5%増だった。調整後営業利益は202億5,900万円で14.8%増、6〜8月期だけなら69.1%増である。一方、法定ベースでは営業利益が11.6%増にとどまり、経常利益は12.3%減、純利益は16.8%減だった。売上に占めるAI関連の比率は28.4%である。
| 項目 | ベイカレント(6532) | SHIFT(3697) |
|---|---|---|
| 決算期間 | 3〜8月期(上期) | 2026年8月期(通期) |
| 売上の伸び | +35.7% | +24.5% |
| 営業利益の伸び | +28.5% | +11.6%(調整後+14.8%) |
| 純利益の伸び | +28.9% | −16.8% |
| 売上に占めるAI関連 | 50〜60% | 28.4% |
| 今期の利益予想 | 営業益648億円(+27.2%) | 調整後営業益250億円(+23%) |
| 10月16日前場 | 1万195円(S高、+17.25%) | 1,058円(S高、+16.52%) |
次:今期は売上高1,900億円、調整後営業利益250億円を見込む。東京ガスと150億円のファンドを作り、国内のIT企業を買う計画も出した。法定ベースの利益が調整後に追いつくかが焦点になる。
5. 次は5年計画を市場が信じるか
結論:ベイカレントは新たな中期計画で、31年2月期に売上高5,000億円、EBITDA2,000億円を掲げた。1株利益は約1,000円、ROEは約80%を目標とする。今の計画(29年2月期に売上高2,500億円)は、1年前倒しでほぼ達成する見通しだという。
根拠:手元資金の目安は、予想売上高の最大約40%から約25%に下げた。超えた分は成長投資と自社株買いに回す。配当性向約40%の方針は変えない。
次:株価1万195円は、今期予想の1株利益323円79銭の約31倍にあたる。計画どおり1株利益が約1,000円になれば、約10倍の計算だ。この差を埋めるのは採用と単価の伸びである。四半期ごとのコンサルタント数と案件数が、最初の確認点になる。
30秒まとめ
AIに仕事を奪われるとして売られたベイカレントが、AI案件の伸びで増益を示した。SHIFTもAI関連の売上比率を28.4%に高めた。前場はベイカレントが上場来高値、SHIFTが年初来高値だった。次に見るのは、ベイカレントの5年計画を支える人員と案件の伸びである。
参照
- ベイカレント 2027年2月期第2四半期決算短信/TDnet、決算補足資料/TDnet
- ベイカレント 中期経営計画「持続的な企業価値向上に向けて」/TDnet、資本配分方針の変更/TDnet
- SHIFT 2026年8月期決算説明資料/TDnet、東京ガスとのファンド設立に関する基本合意/TDnet
- 株価・値幅制限/株探(ベイカレント)、株探(SHIFT)、日本取引所グループ
- 前場の値上がり率ランキング/株探、情報サービス株の動向/株探(フィスコ)、上期の進捗率/株探
- 2月24日のストップ安とAI代替懸念/日本経済新聞、AIディスラプション懸念をめぐるインタビュー/日経ヴェリタス
- アクセンチュアの見通しとITサービス株の反発/ロイター(The Star掲載)、10月2日のベイカレント反発/財経新聞(フィスコ)
データ基準日:2026年10月16日11時30分(日本時間)、東京市場の前場終了時点。株価は取引時間中の値で、終値ではない。後場の値動きは反映していない。上場来高値は株探の表示にもとづく。年初来騰落率と株価収益率は、株探の株価と会社予想から本誌が計算した。SHIFTの調整後の利益は会社独自の定義で、法定の数値とは異なる。中期計画の数値は会社の目標であり、達成を保証するものではない。本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買を推奨するものではない。投資判断はご自身の責任において行っていただきたい。
















