主要3指数そろって上昇、ダウは史上最高値を更新
金曜日の米国株式市場は主要3指数がそろって上昇しました。S&P500種株価指数は+0.37%、ダウ工業株30種平均は+0.58%、ナスダック100指数は+0.42%でそれぞれ取引を終えました。6月限E-mini S&P先物は+0.35%、6月限E-mini Nasdaq先物は+0.42%上昇しています。
S&P500とナスダック100は1週間ぶりの高値を更新し、ダウ平均は史上最高値をつける堅調な展開となりました。相場を支えたのは、米国とイランが和平合意に近づきつつあるとの期待感です。加えて、半導体メーカーやAIインフラ関連株が人工知能ブームへの根強い期待から大幅に上昇しました。ソフトウェア大手のワークデイ(WDAY)は第1四半期決算が市場予想を上回り、見通しも強気だったことから+5%超上昇し、ソフトウェアセクターをけん引しました。
消費者信頼感の低下とFRB高官の発言が重し
一方、相場の上値を抑える材料も浮上しました。ミシガン大学が発表した5月の米消費者信頼感指数は44.8へと下方修正され、1978年の統計開始以来の過去最低を記録しました。市場予想の48.2を大きく下回る結果です。さらに5月の1年先インフレ期待は+4.8%へと9カ月ぶりの高水準に上方修正され、5-10年先のインフレ期待も3.9%へと7カ月ぶり高水準に修正されました。
また、FRBのウォラー理事が「インフレが正しい方向に向かっていない」とし、次回の利上げ可能性も利下げと同程度にあり得ると示唆したタカ派発言も、株価の重しとなりました。市場は6月16-17日のFOMCでの利下げ確率を0%と織り込んでおり、追加利下げ期待は完全に後退しています。
半導体・ソフトウェア・個別材料株が大幅高
金曜日に大きく上昇した主な銘柄は以下の通りです。
- クアルコム(QCOM): +11%超 ─ ナスダック100で上昇率トップ
- デル・テクノロジーズ(DELL): +16%超 ─ ウェルズ・ファーゴが目標株価を180ドルから270ドルに引き上げ
- IMAX(IMAX): +15%超 ─ 身売り検討との報道
- エスティローダー(EL): +11%超 ─ Puig Brandsとの合併破談
- Zoom(ZM): +9%超 ─ 決算と通期見通しの上方修正
- ロス・ストアーズ(ROST): +8%超 ─ 第1四半期売上が市場予想を上回る
- メルク(MRK): +5%超 ─ EMAがキイトルーダの膀胱がん適応で承認勧告
AMD、アナログ・デバイセズ、テキサス・インスツルメンツも+3%超上昇し、半導体セクター全体が活況を呈しました。決算シーズン終盤を迎え、第1四半期決算を発表したS&P500構成企業475社のうち83%が市場予想を上回る結果となり、ブルームバーグ・インテリジェンスによる第1四半期EPS成長率予想は前年同期比+12%に達しています。
日本の投資家への影響と注目ポイント
日経平均株価も金曜日に+2.68%と大幅高で1週間ぶり高値を回復しており、米株高とリスクオン地合いの恩恵を受けています。日本の投資家にとっては、米国の半導体・AI関連株の上昇トレンドが東京エレクトロン、アドバンテスト、ソフトバンクグループといった国内関連銘柄にも追い風となる可能性があります。
ただし、ホルムズ海峡封鎖の継続や中東情勢の不透明感、米消費者信頼感の過去最低更新といったマイナス材料も同時進行している点には注意が必要です。原油価格はイラン情勢のヘッドラインに極めて敏感で、IEAは10月まで世界石油市場が「深刻な供給不足」になると指摘しており、ゴールドマン・サックスは現状の供給途絶により最大10億バレルの在庫減少が起こり得ると試算しています。エネルギー関連株や輸送株への波及にも目を配るべきでしょう。
ボトムライン
AI・半導体相場とイラン和平期待が短期的な上昇ドライバーですが、インフレ再加速とFRBのタカ派姿勢が上値を抑えるリスクがあるため、押し目買いは半導体・ソフトウェア大型株に絞った選別投資が有効です。













