決算予想:売上高79%増、利益は430億ドル規模へ
エヌビディアは本日夜、2024年4月期(第1四半期)の決算発表を控えています。LSEGのデータによると、売上高は前年同期比79%増と1年以上ぶりの高成長ペースとなる見通しで、調整後利益も81.8%増の429.7億ドルに達すると予想されています。AI半導体市場の絶対王者として、市場の期待は依然として極めて高い水準にあります。
成長の原動力は、マイクロソフトやメタ・プラットフォームズなど大手顧客による旺盛なAI投資です。ビッグテック各社の2024年のAI関連支出は7,000億ドル超と、2025年見込みの約4,000億ドルから大幅に拡大する見通しで、エヌビディアのGPUは引き続きその恩恵を最大限に受ける立場にあります。ジェンスン・フアンCEOは「数四半期分の需要に応えられるだけの供給を確保した」と述べており、供給制約への懸念は和らいでいます。
オプション市場が示す3,550億ドルの変動リスク
オプション市場は、決算発表後のエヌビディア株に極めて大きなボラティリティを織り込んでいます。ロイターによると、現在のオプション・ポジションは木曜の取引再開時に±6.5%程度の株価変動を示唆しており、これは時価総額換算で約3,550億ドルの変動に相当します。これはS&P500構成企業の約9割の単独時価総額を上回る規模です。
この数字は、市場がエヌビディアに依然強気である一方、半導体株の急騰を受けて慎重姿勢も強まっていることを示しています。半導体関連ETFを中心にヘッジ取引や利益確定の動きが活発化しており、投資家はAIへの楽観論を維持しつつも、これまでの利益を守る姿勢を強めていると報じられています。
競争激化と中国リスク — 死角はどこに?
圧倒的なシェアを誇るエヌビディアにも、複数のリスク要因が浮上しています。主な懸念点は以下の通りです:
- データセンター建設の鈍化リスク:インフラ整備の遅れが短期的なAIチップ需要を圧迫する可能性
- 中国市場の不透明感:H200チップの中国向け販売は未だ実現せず、北京は国産代替品を後押し
- 競合の台頭:インテル、AMDが低コスト向けで攻勢、アルファベットのTPUは数百億ドル規模の契約を獲得、アマゾンもTrainiumで自社チップを拡大
- 推論向け需要へのシフト:学習用GPU中心の優位性が、リアルタイム推論市場では揺らぐ可能性
AI市場は学習(トレーニング)から推論(インファレンス)へと需要の重心が移りつつあり、この領域では競合が食い込む余地が大きいとされています。トランプ大統領との中国訪問により対中ビジネスの進展期待は出ているものの、地政学リスクは依然として大きな変数です。
日本の投資家への影響と投資戦略
エヌビディア株は年初来で約19%上昇と堅調ながら、AMDやインテル、アームといった同業他社、また27%上昇したアルファベットには見劣りします。同期間でS&P500は8%上昇、フィラデルフィア半導体株指数(SOX)は57%急騰しており、エヌビディアの相対パフォーマンスは意外にも控えめです。
日本市場への波及は極めて大きく、東京エレクトロン、アドバンテスト、ディスコ、SCREENホールディングスなど半導体製造装置株、さらにソフトバンクグループ(アーム保有)も決算結果に大きく反応する可能性があります。データセンター需要、ハイパースケーラーの設備投資動向、粗利益率、そして次四半期ガイダンスが最大の注目点となります。ガイダンスが市場予想を下回れば、AI関連株全体の調整トリガーとなりかねません。
投資家としては、決算直後の急変動を見極めた上で、長期的なAIインフラ投資テーマと短期的なバリュエーション過熱感のバランスを慎重に判断することが求められます。














