11月5日の米国株は、寄り付きから1時間で半導体株の売りが一段と強まった。米東部時間10時31分(日本時間6日0時31分)、フィラデルフィア半導体株指数(SOX)は8.03%安、ナスダック総合指数は3.66%安となった。前日にダウを1,500ドル超押し上げた資金の移動は、2日目に入って「AI関連を売る」動きのほうが前に出ている。その一方で、決算を好感したアップラビンは34%高と、指数とは逆の方向に走った。
まず下の4枚を見てほしい。下げの深さと、恐怖指数の跳ね方、そして逆行した銘柄の大きさが1枚で分かる。
指数とセクター:テクノロジーだけが5%安
主要指数とセクターETF(前日比、%)
読み方:上の5本が指数、下の5本が業種別ETF。下げはテクノロジーに集中し、生活必需品やヘルスケアなど守りの業種は上げている。米東部時間10時31分(日本時間6日0時31分)、前日終値比。出所:TradingViewの気配値(取引時間中、最大15分遅れ)。
S&P500種株価指数は2.28%安の7,513.29、ダウ工業株30種平均は1.25%安の5万2,689.28。小型株のラッセル2000に連動するETFも1.74%安と、下げは広がっている。ただしセクター別に見ると、売られたのはほぼテクノロジーに集中する。テクノロジー株のETF(XLK)は5.38%安、一般消費財(XLY)は2.80%安だった。生活必需品(XLP)は1.30%高、ヘルスケア(XLV)は1.17%高、エネルギー(XLE)は0.93%高と、守りの業種には買いが入った。
恐怖指数と呼ばれるVIXは22.69と36.6%上昇した。市場全体の総崩れではなく、AIに賭けてきた資金が一斉に出口へ向かった形である。米10年債利回りは4.874%に低下し、ドル円は157.96円と円高方向に振れた。
AI関連のハードウェアは2日連続で総崩れ
AI関連ハードウェア株(前日比、%)
読み方:記憶装置(サンディスク・WD・シーゲイト・マイクロン)とデータセンター向け機器の下げが深く、時価総額の大きいエヌビディアは相対的に下げが小さい。米東部時間10時31分(日本時間6日0時31分)、前日終値比。出所:TradingViewの気配値(取引時間中、最大15分遅れ)。
下げが最も深いのは記憶装置と、データセンター向けの部品・機器だ。サンディスクは17.01%安、ウエスタンデジタルは13.17%安、シーゲイトは13.13%安、マイクロン・テクノロジーは12.23%安。AMDも13.11%安、アームは11.95%安、デルは11.21%安、ラムリサーチは10.07%安となった。エヌビディアは6.63%安、TSMCの米国預託証券(ADR)は7.37%安と、大型株は相対的に下げが小さい。
市場で語られている理由は2つある。1つは、米中間選挙で民主党が上下両院を制し、データセンターの建設や電力網の許認可が進みにくくなるとの見方だ。もう1つは、4日夜のクアルコムとアームの決算が期待に届かなかったことで、クアルコムの中身は決算記事で扱った。ただし、選挙結果と株価の下げの因果関係は会社の発表で確かめられるものではなく、あくまで市場の解釈である。
決算で明暗:アップラビン34%高、メルカドリブレ14%安
決算銘柄の明暗(前日比、%)
読み方:緑は決算を好感して上げた銘柄、赤は売られた銘柄。指数が大きく下げるなかでも、決算の中身で値動きが分かれた。米東部時間10時31分(日本時間6日0時31分)、前日終値比。出所:TradingViewの気配値(取引時間中、最大15分遅れ)。
指数に逆らったのは決算銘柄だ。アップラビンは33.94%高の363.99ドル。7〜9月期の売上高が前年同期比55%増と、会社自身の見通しを上回った。8月の急落後の終値335.67ドルを、寄り付き1時間で上回った。経緯は決算を通説と照らした記事にまとめている。同じ朝に決算を出したユニティも10.48%高、通期予想を引き上げたタペストリー(コーチの親会社)は8.51%高だった。信用スコアのフェア・アイザック(FICO)は寄り付き前に10%安だったが、2.85%高まで切り返した。
売られた側では、メルカドリブレが13.85%安。売上高は前年同期比45%増の107億5,000万ドルだったが、配送費の負担で営業利益率が6.3%と前年の約9.8%から下がった。スナップは13.68%安、エクスペディアは12.34%安、ロックウェル・オートメーションは9.30%安となった。スナップは1日あたり利用者数が市場予想に届かず、エクスペディアは10〜12月期の売上高見通しが予想を下回ったと報じられている。
東京への波及:日経先物は夜間で1,400円超安
東京市場は5日、すでにこの流れを先取りしていた。日経平均は1,110円73銭安の6万1,077円68銭で引け、アドバンテストは14.71%安の2万9,485円、キオクシアホールディングスは13.14%安の9,324円、東京エレクトロンは9.42%安の8,753円だった。その日の下げの中身は東京市場の引け記事で扱った。
大阪取引所の日経平均先物(12月限)は、夜間取引で5万9,490円(日本時間6日0時16分ごろ、15分遅れの値)。日中の清算値から1,430円安く、5日の現物終値を約1,590円下回る。米国でさらに半導体株が売られたことで、6日の東京は2日続けて半導体株が指数を押し下げる展開が想定される。
このあとのシナリオ
| シナリオ | 条件 | 引けの姿 | 確率(本誌) |
|---|---|---|---|
| 下げ幅縮小 | SOXが9,600を回復、エヌビディアが下げ幅を半分に | ナスダックは2%前後の下げで終える | 40% |
| 下げ継続 | SOXが寄り付き後の安値圏に張り付く | ナスダックは3〜4%安、VIXは20台前半を維持 | 45% |
| 投げ売り | エヌビディアが180ドルを割る、VIXが25を超える | ナスダックは4%超安、守りの業種も売られる | 15% |
この見立ては、6日の10月米雇用統計の前に持ち高を落とす動きが続くことを前提にしている。雇用統計がドル円に与える影響は2024年5月と比べた記事で整理した。
今夜と明朝のチェックリスト
- SOXの引け:8%安のまま終えるか、下げ幅を縮めるか。東京の半導体株の寄り付きを左右する。
- VIX:22台から25を超えるかどうか。超えれば、売りが半導体以外に広がった合図になる。
- 日経平均先物の夜間取引:5万9,000円台を守れるか。6日朝の東京の始値の目安になる。
- ビットコイン:日本時間0時31分に7万6,169ドルと5.3%安。リスク資産全体の売りに巻き込まれている。
- 6日22時30分:10月の米雇用統計。予想を下回れば、金利低下で半導体株の買い戻しを誘う可能性もある。
主な参照
- 指数・セクターETF・個別株・先物の気配値(米東部時間10時31分)/TradingView
- アップラビン 7〜9月期決算(SEC提出8-K)/米証券取引委員会
- メルカドリブレ 7〜9月期決算(SEC提出8-K)/米証券取引委員会
- タペストリー 2027年6月期第1四半期決算/Tapestry IR
- スナップの決算と利用者数/CNBC
- エクスペディア 7〜9月期決算(SEC提出8-K)/米証券取引委員会
データ基準日:2026年11月5日 米東部時間10時31分(日本時間6日0時31分)。米国株・指数・ETF・ビットコイン・ドル円・米国債利回りは取引時間中の値で、終値ではない。TradingViewの指数・株価は最大15分程度遅れる場合がある。日経平均先物は大阪取引所の夜間取引の15分遅れの値。東京の株価は5日の終値。下げの理由として挙げた選挙結果やデータセンター投資の見方は報道や市場の解釈であり、会社の発表で確認されたものではない。シナリオの確率は本誌の判断であり、将来の株価を保証しない。本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の売買を推奨するものではない。投資判断はご自身の責任において行っていただきたい。











