11月5日の東京市場で、日経平均株価は1,110円73銭安の6万1,077円90銭で取引を終えた。4日続落である。一方、TOPIXは45.01ポイント高の3,940.39で、1.16%上げた。日経平均の下げは、ほぼアドバンテスト1銘柄で説明できる。下の5点で、この日の値動きを整理する。
- 指数が割れた:日経平均は1.79%安、TOPIXは1.16%高。NT倍率は15.96倍から15.50倍に下がった。
- アドバンテスト:14.71%安。1銘柄で日経平均を約1,100円押し下げた(本誌試算)。
- AI・半導体:キオクシアが13.14%安、イビデンが16.31%安。電気機器は5.24%安だった。
- 受け皿:トヨタ自動車が16.68%高。33業種のうち25業種が上げた。
- 引け後:太陽誘電が営業利益予想を20%上げた。今夜21時には英中銀の発表がある。
11月5日の騰落率:指数と主な銘柄
読み方:上の2本が指数、下の8本が個別銘柄である。半導体関連が2桁安でも、トヨタやソニーなどの上げがTOPIXを押し上げた。出所:株探(2026年11月5日の終値、前日終値比)。
1. 日経平均とTOPIXが逆に動いた
結論:この日は「日本株安」ではない。下げたのは一部の値がさ株である。
根拠:日経平均は朝方に6万2,653円98銭まで上げた。その後は下げに転じ、14時59分に6万786円19銭の安値を付けた。TOPIXは9時14分に3,988.52まで上げ、終値でも前日を上回った。2つの指数の比率であるNT倍率は、前日の15.96倍から15.50倍に下がった。
次:日経平均だけを見て保有株の損益を判断すると、実態を見誤る。日経平均は株価の高い銘柄の影響を強く受ける。中小型株や内需株が多い口座では、この日はむしろ含み益が増えた可能性がある。朝の段階の動きは寄り付き1時間の記事にまとめている。
2. アドバンテスト1銘柄で約1,100円
結論:日経平均の下げ幅1,110円のうち、約99%はアドバンテストの分である。
根拠:終値は2万9,485円で、前日比5,085円安。下落率は14.71%だった。株探は、前引け時点の寄与を約686円、15時時点を1,147円77銭と報じた。そこから得られる比率は1円の値下がりにつき約0.216円である。これを終値の5,085円安に当てはめると、押し下げは約1,097円になる。売買代金は7,270億円に達した。
次:アドバンテストが下げ止まれば、日経平均の下げも止まりやすい。逆に同社がもう1割下げると、それだけで指数は約640円下がる計算だ。日経平均の先物やETFを持つ人は、同社の株価を先に見ておきたい。
3. AI・半導体株に売りが集まった
結論:売られたのはアドバンテストだけではない。AI・半導体に関わる銘柄が広く下げた。
根拠:東京エレクトロンは9.42%安の8,753円。キオクシアホールディングスは13.14%安の9,324円で、売買代金は1兆4,314億円と東証で突出した。イビデンは16.31%安の6,726円で、取引時間中に一時ストップ安の6,537円を付けた。ソフトバンクグループは6.77%安、太陽誘電は13.53%安である。業種別では電気機器が5.24%安、非鉄金属が7.50%安だった。
次:売りの理由として、米中間選挙で民主党が勝ち、AI開発への規制が強まるとの警戒が報じられている。ただし規制の中身はまだ何も決まっていない。選挙結果の読み方は中間選挙とAI株の記事で検証した。目先は今夜の米国市場で、半導体株が下げ止まるかどうかを見る。
4. お金はトヨタと内需株へ向かった
結論:半導体から抜けた資金の受け皿は、好決算の大型株と内需株だった。
根拠:トヨタ自動車は後場の決算発表を受けて上げ幅を広げた。終値は16.68%高の3,533円で、高値引けである。売買代金は3,548億円だった。業種別では輸送用機器が11.81%高で首位、不動産業が7.17%高、ゴム製品が6.63%高と続いた。ソニーグループは7.07%高、任天堂は6.31%高で、どちらも決算発表の前に買われた。
次:トヨタの決算の中身は上方修正の記事で読める。33業種のうち25業種が上げ、下げたのは8業種にとどまった。指数の数字とは逆に、相場の土台は崩れていない。
5. 引け後の決算と今夜の予定
結論:あすの東京は、引け後の決算と今夜の欧米の材料で始まる。
根拠:太陽誘電は15時30分、今期の営業利益予想を450億円から540億円に引き上げた。理由は情報インフラや産業機器向けの需要増などで、下期の想定為替レートは1ドル156円だ。同社株はこの日13.53%下げており、修正はその後に出た。ソニーグループと任天堂も同じ時刻に4〜9月期の決算を発表した。
次:英中銀は英国時間12時、日本時間21時に政策金利を発表する。欧米の発表時刻を自分の時間帯に直すなら、タイムゾーン変換ツールが手早い。6日は三菱重工業やサンリオなど255社が決算を発表する予定だ。
| 銘柄 | 11月5日の終値 | 前日比 | あす見る点 |
|---|---|---|---|
| アドバンテスト(6857) | 29,485円 | −14.71% | 3万円を回復できるか |
| キオクシアHD(285A) | 9,324円 | −13.14% | 売買代金が細るか |
| 太陽誘電(6976) | 6,580円 | −13.53% | 上方修正への反応 |
| トヨタ自動車(7203) | 3,533円 | +16.68% | 高値引けの翌日の売り |
| ソニーグループ(6758) | 4,211円 | +7.07% | 決算への反応 |
| 任天堂(7974) | 8,880円 | +6.31% | 決算への反応 |
キオクシアとイビデンの前日までの動きは注目株の記事で扱った。
30秒まとめ:日経平均は1,110円安だが、その約99%はアドバンテスト1銘柄の分だった。TOPIXは1.16%高で、33業種中25業種が上げた。あすはアドバンテストの値動きと、引け後に決算を出したソニー、任天堂、太陽誘電の反応を見る。
主な参照
- 日経平均株価の終値・高値・安値/株探
- TOPIXの終値・高値/株探
- 東証33業種別の騰落率/株探
- 個別銘柄の終値・売買代金/株探(アドバンテスト、キオクシアHD、イビデン、トヨタ自動車)
- アドバンテストの寄与度(前引け時点と15時時点)、日経平均の寄与度上位/株探・フィスコ(株予報掲載分)
- 太陽誘電の業績予想の修正(2026年11月5日)/TDnet(太陽誘電)
- 米中間選挙後のAI規制への警戒と半導体株の売り(「株価値下がり 米中間選挙の結果を受け AI半導体銘柄 売り注文」11月5日)/NHKニュース
- 英中銀の政策金利の発表日程/イングランド銀行
- 11月6日の決算発表予定/株探
データ基準日:2026年11月5日の東京市場の終値(15時30分)。アドバンテストの日経平均への寄与度約1,097円は、株探が報じた前引け時点(約686円)と15時時点(1,147円77銭)の数値から1円あたりの比率を求め、終値の値下がり幅に当てはめた本誌の試算である。日本経済新聞社やほかの情報ベンダーの集計とは差が出ることがある。AI・半導体株が売られた理由は報道にもとづくもので、企業や当局が理由を示したものではない。英中銀の発表時刻(英国時間12時)は同行の慣行にもとづく。本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買を推奨するものではない。投資判断はご自身の責任において行っていただきたい。














