三井化学(4183)は11月4日の前場、前営業日比12.41%安の1,813.5円(11時28分)で推移した。産業革新投資機構(JIC)が保有する半導体材料大手JSRを、1兆3,000億円以上で同社に売却する方向だとロイター通信が同日朝に報じた。一方、ヤマトホールディングス(9064)は11.56%高の2,195.0円(11時30分)。米運用会社ファラロン・キャピタル・マネジメントによる5.02%の大量保有が判明し、同日引け後には4〜9月期決算の発表を控える。
同じ前場、日経平均株価は前営業日比2,246円安の6万835円で前場を終えた。値下がりは東証プライム1,546銘柄のうち1,103銘柄。2銘柄の値動きは、相場全体の下げとは別の材料によるものだった。
2銘柄の前場の数字
| 項目 | 三井化学(4183) | ヤマトHD(9064) |
|---|---|---|
| 前営業日終値(11月2日) | 2,070.5円 | 1,967.5円 |
| 始値 | 2,074.0円(9時00分) | 2,157.5円(9時10分) |
| 高値 | 2,080.5円(9時00分) | 2,254.0円(10時07分) |
| 安値 | 1,780.5円(10時35分) | 2,149.5円(9時12分) |
| 前場の水準 | 1,813.5円(11時28分)、12.41%安 | 2,195.0円(11時30分)、11.56%高 |
| 高値・安値の前日比 | 安値で14.0%安 | 高値で14.6%高 |
| 出来高/売買代金 | 879万株/165億円 | 389万株/86億円 |
| 時価総額 | 6,920億円 | 7,913億円 |
| PER/PBR | 14.6倍/0.75倍 | 43.4倍/1.24倍 |
| 予想配当利回り | 4.14% | 2.10% |
| 信用倍率(10月30日時点) | 11.61倍 | 2.06倍 |
| 次の決算発表 | 11月11日 | 11月4日(引け後) |
三井化学:時価総額の1.9倍の買収額
株探が配信したMINKABU PRESSの記事によると、ロイター通信は4日午前、JICが2年前に買収したJSRを三井化学に売却することが分かったと報じた。売却規模は1兆3,000億円以上になる可能性がある。フィスコは、月内にも決定する見通しと伝えた。日本経済新聞も同日、三井化学がJICからJSRを1兆3,000億円で買収すると報じている。
4日前場の時点で、三井化学は報道について発表していない。同社のIRニュースの最新は10月9日付だった。JICのニュースリリースにも、JSR売却に関する発表は出ていない。以下の数字は報道ベースの売却額を前提にしたものである。
JSRは2024年3月19日から4月16日まで実施されたJICの株式公開買付けを経て、同年6月25日に東証プライム市場の上場を廃止した。2021年10月には、EUV(極端紫外線)向けフォトレジストを手がける米インプリアを買収している。JSRの2026年3月期の連結売上収益は4,407億円、親会社の所有者に帰属する当期利益は593億円、親会社所有者の持分は4,073億円、総資産は1兆1,711億円だった。
JSR売却額(報道)と比べる数字(億円)
読み方:報道された売却額の下限1兆3,000億円は、三井化学の前場時点の時価総額の1.88倍、JSRの持分の3.19倍にあたる。出所:MINKABU PRESS(ロイター報道の引用)、株探、JSRの公表値(ウィキペディアに集約)、本誌計算。
1兆3,000億円は、三井化学の4日前場時点の時価総額6,920億円の1.88倍にあたる。JSRの当期利益593億円に対しては21.9倍、持分4,073億円に対しては3.19倍。三井化学自身のPBRは0.75倍だった。同社の2027年3月期の会社予想は、売上高1兆9,000億円、経常利益740億円、最終利益450億円、年間配当75円。
ブルームバーグは、三井化学株の下落率が15年ぶりの大きさになったと報じた。フィスコは、半導体材料事業の強化につながる一方、資金負担の増加による財務面への警戒感が先行したと伝えた。ロイターは、資金面の懸念とともに半導体関連としての再評価を求める声もあると報じている。
ヤマトHD:ファラロンが会長の退任を提案
MINKABU PRESSによると、ファラロン・キャピタル・マネジメントは2日付で関東財務局に大量保有報告書を提出した。保有割合は5.02%、報告義務発生日は10月28日。保有目的は「中長期的な企業価値の向上を図ること」とした。そのうえで、ヤマトHDに対し書簡と面談を通じて、長尾裕代表取締役会長の解職と取締役退任を提案しているとした。
5.02%を前場の時価総額7,913億円にあてはめると、約397億円になる(本誌計算)。ヤマトHDの発行済株式数は3億6,050万株。前場の売買代金86億円は、時価総額の1.1%にあたる。
同社は4日の引け後に4〜9月期の決算を発表する予定だ。株探によると、今期の会社予想は経常利益で前期比60.0%の増益。PERは前場の株価で43.4倍。前日比で227.5円上げた株価に対し、決算の数字がどう評価されるかが次の焦点になる。
関係者の発言・報道
- ロイター(MINKABU PRESS経由):「官民ファンドの産業革新投資機構(JIC)が、2年前に買収した半導体材料大手JSR(東京都港区)を三井化学に売却することが分かった」
- フィスコ:「会社側からのコメントは現在ではなされていないもよう」
- ファラロン(大量保有報告書の保有目的、MINKABU PRESS経由):「中長期的な企業価値の向上を図ること」
見ておく数字
三井化学は、10時35分の安値1,780.5円を後場に下回るかが一つの基準になる。前場の売買高加重平均価格(VWAP)は1,877.9円で、前場の水準はこれを3.4%下回った。信用倍率は10月30日時点で11.61倍、買い残は60万8,300株と売り残5万2,400株を大きく上回っていた。下落局面では、この買い残の整理売りが出やすい。
ヤマトHDは、前場の高値2,254.0円と始値2,157.5円の間で推移した。VWAPは2,208.3円。決算発表は引け後のため、数字への反応は5日の寄り付きから出る。会社予想の進捗、ファラロンの提案への会社側の言及の有無が材料になる。
化学株では、11月2日に住友化学が上方修正にもかかわらず9%下げた例がある(祝日明けの注目株)。同日朝の東京市場の値動きは寄り付き1時間のまとめにある。
今後の日程
- 11月4日 15時30分:東京市場の大引け
- 11月4日 引け後:ヤマトHDの4〜9月期決算
- 11月中(報道):JSR売却の決定
- 11月11日:三井化学の4〜9月期決算
主な参照
- 三井化学の株価・指標・信用残(11月4日11時28分)/株探
- ヤマトHDの株価・指標・決算予定(11月4日11時30分)/株探
- JSR売却報道(ロイター報道の引用)/MINKABU PRESS(株探、4日10時19分)
- 月内にも決定の見通し、会社コメントなし/フィスコ(株探、4日10時23分)
- 三井化学のJSR買収報道/日本経済新聞(4日)、下落率15年ぶり/ブルームバーグ(4日)
- 三井化学のIRニュース/三井化学、ニュースリリース一覧/産業革新投資機構
- JSRの沿革と2026年3月期の財務数値/ウィキペディア(JSRの公表値を集約)、JSR 財務・業績ハイライト
- ファラロンの大量保有報告書/MINKABU PRESS(株探、4日9時57分)、EDINET
- 日経平均の前引け、決算発表予定/株探
データ基準日:2026年11月4日の東京市場の前場(株価は11時28〜30分時点、15分遅れの表示)。株価は取引時間中の数値であり、終値ではない。JSRの売却額と時期は報道にもとづくもので、三井化学とJICは本稿執筆時点で発表していない。JSRの財務数値は同社の公表値を集約した二次情報で、一次資料での再確認ができていない。売却額に対する倍率は報道の下限1兆3,000億円で本誌が計算した。ファラロンの保有割合と提案内容は大量保有報告書を引用した報道にもとづく。本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買を推奨するものではない。投資判断はご自身の責任において行っていただきたい。
















