ニュージーランド(NZ)統計局が22日に公表した7〜9月期の消費者物価指数(CPI)は、前年比3.7%の上昇だった。市場予想の3.8%を下回り、NZドルは対米ドルで売られた。それでも28日の利上げ観測は揺らいでいない。問題は、ほぼ織り込み済みの利上げの後に、NZドルがどちらへ動くかである。
- 結果:CPIは前期比0.7%、前年比3.7%。予想(0.8%、3.8%)と中銀の見通し3.9%を下回った。
- 中身:下振れの主因はガソリン安である。燃料と食品を除く物価は2.9%に伸びを高めた。
- 織り込み:28日の利上げ(2.75%→3.00%)の確率は98%。発表後も下がっていない。
- 相場:NZドル米ドルは0.5680ドル前後。上値は0.5766ドル、下値は0.5589ドルが目安になる。
- 見通し:利上げ後1カ月は0.5590〜0.5770ドルのレンジを基本とする。上抜けには追加利上げの示唆が要る。
要点1:CPIは予想も中銀見通しも下回った
結論:見出しの数字は弱かった。前期比は4〜6月期の1.5%から0.7%に鈍り、前年比は4.1%から3.7%に下がった。ロイターがまとめた市場予想は前期比0.8%、前年比3.8%だった。
根拠:押し下げたのはガソリンである。統計局によると、ガソリンは前期比6.5%下がった。全体の上昇0.7%に対する寄与はマイナス40.4%に達する。逆に国際航空運賃は14.3%、地方税にあたる自治体の課金は6.2%上がった。
次:NZ準備銀行(RBNZ)は9月の見通しで前年比3.9%を想定していた。実績はこれを0.2ポイント下回った。ただし、前年比で見ればガソリンはなお19.1%高い水準にある。
要点2:基調の物価はむしろ強まった
結論:燃料を除くと、物価の勢いは増している。食品・家庭用エネルギー・自動車燃料を除く指数は前期比1.1%、前年比2.9%だった。ANZ銀行によると、前年比の伸びは前期から0.4ポイント拡大した。
根拠:国内の需給を映す非貿易財は前期比1.0%、前年比3.3%である。品目の広がりも目立つ。3%を超えて上がった品目は物価指数全体の54.9%に達し、4〜6月期の38.5%から大きく増えた。
次:RBNZの物価目標は1〜3%である。ASB銀行は10〜12月期の前年比予想を4.7%に引き上げた。ガソリン安が一時的なら、年末に向けて物価は再び上がる公算が大きい。
要点3:28日の利上げはほぼ確実と見られている
結論:市場は下振れを利上げ見送りの理由と受け止めなかった。ロイターによると、28日の会合での利上げの確率は98%である。2月末までに計0.5%の利上げも100%織り込まれている。
根拠:発表前の確率は約80%だった(FXストリート)。現在の政策金利は2.75%で、0.25%上げれば3.00%になる。ANZ、BNZ、ウエストパックの3行は利上げを予想する。キウイバンクだけが、利上げは不要との立場をとる。
次:結果は28日14時(NZ時間)、日本時間では同日10時に出る。同じ日の米国では連邦公開市場委員会(FOMC)が開かれ、結果は日本時間29日午前3時に出る。米ドル側の材料も同時に動く点に注意したい。
要点4:0.57ドル台を保てず、移動平均の間で揉み合う
結論:NZドル米ドルは日本時間22日19時47分時点で0.5680ドル前後と、取引時間中の水準である。同日の高値は0.5710ドルだった。ロイターによると、CPI発表直後に0.5692ドルまで下げた。
NZドル米ドルの節目(ドル)
読み方:相場は20日平均と50日平均の間にある。50日平均を終値で超えるまでは戻りの途中、10月8日の安値を割れば下方向への転換とみる。出所:Yahoo!ファイナンス(現在値・高値)、ECB参照レート(Frankfurter経由)から本誌計算。
根拠:欧州中央銀行(ECB)の参照レートで計算すると、10月8日の0.5589ドルは2025年10月以降で最も低い。21日には0.5692ドルまで戻し、上げ幅は1.8%だった。20日平均は0.5634ドル、50日平均は0.5766ドルである。
次:相場は20日平均の上、50日平均の下にある。200日平均の0.5838ドルはさらに上だ。50日平均を終値で超えるまでは、戻りの途中と見るのが妥当である。
要点5:見通しは「利上げ後の言葉」で決まる
結論:利上げそのものは材料として出尽くしに近い。相場を動かすのは、RBNZが次の利上げをどう語るかである。本誌は今後1カ月の中心レンジを0.5590〜0.5770ドルとみる。
| シナリオ | 本誌の確率 | NZドル米ドルの目安 | 確認するもの |
|---|---|---|---|
| A:利上げし、追加利上げも示唆 | 45% | 0.5766ドル(50日平均)を試す。終値で上抜けなら0.5838ドル | 声明と金利見通しの引き上げ |
| B:利上げし、様子見を示唆 | 50% | 0.5634ドル(20日平均)から0.5590ドルへ押し戻される | 「当面は据え置き」に近い文言 |
| C:据え置き | 5% | 0.5589ドルを割り込み、下値を探る | 市場の98%を裏切る決定 |
根拠:AとBをほぼ五分とした。基調物価の強さはAを支える。一方、見出しのCPIが中銀見通しを下回ったことはBの根拠になる。Cの確率は市場の織り込みから逆算した。
次:見通しの撤退線は0.5589ドルである。終値でここを割れば、レンジ想定を捨てて下方向に切り替える。原油高も見ておきたい。NZは燃料の輸入国で、原油高は物価を押し上げる一方、交易条件を悪くする。
30秒まとめ:CPIは予想を下回ったが、ガソリン安を除けば物価の勢いは強い。28日の利上げは98%織り込まれ、焦点は次の利上げの示唆に移った。NZドル米ドルは0.5590〜0.5770ドルを基本レンジとし、0.5589ドルの終値割れを撤退線とする。
CPI発表前の論点は19日の記事で整理した。隣の豪ドルの利上げ観測はこちらにまとめている。FX口座の選び方はFX解説ページを参照してほしい。
主な参照
- 7〜9月期CPI(前期比・前年比、品目別の寄与、除く食品・エネルギー指数)/NZ統計局
- 市場予想、中銀見通し3.9%、利上げ確率98%、発表直後のNZドル水準/ロイター(ヤフー・ファイナンス掲載)
- 各行の利上げ予想、ASBの10〜12月期予想、サービス物価/interest.co.nz
- 発表前の利上げ確率(約80%)/FXストリート
- NZドル米ドルの取引時間中の水準・高値(22日19時47分)/Yahoo!ファイナンス
- 参照レートの日次系列(移動平均・安値の計算元)/Frankfurter(ECB参照レート)
データ基準日:2026年10月22日(日本時間19時47分)。NZドル米ドルの現在値と当日高値は取引時間中の気配値で、終値ではない。移動平均と10月8日の安値は、ECBの参照レート(中欧時間14時15分)から本誌が計算した。取引時間中の高値・安値とは一致しない。2025年10月以降という比較は、本誌が取得した参照レートの範囲に基づく。利上げ確率はロイターが伝えた市場の織り込みである。シナリオの確率は本誌の判断で、将来の相場を保証しない。本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の売買を推奨するものではない。投資判断はご自身の責任において行っていただきたい。















