ニュージーランドドル(NZドル)が、2020年のコロナ危機時の安値に近い水準で踏みとどまっている。NZドル/米ドルは米東部時間19日15時18分時点で0.5663ドルと、10月14日に付けた52週安値0.5567ドルから小反発した。今週22日(木)にはニュージーランドの7〜9月期の消費者物価指数(CPI)が出る。28日の中銀会合で利上げがあるかどうかを決める数字である。
今週の材料を5つに絞る。
- CPI:22日発表。民間予想は前年同期比3.7〜4.0%、中銀の想定は3.9%。
- 中銀:政策金利2.75%。28日の会合で3会合連続の利上げがあるかが焦点。
- 水準:0.5663ドル。2020年3月の安値(約0.547ドル)まで約3.5%。
- 選挙:11月7日に総選挙。期日前投票は26日から始まる。
- 外部要因:中国の成長率は4.5%と予想超え。それでもNZドルは豪ドルに対して弱い。
1. CPI:4%を超えるかどうか
数字:4〜6月期のCPIは前年同期比4.1%上昇した。1〜3月期の3.1%から大きく加速した。前期比は1.5%上昇で、ガソリンが前期比20.1%上がり、上昇分の49.5%を占めた(ニュージーランド統計局)。
予想:7〜9月期について、ウエストパックは3.7%、ANZとASBは3.8%前後、BNZは3.9%、キウイバンクは4.0%を見込む。中銀は9月の金融政策声明で3.9%と予想した。5月の声明では4.3%としており、中銀自身は物価の鈍化を見込んでいる。ウエストパックは前期比の伸びを0.7%と予想する。4〜6月期の1.5%から半分以下になる計算だ。
次:結論は単純だ。中銀の想定3.9%を上回れば利上げ論が強まり、下回れば一服する。公表は日本時間22日の早朝になる見込みである。
2. 中銀:10月28日に3会合連続の利上げか
数字:ニュージーランド準備銀行(RBNZ)は7月8日に0.25%の利上げで2.50%とし、2023年5月以来の利上げに踏み切った。9月2日にも0.25%上げて政策金利は2.75%になった。総裁は2025年12月に就任したアンナ・ブレマン氏である。
根拠:次の会合は10月28日で、結果は日本時間同日10時に出る。ニュージーランド・ヘラルド紙は、市場が10月の利上げを約7割の確率で織り込んでいると報じた。一方、ウエストパックは10月は据え置き、12月に利上げと予想する。中銀のコンウェイ・チーフエコノミストは10月について「まったく決まっていない」と述べている。金利スワップは今後12カ月で1%を超える利上げを織り込んでおり、中銀自身が示す道筋の約0.4%を大きく上回るとの報道もある。市場は中銀より強気だ。
次:CPIが4%台なら、織り込みは8割を超えるとみる。3.7%以下なら5割を割り込みうる。
3. 水準:コロナ危機の安値まで3.5%
NZドル/米ドル:見るべき水準(米ドル)
読み方:現在値は20日線の上、50日線の下にある。CPIの結果次第で、上の0.5773ドルか下の0.5567ドルのどちらかを試す展開を想定する。出所:ヤフー・ファイナンス、ブルームバーグ、本誌計算。
数字:NZドル/米ドルは0.5663ドル。52週高値は1月29日の0.6093ドル、52週安値は10月14日の0.5567ドルだ。2020年3月の安値は約0.547ドル(ブルームバーグ)である。ブルームバーグによると、NZドルは5四半期続けて下落している。
根拠:本誌がニューヨーク市場の終値で計算した20日移動平均は0.5635ドル、50日移動平均は0.5773ドル、200日移動平均は約0.5839ドルである。現在値は20日線の上にあるが、50日線と200日線の下にある。下落基調の中の反発という位置づけだ。
次:上は50日線の0.5773ドル、下は52週安値の0.5567ドルが分かれ目になる。円で見ると、NZドル/円は89.75円。ドル円が158円台で高止まりしているため、NZドル/米ドルの下落ほどには円建ての価値は落ちていない。円で外貨預金やFXを持つ人は、2つの通貨ペアを分けて見る必要がある。
4. 選挙:11月7日、接戦
数字:ニュージーランド選挙管理委員会によると、総選挙の投票日は11月7日(土)。国内の期日前投票は10月26日に始まり、有権者登録は25日に締め切られる。議会は10月1日に解散した。
根拠:ブルームバーグは選挙戦を「予断を許さない」と伝えている。政権の行方が見えないことは、海外の投資家がNZドルを積極的に買いにくい理由の一つになる。
次:中銀会合は投票日の10日前にあたる。選挙前の利上げは政治的に目立つため、中銀の判断の重みは増す。
5. 外部要因:中国は追い風、豪ドルには負け
数字:中国の7〜9月期の国内総生産(GDP)は前年同期比4.5%増と、予想の4.4%前後を上回った(新華社)。最大の輸出先の景気は、NZドルの支えになる。乳製品の国際入札(GDT)は10月6日の回で価格指数が1.2%上昇し、直近6回のうち5回で上がった。
根拠:それでも豪ドル/NZドルは1.2329と、NZドル安の方向にある。同じ中国の追い風を受けても、市場は豪ドルを選んでいる。豪ドルの見通しはこちらの記事で扱った。
次:20日(火)夜には次の乳製品入札がある。価格の上昇が続くかを見る。
今後2週間の見通し
| シナリオ | 確率(本誌) | NZドル/米ドル | 条件 |
|---|---|---|---|
| 反発継続 | 35% | 0.5773ドル(50日線)を試す | CPIが3.9%以上、10月利上げ |
| もみ合い | 40% | 0.5567〜0.5773ドル | CPIが3.8%前後、利上げは12月へ |
| 安値更新 | 25% | 0.5567ドルを割り、0.547ドルを意識 | CPIが3.7%以下、据え置き |
30秒まとめ:NZドルはコロナ危機の安値まで3.5%の位置にある。22日のCPIが中銀想定の3.9%を上回れば、28日の利上げと反発の道が開く。下回れば、52週安値0.5567ドルの割り込みを警戒する。
NZドルが0.60ドルを試した過去の局面はこちらの記事にまとめている。海外FX口座でNZドルを取引する場合の基礎はFX解説ページを参照してほしい。
主な参照
- 4〜6月期CPI(ニュージーランド統計局の発表文)/National Tribune
- 7〜9月期CPIの民間予想と中銀の想定/interest.co.nz
- 政策金利と金融政策声明/ニュージーランド準備銀行
- 総選挙の日程/ニュージーランド選挙管理委員会
- NZドルの5四半期連続安と2020年の安値(10月18日)/ブルームバーグ
- 中国の7〜9月期GDP/新華社
- NZドル/米ドル、豪ドル/NZドル、NZドル/円の価格/ヤフー・ファイナンス
データ基準日:2026年10月19日(米東部時間15時18分=日本時間20日4時18分)。為替レートは取引時間中の気配値で、終値ではない。移動平均はニューヨーク市場の終値(米東部時間17時)から本誌が計算した。2020年の安値はブルームバーグの報道による値で、データ提供元により0.547〜0.548ドルの差がある。10月利上げの確率はニュージーランド・ヘラルド紙が報じたもので、本誌は算出方法を確認していない。CPIの公表時刻は統計局の通常の公表時刻に基づく見込み。確率は本誌の判断であり、将来の相場を保証しない。本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の売買を推奨するものではない。投資判断はご自身の責任において行っていただきたい。
















