安川電機(6506)は10月9日、2026年6〜8月期(第2四半期)の受注が1,854億円だったと発表した。前年同期比38%増で、同社が過去最高とする四半期の受注額である。一方、2027年2月期の営業利益予想は600億円から575億円へ25億円引き下げ、売上収益予想は5,800億円から6,000億円へ200億円引き上げた。
上期(3〜8月)の売上収益は2,855億9,800万円で前年同期比9.8%増、営業利益は220億5,800万円で5.5%減だった。増収分254億円のうち206億円は為替の影響と会社は開示している。純利益予想は470億円から475億円へ1.1%の上方修正で、見出しによって「上方修正」と「下方修正」が分かれた。
主要数値:上期実績と通期予想の修正
| 項目 | 2026年度上期 | 前年同期比 | 通期・前回予想(4月10日) | 通期・今回予想 | 修正幅 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上収益 | 2,856億円 | +9.8% | 5,800億円 | 6,000億円 | +200億円(+3.4%) |
| 営業利益 | 221億円 | −5.5% | 600億円 | 575億円 | −25億円(−4.2%) |
| 税引前利益 | 260億円 | +3.0% | 650億円 | 655億円 | +5億円(+0.8%) |
| 親会社の所有者に帰属する利益 | 190億円 | +4.1% | 470億円 | 475億円 | +5億円(+1.1%) |
| 下期の想定為替レート(ドル) | 上期平均159.82円 | 前年同期146.23円 | 145円 | 155円 | 10円の円安方向 |
| 年間配当 | 中間36円 | 前期中間34円 | 72円 | 72円 | 変更なし |
営業利益予想の引き下げはセグメント別に偏っている。ロボットは210億円から178億円へ32億円、モーションコントロールは420億円から394億円へ26億円の下方修正。システムエンジニアリングは32億円から56億円へ24億円引き上げた。全社費用などの消去額はマイナス75億円からマイナス67億円に縮小した。
| セグメント | 上期売上収益 | 前年同期比 | うち為替影響 | 為替を除く増減率(本誌試算) | 上期営業利益 | 前年同期比 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| モーションコントロール | 1,373億円 | +21.7% | +101億円 | 約+12.8% | 160億円 | +32.8% |
| ロボット | 1,184億円 | −0.7% | +101億円 | 約−9.1% | 60億円 | −43.3% |
| システムエンジニアリング | 208億円 | +11.2% | +2億円 | 約+10.2% | 35億円 | +79.5% |
| 全社 | 2,856億円 | +9.8% | +206億円 | 約+1.8% | 221億円 | −5.5% |
上期の営業利益の増減要因は、為替がプラス46億円、売上増がプラス36億円、付加価値がマイナス6億円、総間接費がマイナス63億円、その他がマイナス27億円だった。ロボットの営業利益率は前年同期の8.8%から5.0%に低下した。
受注は7四半期連続で前四半期を上回った
安川電機の四半期受注額(億円)
読み方:受注は2024年度4Qから7四半期連続で前四半期を上回り、2026年度2Qの1,854億円は会社が過去最高とする水準。円換算は各期の期中平均レート(2026年度2Qは1ドル160.8円、前年同期は146.3円)で、為替の影響を含む。出所:安川電機の決算補足説明資料(2026年10月9日)。
6〜8月期の受注1,854億円は、3〜5月期の1,638億円から13%増えた。セグメント別ではモーションコントロールが911億円で前年同期比56%増、ロボットが776億円で33%増、システムエンジニアリングが118億円で6%減だった。ACサーボの受注は前年同期比76%増で、地域別では米州が170%増、中国を除くアジアが195%増だった。
同じ四半期の売上収益は1,466億円で、受注を売上で割った比率は約1.26倍となる。3〜5月期は約1.18倍だった。受注の円換算に使ったドルの期中平均レートは160.8円で、前年同期の146.3円より約10%円安である。受注の伸び38%には、この為替の効果も含まれる。会社は受注の為替影響額を開示していない。
背景:基幹システムの移行と下期の前提
減益の主因として会社が挙げたのは、経営基盤の強化を目的とした基幹システムの移行だ。移行に伴い上期の生産と出荷に影響が出た。ロボットでは日本の販売が減り、上期の国内売上収益は707億円で前年同期比3.2%減。海外は2,149億円で14.8%増だった。会社は資料で、基幹システムの移行は完了し、運用の定着に取り組んでいるとしている。
通期予想が成り立つには下期の大幅な増益が要る。通期の営業利益575億円から上期の220億5,800万円を引くと、下期は354億円になる。前年度下期の239億7,300万円に対して約48%増、今期上期の約1.6倍である。6〜8月期の営業利益は135億7,200万円で、下期の1四半期あたり平均177億円はこれを約30%上回る。前年同期の6〜8月期は128億3,100万円で、6〜8月期単独では前年同期比5.8%の増益だった。
会社の説明
- 経営環境について:「AI関連投資にけん引されたデータセンタおよび半導体関連を中心とした設備投資需要は好調に推移しました」(決算短信)
- 減益の理由について:「基幹システムの移行に伴う生産・出荷への影響に加え、間接費の増加や欧州における事業構造改革費用の一時的な計上などにより、前年同期比で減少しました」(決算短信)
- 予想修正について:「為替相場が円安水準で推移しており、売上収益の増加が見込まれる一方、基幹システム移行による当中間期の生産・出荷への影響等を織り込み」修正した(決算短信)
- 下期の取り組みとして、ACサーボの「製品供給の正常化と増産体制の構築」、半導体製造装置用ロボットの増産体制の構築を挙げた(決算補足説明資料)
市場の反応
決算は東京証券取引所の取引終了後の16時に開示された。9日の終値は4,783円で、前日比6円(0.13%)安だった。開示後のジャパンネクスト証券のPTS(私設取引システム)では、日本時間19時24分時点で4,881円と、終値を98円(2.0%)上回った。PTSは取引量が少なく、翌営業日の東証の始値を示すものではない。
- 時価総額:約1兆2,756億円(9日終値ベース)
- 予想PER:26.1倍(今回予想の1株利益183円11銭と終値で計算)
- 信用買い残:609万6,500株、信用倍率26.79倍(10月2日申し込み分)
- 同日の日経平均株価は11円19銭安の6万9,030円92銭で、3日続落
8日の東京市場は米国の半導体株安を受けて大きく下げ、日経平均は993円安だった。経緯は8日の市況記事に、同じ週に出た半導体関連の受注・出荷データはディスコの出荷額の記事とTSMCの売上高の記事にまとめた。
今後の日程
- 10月12日(月):スポーツの日で東京市場は休場。決算への東証での反応は13日が最初になる
- 10月13日(火):証券アナリスト・機関投資家向け決算説明会、半期報告書の提出予定日
- 11月10日(火):中間配当(1株36円)の支払い開始予定日
- 2027年1月ごろ:第3四半期(9〜11月)決算。下期の利益の進み具合が最初に分かる
主な参照
- 2027年2月期第2四半期(中間期)決算短信(2026年10月9日16時開示)/東証適時開示(TDnet)
- 2026年度第2四半期 決算補足説明資料(受注・為替影響・セグメント別予想)/安川電機
- 2027年2月期第1四半期決算短信(3〜5月期の売上収益・営業利益)/安川電機
- 株価・PTS・信用残(10月9日)/株探
- 日経平均の終値(10月9日)/日本経済新聞
データ基準日:2026年10月9日。株価の4,783円は東証の終値、4,881円はジャパンネクスト証券PTSの日本時間19時24分時点の取引時間中の値であり、両者は性質が異なる。決算の数値は会社開示資料による。下期の営業利益、四半期あたりの平均、受注を売上で割った比率、為替を除く増減率は、開示数値から本誌が計算したもので、会社の公表値ではない。受注額は会社が期中平均レートで円換算した値で、為替の影響を含む。市場予想との比較は、確認できる一次資料がないため記載していない。本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の売買を推奨するものではない。投資判断はご自身の責任において行っていただきたい。アイキャッチ画像:WARDJet/Flickr(CC BY-SA 2.0、トリミング)。
















