ダウ平均、史上最高値を奪還
金曜日のニューヨーク株式市場で、ダウ・ジョーンズ工業株30種平均が場中に50,830.24ドルの史上最高値をつけ、2月10日に記録した従来の高値50,512.79ドルを上回りました。終値も約300ドル高(+0.6%)の50,579.70ドルと過去最高を更新し、米国とイランの戦争が始まって以来、初めての記録更新となりました。今週には節目の50,000ドルも突破しており、勢いに乗った形です。
S&P500種やナスダック総合指数とともに、主要3指数はそろって週間ベースでもプラスで取引を終えました。3月には戦争による世界経済への悪影響懸念から大規模な売りに見舞われ、ダウは最高値から10%下落して調整局面入りを確認していましたが、その後の回復を経て本格的な強気相場への復帰を印象づけました。
上昇を牽引した二つの追い風
今回の最高値更新の背景には、二つの大きな材料があります。一つは中東情勢の改善期待で、戦争終結に向けた交渉が進展するとの観測が市場心理を改善させました。B・ライリー・ウェルスのチーフ・マーケット・ストラテジスト、アート・ホーガン氏は「戦争の出口に近づくほど、市場の信頼感は高まる。素晴らしい決算シーズンが終わり、通年ガイダンスも上方修正されている流れに乗っている」と指摘しています。
もう一つはAI関連銘柄の堅調さです。S&P500とナスダックは既に4月中旬に最高値を更新していましたが、ハイテク株中心の相場展開のなかで工業株比率の高いダウは出遅れていました。1896年に算出が始まったダウは30銘柄で構成される株価加重平均であり、時価総額加重の他指数と比べてハイテク主導の上昇局面では恩恵を受けにくい構造を持っています。
銘柄別の明暗
ダウ採用銘柄のうち、四半期ベースで好調だったのは以下の銘柄です。
- シスコシステムズ:ネットワーク機器需要の回復
- アマゾン:クラウド・小売事業の成長
- エヌビディア:今週発表の売上見通しが市場予想を上回る
一方、出遅れ銘柄は以下の通りです。
- シェブロン:エネルギー価格動向の影響
- マクドナルド:消費動向への懸念
- ナイキ:需要鈍化と在庫調整
このように、AI・テクノロジー関連が引き続き市場の主役である一方、伝統的なディフェンシブ銘柄や消費関連の一部は苦戦が続いています。
日本の投資家への影響
米国市場の最高値更新は、日本株や為替市場にも波及効果をもたらす可能性が高いといえます。特にハイテク株主導の上昇トレンドは、半導体製造装置や電子部品メーカーなど日本のテクノロジー関連株への買い材料となり得ます。エヌビディアの好調な売上見通しは、東京エレクトロンやアドバンテストといった日本の半導体関連株にも追い風です。
また、LSEGデータストリームによれば、アナリストによる米国企業の今後12か月間の利益予想は年初から10%以上引き上げられており、地政学リスクを上回るペースで企業業績への期待が高まっています。リスクオン局面が続けば、円安・株高の流れが日本市場でも継続する公算が大きいでしょう。投資家としては、米国のAI関連の成長テーマと、停戦交渉の進展という二つの軸を引き続き注視する必要があります。
ボトムライン
米イラン戦争の出口期待とAI主導の好業績が重なり、米国株は新たな上昇局面に入った可能性が高く、日本の投資家もハイテク関連を中心にエクスポージャー維持・拡大を検討する好機といえます。















