11月6日金曜、米国株は半導体株を中心に反発した。ナスダック総合指数は1.09%高。だがビットコインは動かなかった。CoinGeckoによると、日本時間7日7時53分時点で7万5,893ドル、24時間で0.34%高にとどまる。
問われているのは、株が戻ってもビットコインが戻らない理由である。答えは資金の流れと金利にある。要点を5つにまとめる。
- 株と離れた:ナスダック1.09%高に対し、ビットコインは0.34%高。週間では1.8%安。
- ETFから流出:米現物ETFは11月の最初の4営業日で約8億7,000万ドルの純流出。
- 利上げの確率:12月の米利上げ確率は76.8%に上がった。
- 心理は「恐怖」:恐怖・強欲指数は1日で50から28へ下がった。
- 次の目安:下は200日移動平均の約7万3,200ドル、上は50日線の約8万2,000ドル。
要点1:株の反発に乗れなかった
結論:金曜のビットコインは株と別の動きをした。
根拠:ナスダックは5日に5.52%下げ、6日に1.09%戻した。ビットコインは5日に約5.5%下げ、6日はほぼ横ばいだった。CoinGeckoの日次値で、10月30日の終値にあたる7万7,275ドルからの週間騰落率は1.8%安である。
1週間の騰落率(10月30日→11月6日)
読み方:ビットコインの週間の下げは株より小さいが、金曜の株の戻りには付いていかなかった。出所:CoinGecko(協定世界時10月31日0時の日次値→日本時間11月7日7時53分の取引中の値、本誌計算)、CNBC(株価指数の週間騰落率)。
円建てで見ても動きは鈍い。CoinGeckoの円建て価格は1BTC=約1,203万円で、24時間の上昇率は0.84%にとどまる。ドル円が158円台半ばで円安に振れた分だけ、ドル建てより少し高く見えるにすぎない。主要な暗号資産では、ソラナとXRPが週間で6%を超えて下げた。値動きの大きい銘柄ほど売られた週である。
次:下げの日は株と一緒に売られ、戻りの日には置いていかれる。この非対称が続くかを週明けに確かめたい。5日の急落の経過は前回の記事で扱った。
要点2:ETFの資金が出ていく
結論:株の戻りを支えた買いが、ビットコインには来ていない。
根拠:集計元はファーサイドで、crypto.newsが伝えた。米国の現物ビットコインETFは5日に4億3,020万ドルの純流出だった。フィデリティのFBTCが1億9,990万ドル、ブラックロックのIBITが1億500万ドルの流出である。11月の最初の4営業日の合計は約8億6,980万ドルの流出になる。
流れの変化は急だった。10月30日から11月3日までの3営業日は流出が続き、4日は7,460万ドルの流入に転じた。それが5日に再び大きな流出へ戻った。crypto.newsによると、IBITからの流出は10月30日以降で10億ドルを超える。イーサリアムの現物ETFも5日に約1億ドルの流出だった。ETFは個人だけでなく機関投資家の窓口でもある。株の持ち高を減らす動きが、暗号資産のETFにも及んだとみられる。
次:6日分の集計は本稿執筆時点で公表されていない。週明けに流出が止まるかが、反発の条件の1つになる。
要点3:利上げの確率が上がった
結論:金利の上昇は、利息を生まない資産に重い。
根拠:6日の米10月雇用統計は雇用者数が16万5,000人増と、市場予想の5万9,000人を大きく上回った。CNBCによると、12月8〜9日の会合での利上げ確率は76.8%だった。CMEのフェドウオッチの値で、米東部時間6日11時6分時点である。米財務省のデータで10年債利回りは4.86%に上がった。
利上げは、ドルで預けておけば得られる利息を増やす。利息を生まないビットコインを持つ「機会費用」が上がる、ということだ。米連邦準備制度理事会(FRB)は10月28日に政策金利を3.75〜4.00%に据え置いたが、2人の委員が利上げを主張して反対した。平均時給も前年同月比3.1%増と予想を上回っており、物価の面から利上げを後押しする材料がそろった。
次:11月10日(日本時間22時30分)の米10月消費者物価指数(CPI)が、利上げ確率を動かす最初の材料になる。
要点4:心理は「恐怖」に戻った
結論:投資家の心理は1日で中立から恐怖に振れた。
根拠:オルタナティブ・ミーの恐怖・強欲指数は11月6日分が28で「恐怖」。5日分の50(中立)から22ポイント下がった。一方、デリビットの永久先物の資金調達率は8時間あたり0.0027%と、ほぼ中立にある。先物で売りが積み上がっているわけではない。
オプション市場も落ち着いている。デリビットの建玉は合計約34万4,000BTCで、プット(売る権利)とコール(買う権利)の比率は0.69。下落への備えが極端に積み上がった形ではない。ただし11月27日満期に限ると比率は0.85で、月末にかけての下値への警戒はやや強い。
次:心理が冷えたまま価格が下がらないなら、売りは一巡に近い。価格も下がれば、恐怖はまだ深くなる。
要点5:次に見る価格の目安
結論:下は7万3,200ドル、上は8万ドルが目安になる。
| 水準 | 価格 | 意味 |
|---|---|---|
| 50日移動平均 | 約82,000ドル | 戻りの上限の目安 |
| 11月27日満期オプションの最大損失点 | 80,000ドル | 建玉7万1,246BTC、プット・コール比率0.85 |
| 現在値(7日7時53分) | 75,893ドル | 取引中の値 |
| 200日移動平均 | 約73,200ドル | 現在値の約4%下。割れると下げの局面に入る目安 |
| 2026年の安値(7月1日の日次値) | 58,566ドル | 年初来の最安値 |
根拠:最大損失点は、オプションの買い手の損失が最も大きくなる満期価格である。満期が近づくと価格が引き寄せられるという見方があるが、必ずそうなるわけではない。
次:本誌は今後2週間の本線を7万2,000〜8万2,000ドルの往来とみる。確率は55%。8万2,000ドルを超えて50日線を回復する確率は20%、7万2,000ドルを割り込む確率は25%とする。200日線の約7万3,200ドルを終値で割れば、この見立ては下方向に切り替える。
30秒まとめ:ビットコインは金曜の株の反発に乗れず、7万5,000ドル台で週を終えた。ETFからの流出と利上げ確率の上昇が重しである。下は200日線の約7万3,200ドル、上は8万ドル前後を目安に、10日のCPIを待つ。
同じ日のXRPの下げはこちらの記事にまとめている。
主な参照
- ビットコインなどの価格と日次値(日本時間11月7日7時53分)/CoinGecko
- 米現物ビットコインETFの資金フロー(ファーサイドの集計)/crypto.news
- 雇用統計とフェドウオッチの利上げ確率(11月6日)/CNBC
- 米国債利回り(11月6日)/米財務省
- 米国株の終値(11月6日)/JournalArta
- 恐怖・強欲指数/Alternative.me
- オプションの建玉と資金調達率/デリビット
- 米10月CPIの公表日/米労働統計局
データ基準日:2026年11月7日(日本時間7時53分)。ビットコインの価格は取引中の値で、暗号資産には取引所の終値がない。週間騰落率は協定世界時10月31日0時の日次値との比較で、本誌計算。米国株と利回りは11月6日の終値。ETFの資金フローは11月5日分までで、6日分は未公表。移動平均と最大損失点は本誌の計算である。シナリオの確率は本誌の判断であり、将来の価格を保証しない。本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の売買を推奨するものではない。投資判断はご自身の責任において行っていただきたい。














