10月23日、東京市場の番付を発表する。東の横綱はファーストリテイリング、1銘柄で日経平均を95円47銭押し上げた。西の序二段に落ちたのはTDK、78円88銭の押し下げで負け越し筆頭である。だがこの日の本当の主役は番付表の外にいる。前引け時点で指数を合計683円押し下げていたアドバンテスト、ソフトバンクグループ、東京エレクトロンの3銘柄が、後場に土俵際から押し戻した。
日経平均の終値は6万2,693円16銭、前日比214円68銭安(0.34%安)の続落だった。寄り付き直後には6万1,462円61銭まで売られ、下げ幅は一時1,445円に達している。終値はそこから1,230円戻した。安値までの下げの85%を取り返した計算になる。ただしTOPIXは0.79%安の3,965.81ポイントで、日経平均より下げがきつい。東証プライムの値上がり551銘柄に対し、値下がりは948銘柄だった。
10月23日の日経平均、1日の流れ
読み方:朝の10分で下げ幅は1,400円を超えたが、後場に値がさ半導体株が買い戻され、引けにかけて戻りを広げた。出所:株探(フィスコ集計を含む)、日中安値はYahoo Financeの5分足。前日終値は6万2,907円84銭。
番付表——大引けの寄与度で見た勝敗
| 番付 | 銘柄 | 日経平均への寄与(大引け) | 前引け時点の寄与 | 判定 |
|---|---|---|---|---|
| 東の横綱 | ファーストリテイリング(9983) | +95.47円 | +199.84円 | ◎ |
| 西の横綱 | 中外製薬(4519) | +18.30円 | +26.60円 | ○ |
| 東の大関 | キオクシアHD(285A) | +11.33円 | マイナス(下落上位) | ◎ |
| 西の大関 | レーザーテック(6920) | +10.65円 | — | ○ |
| 東の関脇 | ソニーグループ(6758) | +9.44円 | +7.25円 | ○ |
| — | (以下、負け側) | |||
| 西の序二段 | TDK(6762) | −78.88円 | −102.65円 | × |
| 東の三段目 | 日東電工(6988) | −23.77円 | — | × |
| 西の三段目 | ソフトバンクグループ(9984) | −23.46円 | −212.78円 | △ |
| 東の幕下 | コナミグループ(9766) | −22.75円 | — | × |
| 西の幕下 | KDDI(9433) | −16.59円 | +4.65円 | × |
表を読む勘所は右の2列の差にある。ファーストリテイリングは前引けで指数を約200円押し上げていたが、大引けでは95円まで縮んだ。逆にソフトバンクグループは前引けの213円の押し下げが23円まで縮んでいる。朝の勝ち組が後場に失速し、朝の負け組が戻した。午前と午後で、土俵の傾きが逆になった一日である。
日経平均への寄与度(大引け、上位5・下位5銘柄)
読み方:押し上げ首位のファーストリテイリングと押し下げ首位のTDKがほぼ相殺し合った。前引けで683円押し下げていた半導体3銘柄は、ソフトバンクグループを除いて上位から消えている。出所:株探(2026年10月23日大引け)。
殊勲賞・半導体3銘柄——◎(番付外からの巻き返し)
前引けの値下がり寄与上位は、アドバンテストが293円42銭、ソフトバンクグループが212円78銭、東京エレクトロンが176円98銭だった。3銘柄で683円である。指数の前引け時点の下げ幅1,082円58銭のうち、6割強をこの3銘柄が作っていた。
大引けの番付では、アドバンテストと東京エレクトロンは寄与度の上位5銘柄から外れ、ソフトバンクグループは23円の押し下げにとどまった。上位5銘柄の最小値は押し下げ側で16円59銭だから、アドバンテストは前引けから少なくとも277円分、東京エレクトロンは160円分、ソフトバンクグループは189円分を取り戻したことになる。3銘柄の巻き返しは最低でも626円で、前引けから大引けまでの指数の戻り868円の7割強にあたる。
前日の米国ではフィラデルフィア半導体株指数(SOX)が6.72%安、ナスダック総合指数が2.59%安だった。その流れで朝に売り込まれた値がさ半導体株が、午後に買い戻された格好だ。キオクシアHDが前引けの下落上位から大引けで11円33銭の押し上げに転じ、レーザーテックも10円65銭の押し上げで終えたのも同じ流れである。日経平均ボラティリティー・インデックス(日経VI)は14時10分時点で38.32と前日より高かったが、日中高値の42.46からは下がっていた。株探掲載のフィスコは、日経225先物が売り一巡後に下値を固めたことを理由に挙げている。
判定は◎とするが、但し書きを付ける。これは下げの取り消しであって、上げではない。半導体の値がさ株は前日の10月22日にも日経平均を1,713円押し下げた主役で、本誌は前日の大引けでその内訳を伝えた。けさの寄り付き1時間の記事で見えていた安値からの反発が、後場に本格化したと読むのが自然だ。
西の序二段・TDK——×
78円88銭の押し下げで、大引けの負け越し筆頭だった。前引けでも102円65銭の押し下げで4位にいた。13時の集計でも14時の集計でも、15時の集計でも押し下げ首位はTDKである。半導体株が午後に戻すなかで、TDKだけは最後まで戻らなかった。
同社からこの日に目立った発表はない。日東電工(23円77銭の押し下げ)、村田製作所、京セラ、太陽誘電など電子部品株が朝から売られた流れの中心にいた、というのが確認できる事実である。株探によると、TDKの決算発表予定日は10月30日だ。発表を1週間後に控え、電子部品株にはAI向けの需要がどこまで続くかを見極めたい売りが続いた可能性があるが、売りの理由を特定できる一次情報はない。判定は×。
敢闘賞・不動産株——◎(金利低下を味方に)
東証33業種のうち値上がりは8業種で、首位は不動産業の2.05%高だった。2位が小売業の1.20%高、3位が水産・農林業の0.89%高である。株探によれば、住友林業は4.8%高の1,280円、三井不動産は2.2%高の1,582円で引けた。
追い風は金利である。22日の米国では10年債利回りが5%を下回る水準まで急低下した。国内でも長期金利が一時2.800%を下回り、株探は2カ月半ぶりの低さと伝えている。大引け時点の気配は2.789%だった。金利が下がると借入の多い不動産会社の負担が軽くなり、住宅需要にも追い風になる。住友林業については、米国の住宅事業への懸念が和らいだとの見方が出ている。
最下位・銀行業——×(金利低下が裏目)
同じ金利低下が、銀行株には逆風になった。銀行業は2.28%安で33業種の最下位、海運業の2.10%安、非鉄金属の1.76%安が続く。貸出の利ざやが広がるという期待で買われてきた銀行株にとって、長期金利の低下と日銀の10月利上げ見送り観測は二重の重しだ。TOPIXが日経平均より大きく下げたのは、時価総額の大きい銀行株の比重がTOPIXのほうが高いためである。地方銀行株の売られ方は、けさの地銀株の番付で詳しく扱った。
技能賞・メルカリ——○
株探によると、メルカリは7.3%高の3,704円で5日ぶりに反発し、プライム市場の上昇率3位に入った。米メタ・プラットフォームズが23日、AIエージェント「Muse(ミューズ)」の提供を日本で始めると発表し、連携先としてメルカリの名前を挙げたことが材料になった。15時の集計では日経平均を8円19銭押し上げ、寄与度でも上位に顔を出した。
判定を○にとどめたのは、連携による収益がまだ見えないためである。メタ自身もMuseの収益化は道半ばで、手数料や有料プランの試行を始めた段階にある。材料の大きさより、「AIに売られる側」から「AIを使う側」へ資金が移る流れの象徴として記録しておく。
場外——円は1カ月ぶりの高値圏
為替では、ドル円が1ドル=156円台とおよそ1カ月ぶりの円高水準を付けた。米長期金利の低下が直接の理由である。加えて時事通信は、日米関税合意に基づく対米投融資の案件に関し、3メガバンクが半導体工場への協調融資への参加を見送る方向だと報じている。邦銀による巨額のドル調達が不要になるとの思惑も、円の買い材料になったとされる。ニトリホールディングスなど円高で輸入コストが下がる銘柄が買われたのはこのためだ。ドル円の今後の見方はドル円見通しにまとめている。
総評——勝ち越しはまだ早い
番付編成会議としての結論を書く。この日の東京市場は「負け越しだが内容は良い」一番だった。安値から85%戻した粘りは評価できる。ただし値下がり銘柄数は値上がりの1.7倍、TOPIXの下げは日経平均の2倍以上で、戻したのは一部の値がさ株にすぎない。全体は負け越している。
本誌の見方では、次の分かれ目は6万2,000円の節目である。この日は朝に割り込み、前引けも6万1,825円とその下だったが、後場に回復した。週明けに終値で6万2,000円を割り込めば、この日の巻き返しは一日限りの買い戻しだったと判定し直す。逆に、前日の10月22日に失った1,713円分のうち半分を取り戻す6万3,760円近辺を終値で回復できれば、半導体株の売り一巡が確認できたとみる。
来場所の注目取組
| 日時(日本時間) | 取組 | 見どころ |
|---|---|---|
| 10月23日 22時45分・23時 | 米国の10月PMI速報値、ミシガン大学消費者マインド指数 | 米長期金利の低下が続くか |
| 10月29日 3時 | 米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果発表(27〜28日開催) | 利上げ観測の後退が確認されるか |
| 10月29日 21時30分 | 米国の7〜9月期GDP速報値、9月の個人消費支出(PCE) | インフレの再加速があるか |
| 10月30日 | 日銀の金融政策決定会合の結果と展望レポート(29〜30日開催)、TDKの決算 | 銀行株と電子部品株の行方 |
主な参照
- 10月23日の日経平均・TOPIXの終値と騰落銘柄数、大引けの寄与度/株探、株探(フィスコ)
- 前引けの寄与度と前場の値動き/株探(フィスコ)
- 15時時点の寄与度/株探
- 東証33業種の騰落率/株探(フィスコ)
- 日経VI/株探(フィスコ)
- 住友林業・三井不動産・メルカリ・ニトリHDの値動きと材料、メガバンクの協調融資見送り報道/株探
- 日経平均の日中安値と時間帯別の推移/Yahoo Finance
- 国債利回りの大引け気配/株探(フィスコ)
- FOMCの日程/米連邦準備制度理事会、GDP・PCEの公表日程/米商務省経済分析局、金融政策決定会合の日程/日本銀行
データ基準日:2026年10月23日の東京市場の終値(15時30分)。前引けの数値は11時30分時点、時間帯別の値は各時点の集計で、取引時間中の数値である。日中安値6万1,462円61銭はYahoo Financeの5分足による。寄与度の集計は情報ベンダーにより差がある。アドバンテストと東京エレクトロンの大引けの寄与度は上位5銘柄に入らなかったことからの下限推計で、正確な値ではない。国債利回りは大引け時点の気配であり、日本相互証券の公表値とは差が出ることがある。メガバンクの協調融資見送りは時事通信の報道にもとづくもので、各行の発表ではない。TDKの下落理由について、執筆時点で特定できる一次情報は確認できていない。番付と判定、6万2,000円と6万3,760円の水準は本誌の整理であり、将来の株価を保証しない。本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買を推奨するものではない。投資判断はご自身の責任において行っていただきたい。
















