2026年7月23日の引け後、インテル(INTC)は4〜6月期の決算を発表した。売上高は前年同期比25%増の161億ドル。リップブー・タンCEOは「15年あまりで最も強い売上の伸び」と胸を張った。それでも翌24日、株価は7.89%安の92.32ドルで引けた。発表前の1カ月で、株価はすでに2割あまり下げていたにもかかわらずである。
3カ月後のきょう、似た景色が画面に映っている。インテル株は日本時間22日22時52分時点で87.87ドル、前日比5.48%安(取引時間中)。6月22日の終値140.94ドルからは38%安い。次の決算は10月29日(米国時間)の引け後だ。大きく下げてから迎える決算は、株価の下支えになるのか。過去16回の決算を鏡にして、来週の値動きの幅と向きを見積もる。
来週の決算で問われる数字
まず物差しを確認する。インテルが7月の決算資料で示した7〜9月期の見通しは、売上高158億〜168億ドル、調整後1株利益0.38ドル、調整後の粗利益率42.0%である。マーケットビートによると、市場予想は売上高165億ドル、1株利益0.40ドルで、会社見通しの中央値(163億ドル、0.38ドル)をやや上回る。前年同期の実績は売上高136億5,000万ドル、1株利益0.23ドルだった。
市場予想が会社見通しより高いということは、見通しどおりの着地では「物足りない」と受け取られうることを意味する。7月の決算では1株利益0.42ドルが予想の0.21ドルを大きく上回ったが、株価は下げた。予想を上回るかどうかより、10〜12月期の見通しがどこに置かれるかが値動きを決める公算が大きい。
過去16回、決算翌日の値動き
インテル:決算翌日の株価変化率(%、過去16回)
読み方:16回中13回が5%超の変動。上げ7回、下げ9回。発表日の終値から翌営業日の終値までの変化率。出所:Yahoo!ファイナンスの日足から本誌計算。
2022年10月から2026年7月までの16回の決算で、翌営業日の終値は発表日の終値から平均9.9%動いた(上げ下げの絶対値)。5%を超えて動いたのは16回中13回、10%を超えたのは5回である。上げたのは7回、下げたのは9回だった。インテルの決算は「動くかどうか」ではなく「どちらに動くか」の勝負であり続けた。
最大の下げは2024年8月2日の26.06%安である。当時インテルは、15%を超える人員削減と、10〜12月期からの配当の停止を同時に発表した。最大の上げは、奇しくもその1年8カ月後、2026年4月24日の23.60%高だった。同じ銘柄が、決算翌日に両方向へ2割以上動いたことになる。
鏡に映す:大きく下げてから迎えた決算
インテル株の週次終値(2024年1月〜2026年10月22日)
読み方:2024年8月の急落で底を探り、2026年4月の決算を機に急伸した。6月の高値から10月22日までに38%下げている。出所:Yahoo!ファイナンスの日足(5営業日ごとに抽出、最新値は22日の取引時間中の値)。
ここが本稿の核心である。決算前の20営業日で株価が15%以上下げてから発表を迎えた例は、16回のうち2回しかない。2024年4月(19.8%安)と2026年7月(23.9%安)だ。その2回とも、決算翌日はさらに下げた。9.20%安と7.89%安である。今回は9月24日から10月22日までの20営業日で30.7%安と、16回のどの局面よりも深い。
| 比べる点 | 2026年7月の決算 | 2026年10月(来週) | 同じか違うか |
|---|---|---|---|
| 発表前20営業日の値動き | 23.9%安 | 30.7%安(22日時点) | 同じ向き、今回のほうが深い |
| 高値からの距離 | 6月22日の140.94ドルから約29%安 | 同じ高値から約38%安 | 今回のほうが深い |
| 市場予想と会社見通し | 1株利益の予想0.21ドル。実績0.42ドル | 予想0.40ドルが会社見通し0.38ドルを上回る | 違う。今回はハードルが高い |
| 半導体株全体の地合い | — | 22日はフィラデルフィア半導体株指数が4%超安 | 今回は業界全体の逆風が重なる |
「今回は違う」論を検証する
今回は違う、と言える材料もある。1つ目は下げの理由だ。22日の下げは、半導体製造装置のラムリサーチが供給制約を理由に慎重な見通しを示したことに引きずられた面が大きい。インテル自身の悪材料ではない。ラムの決算はこちらの記事で尋問した。業界全体の売りなら、個社の決算で巻き戻る余地はある。
2つ目は事業の中身だ。7月の決算で、ジンスナーCFOは装置、クリーンルーム、基板への投資を「大きく増やしている」と述べた。人工知能(AI)向けの計算需要が強いという判断である。前年同期は赤字だった調整後の営業利益率は、4〜6月期に17.2%まで戻った。2024年8月の局面とは、会社の体力がまるで違う。
ただし、韻は踏んでいる。7月も事業の中身は強く、それでも株は下げた。下げの深さそのものは、過去2回の例では下支えにならなかった。2回という標本は小さく、法則と呼べるものではない。それでも「下げたから反発する」という期待に、歴史は味方していない。
歴史が示す3つの教訓と、本誌の見積もり
- 教訓1:幅は大きい。16回中13回が5%超。決算をまたいで持つなら、1割の値動きは想定の範囲内と考える。
- 教訓2:決算の数字より見通し。7月は予想の2倍の利益でも下げた。10〜12月期の売上見通しの中央値が、市場の期待を上回るかが分かれ目になる。
- 教訓3:深い下げは保険にならない。15%超の下げから迎えた2回は、いずれも翌日さらに下げた。
決算翌日のシナリオ確率(本誌見積もり)
読み方:過去16回では5%超の変動が81%、下落が56%。今回の下げの深さと市場予想の高さを加味した。確率は本誌の判断。
| 決算翌日のシナリオ | 確率 | 想定される条件 |
|---|---|---|
| 5%超の上昇 | 35% | 10〜12月期の売上見通しの中央値が市場予想を上回り、粗利益率の改善が続く |
| ±5%以内 | 20% | 見通しが市場予想並み。業界全体の地合いに埋もれる |
| 5%超の下落 | 45% | 見通しが市場予想に届かない、または投資の増額で利益率の見通しが下がる |
今回固有の監視点
決算までの1週間で見るべきものは3つある。1つ目は同業の決算だ。来週は日本の半導体装置株も相次いで決算を出し、日程は半導体株決算プレビューにまとめた。2つ目は22日の日中安値87.27ドルである。決算前にこれを終値で割り込めば、下げの勢いが続いたまま発表を迎えることになる。3つ目は、マイクロソフトやアルファベットなど大手の決算で示されるデータセンター投資の計画だ。インテルの見通しを読む前提になる。大手テックの決算の見どころは米テック5社決算番付で扱った。
主な参照
- 決算発表日の告知(10月29日引け後)/インテル
- 2026年4〜6月期の決算資料と7〜9月期の見通し/米証券取引委員会
- 2024年4〜6月期の決算資料(人員削減と配当停止)/米証券取引委員会
- 過去の決算発表日(決算に関する8-Kの提出日)/米証券取引委員会
- 市場予想と前年同期の実績/マーケットビート
- 株価の日足と気配値/Yahoo!ファイナンス
データ基準日:2026年10月22日(日本時間22時52分=米東部時間9時52分)。22日の株価は取引時間中の値であり、終値ではない。決算翌日の値動きは、発表日の終値から翌営業日の終値までの変化率を、Yahoo!ファイナンスの日足(株式分割調整済み)から本誌が計算した。2024年8月の人員削減と配当停止は同社の当時の発表による。市場予想は集計元によって異なり、ベンジンガは1株利益0.39ドル、売上高164億5,000万ドルとしている。シナリオの確率は本誌の判断である。本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の売買を推奨するものではない。投資判断はご自身の責任において行っていただきたい。













