10月12日、東京市場はスポーツの日で休場だった。その間に、メモリー株が韓国と米国で売られた。中国の長鑫存儲技術(CXMT)が週末に次世代DRAMの設計を明らかにしたことが、材料の一つとして伝えられている。13日に東京が開く前に、押さえておくべき5つの要点をまとめる。
- 韓国が先に下げた:KOSPIは3.65%安の6,384.24。サムスン電子は4.39%安、SKハイニックスは4.52%安で引けた。
- 材料はCXMTの「4F²」:10日の講演で新しいセル構造を示し、サーバー向けDDR5を年末に出す計画を述べた。
- 米国ではマイクロンが一時3.6%安:米東部時間9時48分に991.57ドル。6月の終値の最高値から18.3%下にいる。
- キオクシアは先週すでに9.3%安:10月2日の1万9,300円から9日の1万7,505円まで下げて連休に入った。
- 火種は1つではない:台湾のマイクロン工場の労組問題と、AI投資への疑念も重なっている。
要点1:韓国が先に下げた
結論:韓国のメモリー2強が4%を超えて下げた。KOSPIは241.69ポイント安の6,384.24で、4営業日続落である。10月2日の終値7,003.74からは8.85%下げた。
根拠:韓国は9日がハングルの日で休場だった。このため12日の騰落率は8日の終値と比べたものである。米国の2営業日分と、週末のCXMTの報道をまとめて織り込んだ数字だ。
韓国市場の終値(2026年10月12日、10月8日終値比)
読み方:韓国は9日が休場だったため、8日の終値と比べた。KOSPIは6,384.24、サムスン電子は25万500ウォン、SKハイニックスは160万5,000ウォンで引けた。出所:コリア・タイムズ、Yahoo!ファイナンスの日足終値。騰落率は本誌計算。
次:下げの理由は報道によって違う。コリア・タイムズはCXMTに触れず、AIバブルへの警戒を挙げた。一方でインベスティング・ドットコムなどはCXMTの発表を材料に挙げている。複数の材料が重なった下げとして読むのが妥当だ。
要点2:材料はCXMTの「4F²」
結論:CXMTの曹堪宇総裁は10日、上海の半導体の会議で講演した。DRAMの記憶素子を、いまの主流の「6F²」から「4F²」に変える設計を示した。同じ面積により多くの記憶素子を並べられる構造である。
根拠:第一財経によると、トランジスタは自社開発の縦型の構造を使う。4F²に関連する特許は300件超を公開済みだという。新世代のサーバー向けDDR5メモリーは年末に出す予定とした。仕様や具体的な日付は示していない。
4F²とは。DRAMの記憶素子1個が占める面積の単位である。Fは回路の最小の線幅を指す。6F²から4F²にすると、計算上は素子の面積が3分の2になる。記憶容量あたりのチップを小さくできる半面、製造の難度は上がる。
次:今回の発表は設計と計画であり、量産の開始ではない。韓国の京郷新聞は、中国勢は大手3社の最新世代から2世代以上遅れているとする調査会社の見方を伝えた。密度が3〜5割上がるとの報道もあるが、CXMTの数字としては確認できなかった。
要点3:米国ではマイクロンが一時3.6%安
結論:マイクロン・テクノロジーは米東部時間9時48分(日本時間22時48分)に991.57ドルをつけた。9日の終値1,029ドルより3.64%安い。これは取引時間中の値で、終値ではない。
根拠:終値の最高値は6月25日の1,213.56ドルだった。9日の終値の時点で15.2%下、この時刻の値では18.3%下にある。9月3日までの四半期の売上高は542.3億ドルで、次の四半期は615億ドル前後を見込む。業績の見通しは強いままだが、株価は高値から2割近く下げている。
| 銘柄・指数 | 10月9日の終値 | 10月12日 9時48分(米東部) | 騰落率 |
|---|---|---|---|
| マイクロン(MU) | 1,029.00ドル | 991.57ドル | −3.64% |
| サンディスク(SNDK) | 1,581.82ドル | 1,486.18ドル | −6.05% |
| フィラデルフィア半導体株指数(SOX) | 12,572.42 | 12,323.41 | −1.98% |
次:マイクロンの決算と見通しはマイクロン決算の記事で詳しく扱った。売上の伸び率が鈍っている点が、今回の下げでも意識されやすい。
要点4:キオクシアは先週すでに9.3%安
結論:キオクシアホールディングス(285A)は9日に1万7,505円で引けた。前日比2.21%安で、10月2日の1万9,300円からは9.3%下げている。東京の休場中に海外で出た材料は、13日の寄り付きで一度に反映される。
根拠:同じ9日、アドバンテストは1.66%高の4万1,610円、東京エレクトロンは2.09%高の1万2,445円だった。メモリーを作る会社と、装置や検査機器を売る会社では、値動きが分かれていた。CXMTが増産するなら装置の需要は増えるという見方もできる。
次:日経平均先物は、大阪取引所の祝日取引の日中で6万9,150円だった(情報サイトの集計)。シカゴの円建て先物は米東部9時38分に6万8,720円で、9日の日経平均終値6万9,030円92銭を0.45%下回った。シカゴの値は取引時間中のものである。7月にCXMTの上場でキオクシアが2日で3割下げた経緯はこちらの記事にまとめている。
要点5:火種は1つではない
結論:台湾のマイクロンの工場では、労組問題がくすぶっている。桃園の労組は10月6日夜に開票し、1,994人がストライキ権の確立に賛成した。投票数の99%にあたるとロイターは伝えた。
根拠:ストの日程はまだ決まっていない。労組は19日に台北での集会を呼びかけているが、ストではないとしている。組合員が約1万1,000人の台中の労組は採決しておらず、22日に次の調停がある。台湾のマイクロンの従業員は約1万5,000人だ。
次:もう一つの火種はAI投資への疑念である。OpenAIの売上高の数え方をめぐる報道はこちらの記事で解説した。サムスン電子が8日に過去最高の営業益を示した後でも、株価は売られた。好決算だけでは下げを止められない地合いだ。
30秒まとめ。東京の休場中に、韓国のメモリー株が4%超下げた。CXMTの新しい設計は量産前の計画だが、中国の追い上げを思い出させた。13日はキオクシアの寄り付きと、装置株との値動きの差を見たい。
参照
- CXMTの4F²構造、DDR5の投入時期、特許件数/第一財経(2026年10月10日)、TechNode(10月12日)
- 中国勢は2世代以上遅れとする見方/京郷新聞(10月12日)
- KOSPIとサムスン電子、SKハイニックスの終値/コリア・タイムズ(10月12日)、Yahoo!ファイナンス
- CXMTを材料とした韓国株の下げ/インベスティング・ドットコム(10月12日)
- マイクロンの6〜8月期決算と見通し/米証券取引委員会への提出書類
- マイクロン桃園の労組のスト権投票/ロイター(10月7日)、AFP(10月7日)
- 大阪取引所の祝日取引の実施日/日本取引所グループ、祝日取引の日中の値/tbladvisory(10月12日17時30分更新)
- 米国株と日本株の株価/Yahoo!ファイナンス、株探
データ基準日:韓国株は2026年10月12日の終値で、10月8日の終値と比べた。日本株は10月9日の終値である。米国株とシカゴの日経平均先物は10月12日の取引時間中の値で、時刻を付記した。終値ではない。大阪取引所の祝日取引の値は情報サイトの集計で、取引所の公表値ではない。CXMTの発表内容は中国メディアの報道によるもので、同社の公式資料は確認できていない。密度が3〜5割上がるとの見方は報じられているが、本稿では確認できていない。マイクロンの労組の投票結果は報道によるもので、同社の公式発表はない。本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買を推奨するものではない。投資判断はご自身の責任において行っていただきたい。
















