10月第3週の番付を発表する。東の横綱はWTI原油、11月物は週間で10.4%上げた。西の横綱はダウ工業株30種平均で、主要3指数のうち唯一、週間で勝ち越した。そして西の序二段に落ちたのはフィラデルフィア半導体株指数(SOX)だ。16日(金)は3.83%安の1万1,137.29で引け、週間では11.41%安。8営業日続けて下げた。
この番付は、そのまま週明けの東京の土俵になる。大阪取引所の日経平均先物12月物は、17日朝6時に終わった夜間取引を6万3,630円で終えた。日中取引の終値から1,890円安く、16日の日経平均の終値6万5,324円29銭を1,694円下回る。東京は週末で休場だが、月曜19日の寄り付きはこの水準が目安になる。
今週の番付表:勝ち越し3、負け越し3
| 番付 | 力士(資産) | 16日の終値 | 16日の騰落 | 週間騰落(9日比) | 判定 |
|---|---|---|---|---|---|
| 東の横綱 | WTI原油(11月物) | 101.41ドル | +3.5% | +10.4% | ◎ |
| 西の横綱 | ダウ工業株30種平均 | 52,002.41 | −0.34% | +0.67% | ○ |
| 東の大関 | 恐怖指数(VIX) | 19.99 | +21.4% | +34.7% | ○ |
| — | (以下、負け側) | ||||
| 東の幕下 | S&P500種株価指数 | 7,659.44 | −1.09% | −1.95% | △ |
| 西の三段目 | ナスダック総合指数 | 26,140.03 | −2.15% | −4.48% | × |
| 西の序二段 | フィラデルフィア半導体株指数 | 11,137.29 | −3.83% | −11.41% | × |
週間騰落率(10月9日→16日の終値)
読み方:勝ち越しは原油とダウだけ。AIと半導体に近いほど負けが大きい。日経平均は東京の16日の終値まで。出所:ヤフー・ファイナンスと株探の終値から本誌計算。
この表から読むべき点は一つだ。週を通じて売られたのは「AI」と「半導体」で、買われたのは「原油」だった。景気そのものを心配する売りなら、ダウも崩れていたはずである。ダウが勝ち越したのは、エネルギーや銀行など、AIと距離のある銘柄が支えたからだ。番付の偏りが、そのまま売りの性格を示している。
西の序二段・半導体株指数——×
8営業日続落、週間で11.41%安。6月22日に付けた終値の最高値1万4,634.72からは23.9%下にいる。それでも2025年末の7,083.13と比べれば年初来で57.2%高で、S&P500の11.9%高をなお大きく上回る。上げ過ぎた力士が、一気に番付を落とした場所と言える。何十年ぶりの連敗かについては、報道によって「2006年以来」「金融危機以来」と分かれており、本稿では断定しない。
16日の取組を個別に見ると、下げの中心は記憶媒体と半導体製造装置だった。シーゲイト・テクノロジーが7.50%安、ウエスタンデジタルが6.86%安、サンディスクが6.85%安、マイクロン・テクノロジーが5.63%安。設計ではアームが6.94%安、AMDが5.95%安、インテルが5.79%安。装置ではKLAが5.00%安、ラムリサーチが4.87%安、アプライド・マテリアルズが4.82%安だった。
記憶媒体株を押し下げた材料の一つは中国だ。ヤフー・ファイナンスによると、中国のメモリー大手CXMT(長鑫存儲技術)の社長が、サーバー向けDDR5メモリーを2026年末までに投入する計画を示した。ローゼンブラットやファンドストラット、ゴールドマン・サックスは、中国勢への懸念は行き過ぎだとの見方を出している。ラムリサーチは16日で10日続落となり、上場来最長の連敗を記録した。同社は21日に決算を発表する。
敢闘賞(逆の意味で)・コアウィーブ——×
16日の売りの物語を作ったのは、AI向けクラウドのコアウィーブだった。終値は61.39ドル、11.91%安。日本経済新聞と株探はいずれも、AIへの過剰投資と借金への不安が再燃したことを下げの背景に挙げた。ロイターによると同社の負債は約500億ドル。2031年償還の社債の利回りは15日に一時16%を超え、デフォルトに備える保険料(CDS)は1,000ベーシスポイントを上回って過去最高になった。
コアウィーブは、エヌビディアの画像処理半導体(GPU)を借金で買い、AI企業に貸す事業モデルだ。この「AIの借金」の値段が上がると、GPUの買い手が細るのではないかという連想が、半導体株全体に広がる。社債の動きはコアウィーブ社債の解説記事で詳しく扱った。なお、エヌビディア自身は1.43%安にとどまっている。
西の横綱・ダウ平均——○
16日は175.28ドル安の5万2,002.41ドル。それでも週間では0.67%高で、主要指数で唯一勝ち越した。支えたのは原油高の恩恵を受けるエネルギー株と銀行株だ。16日はシェブロンが2.59%高、エクソンモービルが2.46%高、JPモルガン・チェースが1.25%高、ウェルズ・ファーゴが1.35%高。金鉱株のニューモントも2.43%上げた。判定は○。勝ち越しは勝ち越しだが、自力で番付を上げたというより、周りが負けた場所である。
東の横綱・原油——◎
WTIの11月物は16日に3.44ドル高の101.41ドルで清算し、週間で10.4%上げた。北海ブレントの12月物も109.86ドルで、5月以来の110ドルに一時触れた。イランがホルムズ海峡周辺での攻撃を強めると表明し、ロシアの製油所への攻撃も伝わった。原油高はインフレ懸念を通じて金利を押し上げ、株式には逆風になる。上げの中身はブレント110ドルの解説記事にまとめた。判定は文句なしの◎。
技能賞・米長期金利——○
意外だったのは金利の動きである。米10年債利回りは16日の米東部時間14時59分時点で5.098%と、前日とほぼ同じ水準だった。9日の5.244%からは約15ベーシスポイント下げている。株が売られ、原油が上がる週に、金利は下がった。16日に発表された米9月の輸入物価は前月比1.1%上昇、前年同月比8.1%上昇と熱く、鉱工業生産も前月比0.7%増と強かった。それでも金利が上がらなかったのは、株安で安全資産の債券が買われたためとみられる。技能賞を贈る。
東京の土俵:月曜の寄り付きは6万3,000円台か
16日の東京は日経平均が898円34銭高の6万5,324円29銭で、7営業日ぶりに反発していた。それでも週間では3,706円安で、5週ぶりの下落だ。この反発の貯金を、夜間の米国が吐き出させた形になる。大阪の夜間取引では、0時に6万5,050円、2時に6万4,490円と、米国の取引が進むにつれて下げ幅を広げた。シカゴの日経平均先物(円建て)も6万3,925円で引けている。
日経平均の16日終値(65,324円)との差(円)
読み方:東京の取引が終わった後、米国の半導体株安を受けて先物は1,700円近く下げた。月曜19日の寄り付きの目安になる。出所:株探(大阪は17日6時3分、シカゴは同7時44分の記事)、本誌計算。いずれも12月物。
週明けの焦点は、今週すでに大きく下げた東京の半導体株だ。ヤフー・ファイナンスの終値で計算すると、9日から16日までにアドバンテストは17.0%安の3万4,530円、東京エレクトロンは14.5%安の1万630円まで下げた。16日は両銘柄とも小幅に反発したが、夜間の米半導体株安で月曜はもう一度試される。両銘柄は値がさ株で、日経平均への寄与度が大きい。値がさ株の仕組みは寄与度の解説を参照してほしい。
月曜の読み方:先物の6万3,630円は「寄り付きの目安」であって、終値の予想ではない。週末に中東やAI関連で新しいニュースが出れば、目安は簡単に動く。日曜夜から始まるシカゴの先物と、月曜朝のドル円(16日のニューヨーク終値は157円99銭)を確かめてから判断したい。
来場所の注目取組(10月19日〜23日)
| 日付(日本時間) | 取組 | 見どころ |
|---|---|---|
| 19日(月) | 東京市場の再開 | 先物6万3,630円からの寄り付き、半導体株の下げ幅 |
| 21日(水)早朝 | ネットフリックス決算(米20日引け後) | 大型株決算の初戦 |
| 22日(木)早朝 | メタ、テスラ、ラムリサーチ、テキサス・インスツルメンツ、IBM、SAPの決算(米21日引け後) | AI投資は続くか。ラムは装置株の連敗を止められるか |
| 23日(金)8時30分 | 全国消費者物価指数(9月) | 10月29〜30日の日銀会合を前にした物価の確認 |
| 23日(金)夜 | 米国の購買担当者景気指数(速報)、ミシガン大学の消費者信頼感(確報) | 景気と予想インフレ率 |
番付を総括する。今場所は「原油の一人勝ち、半導体の大負け」だった。来場所の結びの一番は22日早朝のメタとラムリサーチになる。AI投資を続ける側の大型株と、それを支える装置株の決算が同じ夜に出るからだ。各社の決算の見どころは来週の注目決算の記事にまとめてある。土俵際の半導体株が残るのか、もう一段番付を下げるのか。答えはその夜に出る。
主な参照
- 米国株の終値と個別銘柄の騰落(2026年10月16日)/株探、ヤフー・ファイナンス
- 大阪の夜間取引の終値と推移(2026年10月17日6時3分)/株探
- シカゴの日経平均先物(2026年10月17日7時44分)/株探
- 日経平均の16日の終値と週間の下げ幅/株探
- コアウィーブの負債・社債利回り・CDS(ロイター)/ザ・ネクスト・ウェブ
- CXMTのDDR5計画とメモリー株の下落/ヤフー・ファイナンス
- 半導体株指数の最高値と年初来騰落率/ラリーズ
- 米9月の輸入物価(2026年10月16日発表)/米労働統計局、鉱工業生産/米連邦準備制度理事会
- FOMCの日程/米連邦準備制度理事会、日銀の会合日程/日本銀行
- 来週の決算日程/ストックタイタン
データ基準日:2026年10月16日(米東部時間)の米国市場の終値、および17日6時(日本時間)に終わった大阪の夜間取引の終値。米10年債利回りは16日の米東部時間14時59分時点の値で、終値ではない。WTIは11月物の清算値で、週間騰落率は情報ベンダーの10月9日の終値との比較であり、清算値同士の比較とは差が出ることがある。東京の個別株の週間騰落率はヤフー・ファイナンスの終値から本誌が計算した。半導体株指数の連続下落が何年ぶりかは報道により異なるため示していない。CXMTの計画は報道にもとづく。FRB当局者の発言自粛期間はFRBの規則から本誌が計算した。番付と判定は本誌の整理であり、将来の株価を保証しない。本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買を推奨するものではない。投資判断はご自身の責任において行っていただきたい。
















