10月22日の東京市場で、日経平均株価は1,713円40銭安の6万2,907円84銭で取引を終えた。終値はこの日の安値で、終値として7月30日以来の低い水準である。寄り付き直後は一時プラスに浮上したが、午後に下げが加速した。ただしTOPIXの下落率は1.14%で、日経平均の2.65%の半分以下にとどまる。下げの大半は少数の値がさ半導体株から出ており、本稿はその中身を5つの要点で整理する。
- 指数:日経平均は2.65%安の安値引け。TOPIXは1.14%安で、4,000ポイントを割った。
- 主役:アドバンテスト、東京エレクトロン、ソフトバンクグループの3銘柄で約1,110円(本誌試算)。下げ幅の約65%にあたる。
- 引き金:米ラムリサーチの時間外下落と、アジア株安。韓国総合株価指数は3.41%安だった。
- 中身:業種別では非鉄金属が5.35%安で最下位。鉱業や保険業は上昇し、売りは一部に偏った。
- 次:9月14日の場中安値6万2,726円が最初の節目。23日朝8時30分の全国消費者物価指数(CPI)を待つ。
1. 指数:安値引けで7月30日以来の水準
結論:日経平均は前日の545円高をすべて消し、さらに下げた。終値6万2,907円84銭はこの日の安値と同じで、引けまで売りが続いた。
根拠:この日の高値は6万4,866円44銭で、高値と安値の差は1,958円に広がった。終値で6万2,907円を下回ったのは7月30日(6万1,867円43銭)が最後である。10月6日の終値7万683円98銭からは11.0%下げた。
動きは時間とともに悪化した。10時は237円安、前引けは703円安の6万3,917円だった。14時には1,258円安となり、引けにかけて下げ幅は1,700円台に達した。朝の一時的な上昇は、その後の流れを示すものではなかった。前日の値動きは21日の大引けの記事で、寄り付き1時間の動きはけさの記事で整理した。
次:TOPIXは46.23ポイント安の3,997.50で、4,000を割り込んだ。日経平均をTOPIXで割ったNT倍率は15.98倍から15.74倍に下がった。値がさ株が売られた日の典型的な形である。
2. 主役:3銘柄で下げ幅の約65%
結論:下げの中心は、日経平均への影響が大きい値がさ株の3銘柄だった。本誌の試算では、3銘柄だけで約1,110円押し下げた。
日経平均への寄与度(10月22日、本誌試算・円)
読み方:赤い棒が長いほど日経平均を押し下げた。上位3銘柄だけで約1,110円、下げ幅1,713円の約65%になる。緑は押し上げた銘柄で、最大でも約33円にとどまった。出所:日経の公表ウエート(9月30日基準)とYahoo Financeの終値(10月21日・22日)から本誌が計算した概算。
根拠:アドバンテストは6.01%安の3万2,370円で、押し下げは約500円。東京エレクトロンは6.99%安の9,450円で約357円。ソフトバンクグループは6.86%安の4,305円で約255円だった。3銘柄はいずれも安値引けである。
4位以下も半導体と電子部品が並ぶ。イビデンは9.49%安で約121円、キオクシアホールディングスは6.77%安で約64円の押し下げだった。上位5銘柄の合計は約1,297円で、下げ幅の約76%にあたる。売られすぎの度合いはキオクシアとアドバンテストの記事で扱った。
次:東京エレクトロンの株価は9月29日の1対5の株式分割後の水準である。分割前の株価と比べないよう注意したい。
3. 引き金:ラムの時間外安とアジア株安
結論:朝の売りのきっかけは、米半導体製造装置大手ラムリサーチの株価だった。好決算にもかかわらず、米国の時間外取引で下げた。
根拠:ラムが21日に発表した7〜9月期の売上高は82億2,000万ドルだった。7月時点の会社予想の中央値81億ドルを上回った。10〜12月期の売上高見通しは86億ドル(上下4億ドル)である。それでも株価は時間外で下げたと、日本経済新聞などが報じている。
午後はアジア全体の売りが重なった。韓国総合株価指数は3.41%安、台湾加権指数は1.81%安で取引を終えた。ロイターは、ハイテク株への不安と湾岸地域の緊張でアジア株が約3カ月ぶりの安値に沈んだと報じた。米国がサウジアラビアから一部の外交官を退避させると伝わったことも、湾岸の緊張として意識された。
次:香港ハンセン指数も日本時間15時34分時点で3.12%安だった。ただし、どの材料が何円分の下げを生んだかを切り分ける一次情報はない。要因の組み合わせとして読むべきである。
4. 中身:売りは半導体と非鉄に偏った
結論:指数ほど市場全体は崩れていない。東証33業種のうち13業種は上昇して終えた。
| 区分 | 業種 | 前日比 |
|---|---|---|
| 下落1位 | 非鉄金属 | −5.35% |
| 下落2位 | ガラス・土石製品 | −2.99% |
| 下落3位 | 電気機器 | −2.54% |
| 上昇1位 | 鉱業 | +2.56% |
| 上昇2位 | 保険業 | +1.30% |
| 上昇3位 | サービス業 | +1.23% |
根拠:非鉄金属では電線大手が売られた。フジクラは6.19%安、古河電気工業は7.92%安、住友電気工業は5.30%安だった。一方、鉱業ではINPEXが3.08%高となった。日経平均の225銘柄に限っても、上昇は82銘柄、下落は140銘柄である(本誌集計)。
次:保険業や陸運業のような内需株に資金が移る動きが2日以上続くかを見たい。続けば、半導体からの資金シフトと読める。1日で終われば、一時的な避難にとどまる。
5. 次:62,726円と全国CPI
結論:本誌は、短期的にはもう一段の下値試しを想定する。最初の節目は9月14日の場中安値6万2,726円18銭である。
根拠:安値引けは、翌日に売りが持ち越されやすい形である。シカゴのCME日経平均先物(円建て、期近)は日本時間15時37分時点で6万3,250円だった。この時点では現物の終値を上回っていたが、米国市場の動き次第で変わる。6万2,726円を終値で割れば、次は7月29日の終値6万1,434円が視野に入る。
為替では円高が進んだ。ドル円は午前9時に158円15銭前後だったが、15時には157円18銭付近まで下げた。円高は輸出株の重荷になる。為替の見方はドル円見通しの記事にまとめた。
次:23日朝8時30分に9月の全国CPIが出る。予想と家計への影響は全国CPIの事前記事で扱った。上振れなら日銀の利上げ観測が強まり、円高と株安が続きやすい。本誌の見方を変える条件は、アドバンテストと東京エレクトロンがそろって前日比プラスで引けることである。
30秒まとめ:日経平均は1,713円安の安値引けで、終値は7月30日以来の水準となった。下げの約65%は値がさ株3銘柄によるもので、TOPIXの下落は1.14%にとどまる。最初の節目は6万2,726円、次の材料は23日朝の全国CPIである。
主な参照
- 日経平均の終値(1,713円40銭安の6万2,907円84銭)、15時のドル円/フィスコ(Yahoo!ファイナンス)
- TOPIXの終値(3,997.50、46.23ポイント安)/Yahoo!ファイナンス
- 日経平均構成銘柄のウエート(2026年9月30日基準、寄与度の試算に使用)/日経平均プロフィル
- 東証業種別ランキング(大引け)/株探(フィスコ)
- ラムリサーチの7〜9月期決算と10〜12月期見通し(2026年10月21日発表)/米証券取引委員会への提出書類
- アジア株が約3カ月ぶり安値、ハイテク不安と湾岸の緊張/ロイター(TradingView掲載)
- 米国がサウジアラビアから一部外交官を退避/AP通信
- アドバンテスト株が買い先行後に下落、米ラムリサーチ株が時間外で急落/日本経済新聞
- 午前9時の円相場(158円15〜16銭)/時事通信(Yahoo!ファイナンス)
- 個別株・海外指数・先物の日足と時刻/Yahoo Finance
データ基準日:2026年10月22日の東京市場の終値。日経平均とTOPIX、個別株は大引けの値である。韓国・台湾の指数は同日の終値で、香港ハンセン指数は日本時間15時34分時点の取引時間中の値である。CME日経平均先物(円建て、期近)は日本時間15時37分時点の値で、終値ではない。ドル円は午前9時と15時の時点の値である。個別銘柄の寄与度は、日経の公表ウエート(9月30日基準)と9月30日・10月21日・22日の終値から本誌が計算した概算で、合計は約1,733円安と実際の下げ幅1,713円40銭に約1%の差がある。公式の寄与度とは差が出ることがある。ラムリサーチの時間外の下落率は報道により幅があるため記載していない。下げの要因の配分は特定できず、本文は報道にもとづく整理である。本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買を推奨するものではない。投資判断はご自身の責任において行っていただきたい。














