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デル(DELL)9月1日決算プレビュー——現物・オプション・見送りの番付と、当サイト「370〜380ドル」の答え合わせ

Takashi Suzuki Takashi Suzuki
2026年8月29日
株式
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AI株全面安
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今場所の取組は9月1日、デル・テクノロジーズ(NYSE:DELL)の2027年度第2四半期決算である。だがその前に、番付編成をした側の負けを先に認めておかねばならない。当サイトは7月27日に「デルのフェアバリューは370〜380ドル」と書き、その根拠も公開した。そして株価は8月28日に456.24ドルで引けた。当サイトの数字は現値より約2割低い場所に取り残されている。今日はまずその答え合わせをし、そのうえで「現物・オプション・見送り」の三つの取り口を格付けする。

今場所の番付——三つの取り口を格付けする

結論から並べる。判定理由は本文で一つずつ開く。なお本記事は特定の売買を勧めるものではなく、判断材料の整理である。

取り口格付け判定理由向いている人
決算をまたがず見送り◎直近4回の決算翌日の値動きは平均±17.4%。456ドルなら±79ドル動く計算で、方向を当てる勝負になる。9月2日朝に結果を見てから入っても、上方修正が本物なら十分間に合う大半の個人投資家
現物株を少額で○1株から買え、NISA成長投資枠の年枠240万円に対し1株=約3.0%しか使わない。最悪でも投じた額しか失わない。ただし「安いから買う」根拠はもう無い数年単位で持てる人
オプション△条件付き。今回インプライド・ボラティリティ(IV)を信頼できる情報源で確認できなかったため、割高/割安の判定は本記事では下せない。自分の口座でIVを見られない人は手を出すべきでないIVと建玉管理を自分で確認できる人のみ
格付けは2026年8月28日終値時点の情報にもとづく編集部の整理。◎○△×の4段階。

まず答え合わせ——「370〜380ドル」はなぜ外れたか

7月27日の記事で示したフェアバリュー370〜380ドルは、会社ガイダンスの調整後EPS17.90ドルに対して20.7〜21.2倍という倍率だった。当時の株価422.75ドルは23.5倍。そして8月28日の456.24ドルは25.5倍である。

ここが肝心な点だ。5月28日の決算以降、会社のガイダンスは一度も変わっていない。つまり420ドルから456ドルへの上昇は、利益見通しの改善によるものではなく、100%が倍率の切り上がり(マルチプル拡大)である。分母のEが動かないまま、市場が払う倍率だけが上がった。

デルのPERはどこまで切り上がったか(2027年度ガイダンスEPS17.90ドル基準)

20.90倍当サイト評価 370〜380ドル23.50倍7/27 422.75ドル25.50倍8/28 456.24ドル出所:デル2027年度第1四半期決算資料(2026年5月28日)、株価はCNBC。

いずれも会社ガイダンスの調整後EPS17.90ドルで割った倍率。5月28日以降ガイダンスは変わっていないため、3点の差はすべて「市場が払う倍率」の差である。456.24ドルが約21倍で正当化されるには、EPSが約21.70ドルへ引き上がる必要がある。

では当サイトの何が間違っていたのか。倍率の当て方そのものは、今も擁護できると考えている。20倍そこそこという水準は、粗利率18%台のハードウェア企業に払う値段としては妥当な線だ。誤ったのは「会社がもう一度ガイダンスを引き上げる確率」を低く見積もったことである。

数字で置き直す。456.24ドルが当サイト自身の約21倍という物差しで正当化されるには、2027年度の調整後EPSが約21.70ドルまで上がる必要がある。現ガイダンス17.90ドルからの引き上げ幅にして約21%。一見無茶に見えるが、デルは直前の四半期にEPSガイダンスを12.90ドルから17.90ドルへ、実に38.8%引き上げた実績がある。21%は、その前例より小さい。市場は「もう一度あるだろう」に賭けており、当サイトは「そこまでは織り込めない」と判定した。9月1日は、この一点を決着させる場である。

取組その一——9月1日に何が出るか

まず日時を正確に。デルのIRリリース(8月18日付)によれば、決算発表は2026年9月1日(火)、電話会見は米中部時間15時30分=米東部時間16時30分。決算数値そのものは会見前、東部時間16時5分前後に出る。日本時間では9月2日(水)の朝5時ごろだ。一部に「9月3日」とする情報があるが、これは誤りである。

項目会社ガイダンス市場予想(集計値)読み方
売上高440〜450億ドル約445〜449億ドル予想はレンジ中央〜上限。届いても驚きは小さい
調整後EPS4.80ドル±0.10約4.87〜4.92ドル予想が会社ガイダンスの上限に張り付いている。小幅な上振れでは足りない可能性
AIサーバー売上約155億ドル—第1四半期の161億ドルから減る前提が置かれている
CSG(PC)営業利益率約6%—前期8.0%から低下する見通し。メモリー高がPC側に出る
会社ガイダンスは2026年5月28日発表分。市場予想は集計サイトの数値で、提供元により差がある(本記事で確認できた範囲では売上445〜449億ドル、EPS4.87〜4.92ドル)。EPSはいずれも調整後(非GAAP)ベース。

最大の争点は「下期のAIサーバーが減る」という自社計画にある

ここに、決算プレビューであまり指摘されない算数がある。デルの2027年度通期AIサーバー売上ガイダンスは約600億ドル。一方で第1四半期の実績は161億ドル、第2四半期のガイダンスは155億ドルで、上期合計は316億ドル。差し引くと下期は284億ドル、四半期あたり約142億ドル——上期のどちらの四半期よりも低い。

デル自身の通期計画が織り込む「下期のAIサーバー減速」

161億ドルQ1実績155億ドルQ2ガイダンス142億ドルQ3(逆算)142億ドルQ4(逆算)Q3・Q4は通期ガイダンスからの逆算値(編集部試算)。

通期AIサーバー売上ガイダンス約600億ドルから上期実績・計画316億ドルを差し引くと、下期は284億ドル=四半期あたり約142億ドル。上期のどちらの四半期も下回る。CFOは「期初から90日しか経っていない以上、相応に慎重な水準」と説明しており、9月1日にこの600億ドルが引き上げられるかどうかが最大の争点になる。

需要が逼迫し受注残が積み上がっている企業が、下期に減速する計画を置いている。これは矛盾ではなく、CFOのデビッド・ケネディが会見で「期初から90日しか経っていない以上、相応に慎重な水準」と明言したとおり、意図的な保守設定と読むのが自然だ。

裏を返せば、9月1日の最も可能性が高い強気材料は、この600億ドルという数字の引き上げである。逆にここが据え置かれ、かつ第2四半期のAIサーバー売上が155億ドルに届かなければ、25.5倍という倍率を支える根拠は一気に細くなる。見るべきは当期の着地ではなく、通期AIサーバー計画が動くかどうかだ。

取組その二——バリュエーションは36倍か、25倍か

デルのPERは、どの数字を使うかで印象がまるで変わる。実績ベースでは36.2倍、会社の今期ガイダンス17.90ドルベースでは25.5倍。同じ株価の話である。

同業とのPER比較(実績ベース、2026年8月28日終値)

36.2倍デル11.6倍HP48.9倍HPE11.9倍スーパー・マイクロ27.5倍エヌビディア18.9倍IBM出所:CNBC。実績ベースのPERで、企業ごとに決算期は異なる。

デルの36.2倍は実績EPSベース。会社の今期ガイダンス17.90ドルで割ると25.5倍になる。どの数字を使うかで「割高」の結論が変わるため、比較の際は基準を揃える必要がある。なおデルは自己資本がマイナスのため、PBRは計算できない。

比較して見えるのは、デルが「ハードウェア企業の値段」からはとうに離れ、といってエヌビディアのような設計側の企業にも達していない、中間の位置にいることだ。HPの11.6倍やスーパー・マイクロの11.9倍から見れば高く、レノボやHPEの水準から見れば高いとは言い切れない。「割安だから買う」という理由づけは、少なくとも数字の上ではもう成立しない。

ここで日本の投資家が踏みやすい罠を二つ挙げる。

罠その一:日本の株式情報サイトが表示するデルの時価総額とPERは、多くの場合そのまま使えない。デルには複数の種類株があり、上場しているクラスC株だけを数えると発行済株式は3億2,505万株となる。だが実際の発行済株式総数は6億4,614万株で、時価総額は約2,948億ドルだ。クラスC株だけで計算した「時価総額約1,480億ドル・PER51.9倍」といった表示を見かけたら、それは半分しか数えていない。

罠その二:デルにPBR(株価純資産倍率)は使えない。2026年5月1日時点でデルの自己資本は約14億ドルのマイナスである。長年の自社株買いで純資産が削られた結果で、経営危機の兆候ではないが、PBRという指標そのものが計算不能になる。「PBRが異常値だから割安/割高」という判断は、この銘柄では意味を持たない。

取組その三——「メモリー高でデルが潰れる」は、実は間違い

ここは当サイトの過去記事も含め、市場全体が取り違えやすい論点なので、訂正を兼ねて丁寧に書く。

事実として、デルの第1四半期の調整後粗利率は前年の21.6%から18.1%へ350ベーシスポイント低下した。この数字だけを見て「メモリー価格の高騰がデルの利益を削っている」と読むのは自然に思える。だが会社の説明は違う。CFOのケネディは、粗利率低下はAIサーバーへの売上構成比の変化によるものであり、AI構成比の影響を除けば粗利率はむしろ上昇していたと明言している。

つまりデルはメモリー高を転嫁できている。COOのジェフ・クラークの表現を借りれば「毎日のように値付けをやり直している」状態で、コスト上昇分の3分の2を90日で回収する運用に切り替えている。

本当にメモリー高で粗利率を削られているのは、むしろPC専業に近い企業のほうだ。HPはメモリーとストレージがPC部品コストに占める比率が15〜18%から約35%へ倍増したと開示し、パーソナルシステムズ部門の営業利益率は5.0%→5.2%→4.6%と四半期を追って低下、PC出荷台数は前年比16%減となった。値上げは通ったが、数量を失っている。

ではデルの弱点はどこか。「メモリーで潰れる」ではなく「AI売上は利益率の低い売上である」——これが正しい論点だ。ケネディはAIサーバーの収益性を「営業利益率で一桁台半ばという目標水準どおり」と述べている。粗利率ではなく営業利益率で一桁台半ばという意味だ。

この数字を使って構造を割り算してみる(以下は編集部による試算)。ISG(インフラ)部門の売上290億ドルのうちAIサーバーは161億ドルで56%を占めるが、営業利益率5%とすると利益貢献は約8億ドル。ISG全体の営業利益31億ドルに対し約26%にすぎない。売上の過半を占める事業が、利益では4分の1。残る従来型サーバーとストレージが約17.5%の利益率で全体を支えている計算になる。受注残が積み上がることと、利益が積み上がることは、同じではない。

下振れリスクの番付

危険度の高い順に4つ並べる。

順位リスク危険度中身と確認方法
1単一顧客への集中×2026年度の年次報告書(10-K)に「1社の顧客が連結売上の12%を占めた」と明記。売上換算で約136億ドル。顧客名は非開示。前年度・前々年度は10%超の顧客は存在せず、今回初めて閾値を超えた。AI比率が上がるほど集中は進みやすい
2下期AIサーバーの減速△会社計画が四半期142億ドルへの減速を織り込んでいる。保守的なだけならよいが、実勢がそこへ収束すると倍率の前提が崩れる
3利益率の低いAI売上への依存△AIサーバーの営業利益率は一桁台半ば。売上が伸びるほど全社の利益率は薄まる構造
4メモリー市況の反転○デル自身は転嫁できており直接の打撃は限定的。ただし中国CXMTの供給拡大などでメモリー相場が崩れれば、AI投資全体の温度感が変わる
危険度は◎○△×の4段階(×が最も要警戒)。出所は米SEC提出書類および決算説明会の発言。

財務そのものは、見かけほど重くない。総債務は314億ドルあるが、うち146億ドルは金融子会社(DFS)の顧客ファイナンス向けで、対応する債権が立つ。これを除いたコア債務は167億ドル、現預金116億ドルを差し引いた実質的なコア純債務は約51億ドルにとどまり、会社開示のコア・レバレッジ比率は1.2倍だ。デルの弱点は借金ではない。

もう一つ、皮肉な事実を記録しておく。デルは第1四半期に16億ドルを自社株買いに投じ、1,100万株を平均147ドルで取得した。現値456ドルから振り返れば見事な買いだった。だが裏返せば、147ドルで買い戻せた頃の水準はもう存在しないということでもある。自社株買いによる価値創造の効率は、株価が上がるほど落ちる。

現物かオプションか——建て方の判定

ここが読者の関心の中心だろう。まず過去の実績を見る。直近4回の決算翌営業日の終値変化率は次のとおりである。

直近4回の決算翌営業日の値動き(終値ベース)

2025年8月28日発表-8.88%2025年11月25日発表+5.83%2026年2月26日発表+21.93%2026年5月28日発表+32.76%出所:日次株価データより編集部算出。標本は4四半期のみ。

平均絶対値17.4%、中央値15.4%。4回中3回が上昇だが、20%を超える変動が2回ある。456.24ドルに当てはめると平均で±79ドル前後の値動きとなる。これは過去の実績であり、市場が今回織り込んでいる変動幅(インプライド・ボラティリティ)ではない点に注意。

平均絶対値17.4%、中央値15.4%、4回中3回が上昇。456.24ドルに当てはめると±79ドル前後動く計算になる。直近21営業日の実現ボラティリティは年率65.4%と、もともと荒い銘柄だ。

そのうえで、正直に書いておかねばならないことがある。

今回、デルのオプションのインプライド・ボラティリティ(IV=市場が織り込む予想変動率)を、信頼できる情報源で取得できなかった。したがって本記事は「オプションが割高か割安か」を判定しない。IVが分からないままオプションを買うのは、値札を見ずに買い物をするのと同じである。市場が織り込む変動幅を超えて動かなければ、方向が当たっていても買い手は負ける。これがオプションの格付けを△に留めた理由だ。

そのうえで、判断の物差しだけは置いておく。自分の口座で決算をまたぐ限月のIVを確認できるなら、次の順に考えるとよい。

  • 市場が織り込む変動幅が17%を大きく下回るなら、過去4回の実績に照らして買い手に分がある可能性がある
  • 逆に20%を超えて織り込まれているなら、当てても報われないおそれがある。過去4回のうち2回は20%超の変動だったため、売り手側も安全ではない
  • いずれのIV水準でも、決算をまたぐオプションは最悪ゼロになる前提の金額に留める

なお日本の証券会社では、米国個別株オプションを扱う口座は限られる。取引画面でIVや建玉を確認できない環境なら、この取り口は選択肢から外すのが正しい。現物を少額で持つほうが、管理できないリスクを抱えるより合理的である。

日本から買う場合の実務——NISA・為替・税金

デルはNISAの成長投資枠の対象である。ある証券会社の米国株一覧では、銘柄ごとのNISA対象欄にDELLは「〇」と表示されている。一方、同じ一覧でDELLの2倍レバレッジETF(DLLL)は「非対象」だ。レバレッジ商品は除外されるが、原資産の個別株は対象という区分である。

1株から買えることの意味は、思っているより大きい

米国株は1株単位で買える。1ドル160円換算でデル1株は約7万3,000円、成長投資枠の年間240万円に対してわずか3.0%だ。対して日本株は100株単位のため、AI関連の主力銘柄は1単元だけで年枠を食い潰す。

銘柄最低投資額年間240万円枠の消費率1単元が枠に収まるか
デル(1株)約7万3,000円3.0%収まる
SUMCO(100株)約34万3,000円14.3%収まる
信越化学(100株)約60万円25.0%収まる
イビデン(100株)約201万円84.1%収まる(ほぼ使い切り)
アドバンテスト(100株)約352万円147%収まらない
キオクシア(100株)約479万円200%収まらない
東京エレクトロン(100株)約562万円234%収まらない
2026年8月28日終値ベースの売買最低代金。1ドル=160円で換算。単元未満株サービスを使う場合は前提が変わる。

日本のAI関連主力の一角は、1単元すら年間の成長投資枠に収まらない。分散して持ちたい個人にとって、1株単位で買えることは軽い利点ではない。

配当は期待材料にならない。ただし気にすべきは税より為替コスト

デルの配当は四半期0.630ドル、年換算2.52ドルで、456.24ドルに対する利回りは0.55%。配当目的で持つ銘柄ではない。

税務上の注意点として、NISA口座で米国株を持つ場合、米国側で源泉徴収される10%は取り戻せない。外国税額控除は日本の所得税額に対する控除であり、NISAでは日本側の税額がゼロになるため、控除の枠自体が生じないからだ(国税庁タックスアンサーNo.1240の計算式による)。

ただし金額感を掴んでおきたい。仮に成長投資枠240万円をすべてデルに充てると約1万5,000ドルの両替が必要で、片道25銭の為替スプレッドなら往復で約7,500円。一方、その保有株から生じる配当に対する取り戻せない米国源泉税は年間約1,300円にすぎない。両替コスト1回が、源泉税およそ3年分に相当する。税金の話より先に、為替手数料の条件を確認するほうが実利は大きい。

為替そのものも今は一方通行ではない。ドル円は8月28日時点で160円近辺だが、2026年は152円台から163円台までのレンジを描き、7月31日には15年ぶりとなる日米協調の円買い介入が入った。9月のFOMCでは利上げ観測も浮上している。米国株を円で買う以上、株価とドル円の両方が損益に効くことは意識しておきたい。

日本の個人投資家は、まだデルを買っていない

面白い事実がある。ある大手ネット証券のNISA成長投資枠・米国株の週間買付ランキングを33週連続で遡っても、DELLは一度も登場しない。別の大手の月間ランキング8カ月分にも入っていない。同じ期間、日本の個人が買っていたのはメモリー関連——キオクシア、マイクロン、サンディスクといった銘柄群だった。

つまり日本の個人投資家は「メモリー高で儲かる側」を買い、「メモリーを仕入れて組み立てる側」は買ってこなかった。デルが年初来で3倍以上になった動きに、日本の個人はほとんど乗っていない。これを出遅れと見るか、手を出さなかったのが正解だったと見るかは、9月1日以降の展開次第である。

来場所の注目取組——9月1日のチェックリスト

決算を見るときは、当期の着地よりも次の4点を順に確認したい。

確認する順番強気に働く水準弱気に働く水準
1. 通期AIサーバー売上計画600億ドルから引き上げ据え置き、または下方修正
2. 通期調整後EPSガイダンス19ドル以上への引き上げ(現値25.5倍を24倍以下に戻す)17.90ドル据え置き
3. 粗利率と、その説明「AI構成比を除けば上昇」という説明が継続メモリーコストを転嫁できていないという説明への変化
4. 顧客集中の記述10%超の顧客が引き続き1社のみ集中度の上昇、または複数顧客が閾値超え
四半期報告書(10-Q)の顧客集中に関する注記は、決算発表と同時ではなく数日後に提出される場合がある。

撤退ライン(この記事の見立てが外れたと判断する条件)。通期AIサーバー計画が据え置かれ、かつ第2四半期のAIサーバー売上が155億ドルに届かなかった場合、「下期減速は単なる保守設定」という読みは否定される。このときは25.5倍という倍率の前提が崩れるため、現物を保有しているなら建て直しを検討する場面になる。逆に通期EPSが19ドル以上へ引き上げられれば、当サイトの370〜380ドルという評価は、倍率の当て方ごと見直す必要がある。

この記事で分からないこと

判断材料として、確認できなかった点も明示しておく。

  • オプションのIVと市場が織り込む変動幅——信頼できる情報源から取得できなかった。本記事の変動率はすべて過去の実績値であり、市場の織り込みではない
  • 市場予想(コンセンサス)——集計サイト由来で提供元により差がある。会社ガイダンスのみが一次情報である
  • 売上の12%を占める顧客の正体——開示されていない。報道による推測は複数あるが、会社が認めた事実ではない
  • 受注残513億ドルの位置づけ——会社がIR資料と決算説明会で公表した数字だが、決算短信や四半期報告書に載る会計上の指標ではない。会計基準にもとづく残存履行義務(約970億ドル)とは定義の異なる別物で、混同してはならない
  • 財務数値の基準日——貸借対照表は2026年5月1日時点で約4カ月前のもの。6月16日に実施された30億ドルの社債発行は反映されていない

結びの一番

番付をもう一度短く言い直す。見送りが◎、現物の少額保有が○、オプションは条件付きの△。

当サイトは7月に370〜380ドルと書き、市場はそれを無視して456ドルまで買った。その差は利益の改善ではなく、市場が払う倍率の切り上がりだけで説明がつく。倍率だけで上がった株価は、倍率が剥がれるときも速い。だからこそ9月1日は、当サイトの評価が間違っていたのか、それとも市場が先走ったのかを、会社自身の口から確かめられる数少ない機会になる。

結果が出てから動いても遅くはない。上方修正が本物なら、その後も買う機会はある。方向を当てる勝負に、決算という最も荒れる一晩を選ぶ必要はない。

主な参照

  • デル・テクノロジーズ 2027年度第1四半期決算資料・決算説明会(2026年5月28日)、および決算発表日程に関するIRリリース(2026年8月18日)/investors.delltechnologies.com
  • デル・テクノロジーズ 2026年度年次報告書(Form 10-K、2026年3月16日提出)および2027年度第1四半期報告書(Form 10-Q、2026年6月9日提出)/sec.gov
  • メモリー価格動向・CSP設備投資見通し(2026年8月25日ほか)/trendforce.com
  • NISA制度の非課税枠と対象商品/金融庁、外国税額控除の計算(タックスアンサーNo.1240)/国税庁
  • 株価・時価総額・過去の決算翌日の値動き(2026年8月28日終値)/CNBC、stockanalysis.com

データ基準日:2026年8月28日(米国市場終値)/為替は2026年8月29日時点。本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の売買を推奨するものではない。株価・為替・金利は常に変動し、記載の数値は執筆時点のものである。決算発表を挟む取引は価格変動が大きく、オプション取引では投資元本を全額失う可能性がある。投資判断は必ずご自身の責任において行っていただきたい。

Tags: AI関連株NISAデル・テクノロジーズ半導体株米国株
Takashi Suzuki

Takashi Suzuki

大手マーケットメイカーのFXトレーディングデスクで8年以上にわたりキャリアを積み、うち3年は為替フォワードデスク、その後2年は金利(レート)デスクを担当した。さらにシンガポールではアジア・トレーディングデスクのヘッドとして4年間チームを率い、地域全体のフローとリスク管理を統括してきた。 現在もFX・金利・株式など幅広い市場で実際にトレードを行っており、機関投資家の最前線で培った実取引経験は豊富。FX・株式・暗号資産において自己のポジションを保有している。 こうした実務とマーケットでの経験をもとに、金融市場・暗号資産・FX・経済指標について、信頼性・正確性・迅速性の高い情報を届けることを目的としている。記事の内容は特定の金融商品の売買を推奨するものではなく、最終的な投資判断はご自身の責任において行ってください。

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トヨタ株
経済

カナダに50%関税、自動車は対象外——日本車が失ったのは25%の方

Takashi Suzuki
2026年8月23日
株式

±25%動く株の持ち方——逆指値が効かない寄りと値幅制限

バヒティヨル マダジモフ
2026年8月23日
株式

ボーイング技術者が否決——10月6日の期限がSUBARUと三菱重工に届く

Takashi Suzuki
2026年8月23日

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